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2025/11/17
緊急報告 上田二郎(僧侶兼税理士/元マルサ)
文化庁が税理士連合に協力要請 宗教法人売買問題に注意喚起


 本年8月、文化庁が日本税理士会連合会に対し、下記の協力依頼を行った。

 《今般、宗教法人法(昭和26年法律第126号。以下「法」という。)に基づき設立された宗教法人について、その本来の目的を潜脱した宗教法人の売買に類似した取引の事例が見られるところ、文化庁としましては、この課題の解消に取り組む必要があると考えております。つきましては、貴会の御協力をいただきたく、御連絡いたします。》

文化庁と連携し監視の強化を

 文化庁に通報したところで、誰が、どのように処理していくのかが決まっていないとの意見も耳にする。また、宗教法人売買には専門的知識をもった税理士などがスキームを構築しているケースがあり、そもそも不正取引の通報をするのかとの疑問が沸く。

 国税当局も「パナマ文書」の公表を受け、租税回避策を企業や富裕層に指南する税理士にスキームの開示を義務付けたが、バレないスキームで高額報酬を得ている者が通報するはずがないとの意見も多く、導入を見送っている。

 しかしながら、文化庁の発表では不活動法人が約5千もあり、待ったなしの問題だ。加えて、すでに第三者の手に渡ってしまった宗教法人の監視体制の構築も急がれる。これらの問題を放置しておけば、脱税やマネーロンダリングなどの犯罪に使われることは目に見えており、空き家問題と同様に不法投棄や占拠、火災など見過ごすことのできない問題が想起される。

 宗教界は文化庁の取り組みに賛同し、速やかに文化庁に通報する制度を構築するよう強く望む。特に第三者による法人格の不正取得などは、宗教界からの監視体制を強めることによって抑止力が高まるのではないだろうか。

宗教法人法の趣旨

 そもそも 宗教法人とは、宗教団体が自由で自主的な活動をするための基礎として、法に基づき設立される公益法人の一類型であり、法の定めるところにより、宗教団体のみがこの法人格を取得できる(第4条)。法は、宗教団体が、礼拝の施設その他の財産を所有し、これを維持運用し、その他その目的達成のための業務及び事業を運営することに資するため、宗教団体に法律上の能力を与えることをその目的としている(第1条)。

 人々の浄財に頼るために財務基盤の弱い宗教法人が、永続的に存続できるよう願って制定された宗教法人法だが、近頃では、宗教法人の税制優遇を狙って、節税や脱税を目的とした宗教法人の売買が行われている。

 拙著『税理士の坊さんが書いた宗教法人の税務と会計入門』(国書刊行会)にも掲載した、「宗教法人がラブホテル経営で14億円の脱税」は、休眠宗教法人を買い取って悪さをしていた事案だが、その後も宗教法人の脱税報道は枚挙に暇がない。(続きは紙面でご覧ください)

2025/11/13

仏教伝道協会設立60周年 感謝の会
発願者沼田惠範氏の精神継ぐ


感謝の会で挨拶する沼田恵明理事長 今年説立60周年を迎えた(公財)仏教伝道協会は10月28日、都内ホテルで関係者らを招いて「感謝の会」を開いた。国内外に仏教を伝道するため㈱ミツトヨ創業者の沼田惠範氏が協会を創立して60年。「成功は社会に還元する」という今に繋がる精神に思いを馳せ、また若い世代への仏教伝道の取り組みも展望した。

 木村清孝会長は沼田惠範氏が昭和40年(1965)に設立した協会の活動を支える㈱ミツトヨをはじめとする多くの支援者に感謝した。『仏教聖典』の普及を柱に、国内外で行ってきた活動の成果と課題を踏まえた今後の取り組みに向けたスローガン「もっとつながる、もっとつなげる」を紹介。「仏教のみ教えを個々のみなさま、また社会全体としっかり繋げる橋渡しの役割を担い、今を生きる人々に仏教を伝えていく道を弛まず歩み続けたい」と述べ、一層の協力を求めた。

 ミツトヨ取締役専務執行役員の佐々木繁幸氏が祝辞。ミツトヨを創業し、精密測定器の分野で世界的な企業を築き上げた惠範氏の人生の柱に「仏教への深い信仰」があったとしたうえで、「企業の成功は社会に還元するための手段である」という師の言葉を紹介。現在も利益の一部を仏教伝道や様々な社会貢献に活用していることを報告し「惠範氏の志が今も引き継がれている証。単なる資金提供という枠を超えた、志をもった社会貢献の象徴」と胸を張った。技術革新による新たな仏教伝道の可能性にも言及しながら「仏教の精神を次世代へと継承するみなさまのご努力に感謝し、仏教の教えがさらに世界に広まることを祈念します」と祝した。

 惠範氏の孫でミツトヨ社長の沼田恵明理事長は「共に節目の日を迎えることができ、惠範も大変喜んでおられると思う」と謝意。ミツトヨが昨年90周年を迎えたことにも触れつつ、「新しい世代へ創業者の思いを繋いでいくためにも仏教伝道協会とミツトヨの関係が益々重要になる。4月より新体制となり、若い世代への伝道活動に職員一同一丸となって取り組んでおります。引き続き皆様の温かいご支援をお願いします」と呼びかけ杯を上げた。

2025/11/13
新パイプオルガン上納 築地本願寺で披露


築地本願寺に上納されたイタリア・ザニン社製のパイプオルガン 東京都中央区の浄土真宗本願寺派築地本願寺で5日、新しいパイプオルガンの上納式が営まれ、本堂内に設置された新オルガンがお披露目された。

 仏教伝道協会の設立者である沼田惠範氏が米国の教会でパイプオルガンの音色に感銘を受け、日本の寺院への寄贈を発願。1970年に仏教音楽の振興と芸術文化の発信のために同会がドイツ・ヴァルカー社製のパイプオルガンを築地本願寺に寄贈した。55年にわたり法要やコンサートで演奏されてきたが、経年による老朽化が進み、新たなパイプオルガン製作を決めた。イタリア・ザニン社で製作され、9月下旬から築地本願寺で組み立て作業が行われてきた。

 新たなパイプオルガンは初代と同じく本堂を入って直ぐの上部左右に設置。正面に阿弥陀如来の四十八願を表す48本のパイプが並び、パイプ群で六字名号を表す6つの山を象り、木枠のデザインは合掌をイメージした。3段手鍵盤と足鍵盤の4つのオルガンで構成。演奏台は移動式で、電気信号で音を鳴らす。パイプの総数は2566本。

 今年は仏教伝道協会設立60周年でもあり、これに併せた上納となった。オルガンの製作費は約1億2千万円。上納式では木村清孝会長が異なる個性をもつ大小様々なパイプが美しいハーモニーを奏でることから、「仏教が実現を目指す、多様なるがゆえに美しい調和の世界を象徴している」と述べ、無事に上納されたことを喜んだ。

 築地本願寺の尾井貴童宗務長はパイプオルガンは「築地本願寺の大きな特徴のひとつ」と誇り、「この素晴らしい音がお参り下さる方の心に仏さまの灯をつけて下さると思う」と感謝した。

 新しいパイプオルガンの音色で「四弘誓願」が奏でられ、同寺合唱団楽友会による音楽礼拝が行われたほか、バッハの『前奏曲 ト長調』をはじめとする西洋音楽の演奏、仏教讃歌「しんらんさま」も奉納された。来年1月には特別演奏会も開催する予定。

2025/11/13
「薫聖教」国宝追加で慶讃法要
大津市石山寺 入定信仰に直結する至宝


奉告文を読む鷲尾座主 日本仏教黎明期の息吹を伝える滋賀県大津市の東寺真言宗大本山石山寺(鷲尾龍華座主)で2日、高野山奥之院に入定している弘法大師の芳香が移ったとされる「薫聖教(においのしょうぎょう)」の国宝追加指定慶讃法要が本堂で厳修された。市の文化財関係者ら約20人が参列。豊かな歴史が息づく湖国に、新たな至宝が加えられたことを喜び合った。

 「薫聖教」は、菅原道真の孫で石山寺第3代座主を務めた淳祐内供(しゅんにゅうないく)(890〜953)による一連の自筆聖教。すでに国宝に指定されている「七十三巻一帖」に加え、弘法大師入定日の今年3月21日に新出分の「十巻」が国宝に指定された。

 一昨年2月の大津市歴史博物館の悉皆調査で、塔頭法輪院から平安中期の聖教二巻を発見。先代座主の書斎・知足庵にあった聖教八巻と合わせ、同年の夏冬に行われた石山寺文化財綜合調査団の精査によって、散逸していた「薫聖教」の一部と判明した。

 「薫聖教」は石山寺の座主だけに閲覧が許された秘宝で、歴代座主が1千年間にわたって護持。「生身(しょうじん)の大師が高野山の奥之院御廟で永遠の瞑想を行じている」とする弘法大師入定信仰と直結する真言宗屈指の名宝に位置づけられている。(続きは紙面でご覧ください)

2025/11/13
被爆80年 平和の石碑を除幕 法王と教皇のメッセージを刻字
広島市法縁寺 超宗派で〝意思〟つなぐ


碑を奉安した阿弥陀堂の前で諸宗教の祈り 浄土真宗本願寺派僧侶でひろしま平和大使の中垣顕實氏らによる「チーム和ちゃん」が3日、広島市中区の本願寺派法縁寺の阿弥陀堂に被爆80周年世界平和メッセージの石碑を建立した。ダライ・ラマ法王と、カトリックの故フランシスコ教皇が寄せた平和メッセージが刻まれている。

 広島出身の書家である鳥生春葉氏が揮毫した「和」の書の両隣には折り鶴が刻まれ、その下に2人のメッセージが日英両文で記される。フランシスコ教皇は2019年11月に広島平和記念公園を訪れた際の「核兵器の保有もそれ自体が倫理に反しています」という言葉、ダライ・ラマ法王は今年8月6日の「世界に平和をもたらすにはまず我々自身の中に平和な心を育てる必要があることを覚えておかねばなりません」という言葉である。中垣氏は「平和の意思を繋ぐ石」と説明する。石碑の後ろにある阿弥陀如来像は引き取り手のない被爆死者の遺骨で作られた「骨仏」だ。

 除幕式典は児童による、被爆樹木で作られたパンフルートの奉納演奏で開始。松井一實市長の平和祈念のメッセージが読み上げられた。中垣氏のほか、「和ちゃん」メンバーの原田真二氏(ひろしま平和文化大使、ミュージシャン)、白浜満氏(カトリック広島司教区司教)、法縁寺の本川こども園園長である大森顕乗氏がそれぞれの形で祈りを捧げた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/11/13
花園大からドラフト1位 藤原投手、宗務本所表敬


宗務本所会議室を訪れた藤原投手(中央) 花園大学(京都市中京区)から史上初のプロ野球ドラフト1位という快挙だ。10月23日、同大野球部の4年生、藤原聡大投手が東北楽天ゴールデンイーグルスから1位指名を受け、大学のみならず臨済宗妙心寺派宗務本所も驚きと喜びの歓声に包まれた。

 藤原投手は2003年11月生まれの三重県出身。京滋大学野球で頭角を現し、球速156キロを記録した剛速球の持ち主。直球だけでなくスライダーなど変化球も身に着けている。藤原投手は29日、奥本保昭監督らと宗務本所(右京区)を表敬訪問。野口善敬宗務総長ら役員と懇談した。

 藤原投手は「花園大学を選んでよかった。ここからが新しいスタートですが、一から自分の道を自分で切り開けるよう、東北の地で、沢山の人の応援を背に頑張っていきます」と決意を語った。

 栗原正雄花園学園長は「東北のお寺からどんどん電話がかかってきている。楽天ファンは多いですね」と宗門の誉れでもあると伝え激励。

 野球ファンの野口総長は「練習の姿を見たこともあるのですが、速いな!と思いましたよ」と速球に驚いたと話し、体を大切にしてほしいと願いつつ大活躍を期待した。

 藤原投手には花束と、山川宗玄管長が揮毫した「独歩青天」の色紙も贈られた。束縛を離れ自由な心で生きる悟りの境地を意味する禅語だが、イーグルが自由に天を飛ぶイメージも感じられる。ちなみに花園大学では基礎禅学が必修で、藤原投手も禅を経験している。

2025/11/10
埼玉佛青50周年大会 先祖供養の歴史学ぶ 先祖にならない人が増加傾向


他界観や葬送の歴史について学んだ記念大会 埼玉県佛教青年会(元山憲寿会長)は15日、県内のホテルで創立50周年記念大会を開催した。「祖先崇拝再考―日本における先祖供養の歴史を学ぶ」をテーマに専門家による記念講演やパネルディスカッションで、葬送の歴史や先祖供養の重要性を改めて学んだ。

 元山会長は、初代会長が自宗派の真言宗智山派であったことに触れ、「節目の大会を私が引受させていただいたことを光栄に思う」と挨拶。今大会のテーマ設定ついて「昨今のコロナ禍以降、葬送儀礼の変容が急速に進んでいる。各宗派の作法などはきちんと務められていると思うが、今一度、日本人の精神性を学ぶ機会にしていただけたら」と話した。

 記念講演では、三浦周・大正大学非常勤講師と問芝志保・東北大学准教授が古代から現代の日本の他界観や葬送の変遷について講演した。

 三浦氏は「仏教伝来前後の祖霊崇拝の歴史」と題して講演。海に囲まれ山が多い日本の地理的条件から、古代の日本人が持つ「魂の行方」のイメージは、垂直方向への山中他界と水平方向への海上他界だったと指摘。この時点では「遺体・遺骨祭祀ではなく、魂祭祀だった」と説明した。

 文献に見られる日本初の火葬は法相宗の道昭(700年)、天皇初の火葬は持統天皇(703年)だったが、遺骨祭祀ではなく、穢れを扱う僧侶の登場後に遺体・遺骨祭祀を伴う家祭祀へと変化。中世から近世にかけて地域の祭礼や寺院経営に影響力を持った宮座・堂座に着目し、共同体の精神性や祭礼の継承・教導に重要な役割を果たしたと解説した。

 共同体による共同祭祀の継承・教導の重要性を強調し、禁教が解かれた後も先祖の教えを捨てずカトリックに合流しなかった隠れキリシタンを例に挙げ日本仏教と比較。「隠れキリシタンは日本の土壌に馴染んで民俗宗教になったが、地域共同体がなくなり共同祭祀がなくなれば消滅する。日本仏教も日本の民俗宗教ではないか。地域の共同祭祀がなくなれば日本仏教も消滅する可能性がある」と警鐘を鳴らした。(続きは紙面をご覧ください)

2025/11/6
智山派代表会 「寺庭婦人」呼称を廃止 性別不問の「寺族」に統一 女性住職と〝寺庭男性〟増で


ジェンダー研究の取り組みなどを報告する三神総長 真言宗智山派(三神栄法宗務総長)の第141次定期教区代表会(深澤照生議長)が21~23日、京都市東山区の総本山智積院内宗務庁に招集された。寺族の中で女性に限定される「寺庭婦人」の呼称を宗制上から撤廃し、住職・前住職らの親族で性別不問の「寺族」に統一。「寺庭婦人規程」を廃止して「寺族規程」を新設し、各寺院の事情に応じて寺族の中から男女を問わずに寺族代表者を1人選定することになった。〝寺庭男性〟と呼ぶべき女性住職の配偶者が増える現状に対応した措置。

 久保田剛士総務部長は、「近年、女性教師の増加で女性住職・主管者も増え、男性の配偶者もいる。智山派では得度式や教師養成のカリキュラム、晋山でも性別による格差をなくす努力を重ねているが、宗法では寺庭婦人は寺族の中で住職や前住職等の『婦人』と規定されており、〝住職は男性〟が前提の条文となっている」と説明。「性別による固定観念を払拭する条文に改めることで、『智山派は性別によるハンデを克服している』という宗団の姿勢を社会に示すものとなる」と展望した。

 「今回の改正で『寺族会』に移行しても、従来の『寺庭婦人会』の組織構成は大きくは変わらず、今後は男女の区別なく入れるようになる」と説明。寺庭婦人への褒賞・功労章を寺族に対するものに変更するなど、表彰対象を拡大することで、将来的な寺院の活性化にも寄与すると期待した。 (続きは紙面でご覧下さい)

2025/11/6
安倍元首相銃撃事件 奈良地裁で公判開始 宗教学者の証人尋問も


 安倍晋三元首相銃撃事件の裁判員裁判(田中伸一裁判長)が奈良地方裁判所で10月28日から始まった。予備日を含めて19日の日程が設定され、来年1月21日に判決が言い渡される。初日の公判には32の傍聴席を求めて727人が近くの奈良公園に並んだ。

 2022年7月、選挙演説中の安倍元首相を手製の銃で殺害したとして殺人罪等で起訴された山上徹也被告。初公判では「私がしたことに間違いありません」と認めた。

 犯行に及んだ背景には、母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の献金をしたことがある。そのため希望する大学に進学できず、兄が自死してもいる。いわゆる宗教2世問題の要素もあり、第13回公判に予定されている宗教学者の証人尋問時の発言が注目される。

2025/11/6
ナルタン版日本最初の将来 チベット大蔵経を公開
ダライ・ラマ13世が寄贈 大本山總持寺 日置黙仙禅師が架け橋に


總持寺が所蔵するチベット大蔵経ナルタン版を閲覧する石濱教授(左)ら 横浜市鶴見区の曹洞宗大本山總持寺で10月23日、日本で最初に将来された同寺所蔵のチベット大蔵経ナルタン版が公開された。大正期の1914年にダライ・ラマ13世(1879~1933)から日置黙仙禅師(1847~1920、大本山永平寺66世)に贈られたもので、閲覧した石濱裕美子・早稲田大教授(チベット仏教史)は「とても保存状態が良く、紙の質も高い」と驚いた表情を見せた。

 ナルタン版はカンギュル(仏説部)とテンギュル(論疏部)が揃う四大版本の一つで、西チベットのナルタン寺で開版された大蔵経。1730~42年にかけて製作された。2つの伝承系統の経典が混在することなどから学術的に重要な版本とされる。

 日本に伝えられたチベット大蔵経は、真宗大谷派の寺本婉雅氏が1900年に入手した北京版が最初で、總持寺のナルタン版は2番目にあたる。ナルタン版としては、日置禅師への寄贈の翌年にあたる1915年にチベットから帰国した河口慧海氏が将来したものを東京大と大正大、後に東洋文庫も所蔵。経緯は不明というが、龍谷大も保有する。

 總持寺は103巻からなる仏説部を所蔵。寄贈された当時、日置禅師が總持寺の西堂を務めていたことから奉納されたと見られる。当初は1915年建立の仏殿に奉安され、戦時中には駒澤大で保管されていたこともあった。日置禅師が架け橋となってもたらされた大蔵経はこれまで広く知られていなかった。埋もれていた歴史に光を当てたのが、今回の公開を求めた石濱教授だ。(続きは紙面でご覧ください)

2025/11/6
善光寺大本願 川名観恵法主が晋山 法燈の護持を誓う


大本願に向けてお練りする川名法主 長野市の浄土宗大本山善光寺大本願で10月24日、鷹司誓玉法主の退任式と川名観恵法主(85)の晋山式が営まれた。122世の法燈を継いだ川名法主は「ご縁をいただいた皆さまと手を取り合って法燈を守るため精進したい」と誓った。

 秋晴れのもと、川名法主と式衆ら60人が門前の西方寺を出発して大本願までお練り。善光寺上人の姿に参道で多くの人が手を合わせた。

 浄土宗の大本山法主や宗内要職者、法類寺院、善光寺大勧進の栢木寛照貫主や来賓300人が参列。唐門で開門式、本誓殿前では角塔婆供養を営んだ川名法主は、一歩ずつ歩を進めて本誓殿に入堂。内陣に座した鷹司前法主の前に着座して「法燈譜」に記名、払子が授与された。初めに鷹司法主の退任式を執行。続いて川名法主の晋山式が執り行われ、本尊の一光三尊阿弥陀如来、開山尊光上人や歴代上人に法燈の継承を奉告した。(続きは紙面でご覧ください)

2025/11/3
日本宗平協「被爆80年」シンポ 9条守り核廃絶へ 宗教者の戦後問い平和願う 被団協・田中氏 ノーベル賞受賞も国民的運動にならず


(左から)宮城、山崎、榎本、福家4氏がパネル討論 「国連軍縮週間に呼応する日本宗教者平和会議」(主催=日本宗教者平和協議会)が20日、京都市東山区の音羽山清水寺大講堂圓通殿で開催され、宗教者や市民ら約180人が参加した。テーマは「戦後・被爆80年 核兵器も戦争もない世界を・宗教者の願い」。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳(てるみ)代表委員(長崎被爆者)が、「被爆者の運動とノーベル平和賞受賞の意義」と題して記念講演を行い、それを受けてのシンポジウムでこれからの平和活動のあり方を討議した。

 田中氏は、核保有国の指導者が核兵器の使用を「軽々しく口にする」現状に強い危機感を表明。「ノーベル賞委員会も緊迫した情勢に気付き〝アメリカに気兼ねしている時ではない〟と真剣に考え、日本被団協への授賞を決めたのではないか」と推断した。

 被爆者が中心となって核兵器の残酷性を訴えてきた運動で、核兵器を使わせない国際世論「核のタブー」が形成されたが、「その基盤が崩されようとしている」と憂慮。「日本政府は核兵器禁止条約に署名も批准もしていないが、被団協のノーベル平和賞受賞はチャンスになると思った。だが国民的運動にはならず、どこかで運動が弱くなっているのでは」と懸念した。

 一方、受賞を契機に欧州での手応えを実感していると語り、「核兵器は使用禁止を超えて、廃絶まで頑張らなければならない」と強調。被爆者の高齢化に言及した上で、「被爆者の運動に学び、それを継承するだけでなく、世界の人と一緒に活動に移してほしい」と次の世代に要請した。

 4氏をパネリストに、シンポジウム「『宗教者は戦後責任をどう果たすのか』を問う」を実施。コーディネーターの小野文珖・群馬諸宗教者の集い代表(日蓮宗僧侶)は、「今日の聞き手は明日の語り手」と来場者に呼びかけ、各自の立場での平和活動の実践を求めた。(続きは紙面をご覧ください)

2025/11/3
天台宗宗議会 機構改革の3部門提示 高リスク資産運用には慎重


演壇に立つ細野総長 天台宗は21日から24日までの日程で第159回通常宗議会(大澤貫秀議長)を滋賀県大津市の天台宗務庁に招集した。令和6年度各種決算、今年度の補正予算、僧籍規程の一部改正など全22議案を原案で可決。宗務庁空調設備、エレベーター、自動ドアなどの改修のため8500万円を支出することも議決された。

 細野細野舜海宗務総長は執務報告で、肝煎り政策の機構改革について3つの部門の設置を掲げた。①宗と環境の認識を踏まえ、将来に向けての組織のあり方を考えつつ寺院の存続が難しい場合の対応の検討ならびに教区・部画にまで及ぶ再編の方策などを模索する部門、②相次ぐ不祥事の予防と審判による社会的責任の果たし方を研究し、時代に即した規則を目指して宗規全般を検討し直す部門、③過去に提案された宗務庁の業務提案の改変案がなぜ実施に至らなかったのか検証し、各種委員会や関連団体を抜本的に精査する部門となっている。
(続きは紙面でご覧ください)