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2025/6/12
日蓮宗 終戦80年宗門法要営む 戦没者供養し立正平和を祈る


御親教を述べる菅野管長 日蓮宗は5日、東京都大田区の大本山池上本門寺で終戦80年戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要を執り行った。同寺貫首の菅野日彰管長が大導師を務め、戦死戦病者や戦災物故者の追善供養を祈った。法要後には、被爆体験証言者による特別講話も行われた。菅野管長は戦争の惨禍を「想像を絶する被害・苦しみ・悲しみは言葉で表せない人類史上最大級の被害」であると述べ、「二度と繰り返さない」と宗門を代表し霊前に誓った。

 法要は本殿で営まれ、総本山身延山久遠寺の持田日勇法主をはじめ宗務内局や本山貫首、宗会議員、宗務所長ら宗門要路が参列。菅野管長親修の下、副導師を川口久雄宗会議長、磯貝宣明審査会長が務めた。

 田中恵紳宗務総長による表白では、「諸霊に報いる道は係る無念を晴らすにあらず、身心安穏なる平和世界をこの土に築き上げることにある」と戦没者追悼を祈り、祖願である世界立正平和を祈願。続いて、参列者が心からの焼香を行った。

 昭和12年(1937)生まれの菅野管長は御親教で、終戦から80年の歳月が経過し戦争体験者が減っていることを危惧。「まるでこの状況を見透かしたように世界はまた争いの道に入ろうとしています。戦争未体験者による大国主義・専制主義がまかり通り、侵略者の自分勝手な理屈を別の専制主義者が正しいと言い始めている、私には原爆投下も含めた第三次世界大戦に向けての足音がヒタヒタと聞こえて参ります」と警鐘を鳴らした。

 唯一の被爆国である日本は、「戦うよりはるかに難しく重い忍耐心が求められる世界平和・対話の世界のリーダーになって頂きたく、ひたすら祈っております」と平和のメッセージを伝えた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/12
鈴木法衣店 護国寺で展示販売会企画 袈裟に伝統の技術あり ミッションは職人育成と仏教界への貢献


4代目となる鈴木社長 法衣・袈裟の製造販売を行う鈴木法衣店(東京本社=台東区元浅草)が6月26日から28日まで、真言宗豊山派大本山護国寺の月光殿(文京区大塚5—40—1)で展示販売会を開催する。1917年創業の老舗らしく展示会は「伝統と革新」をテーマに伝統技術が光る高級七條から機能性を重視した新時代の革新的な法衣までを展示し、同社の取り組みや、ものづくりに込めた想いをピーアールする。

 企画したのは4代目となる鈴木貴央社長(34)。真言宗と天台宗を中心とする法衣・袈裟を製造販売する同社は、寺院のパートナー企業を目指し、「仏教の継承と、寺院の発展に必要な商品、サービス、情報を提供する」と使命を掲げる。なかでも鈴木社長が注力するのが「伝統技術の承継」だ。同社の「製造部」には多くの職人が所属し、技術承継を担っている。しかし、伝統工芸の世界は後継ぎがなく廃業して技術が途絶えてしまうケースが少なくない。法衣作りにも織屋や染屋など多くの職人が携わっており、喫緊にして重要な課題だ。鈴木社長は次世代育成のため、全国各地を歩いて、技術を持ちながら活かせていない人や関心がある若者を見出して採用を進めている。「興味がある人は必ずいる。次世代育成は私たちがやらないといけないこと」と自覚的に取り組む。

 今回の展示会では弘法大師空海が唐で恵果阿闍梨から授かった「犍陀(けんだ)穀(こく)糸(し)袈裟(七条綴織袈裟)」を現代の技術で再現した最高峰の袈裟を設え、職人の技術に光を当てる展示も行う。展示は僧侶にとっても普段身につける袈裟や法衣が、いかに多くの職人の技術によって紡がれてきたかを知る貴重な機会となる。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/12
国際葬儀連盟・特別講演会 日本と共通 海外の葬儀 縮小はコロナで顕著に 火葬は増加傾向


墓地と環境対策について発表するスペインのヌリア・カプデビラ氏 全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)が加盟する国際葬儀連盟(FIAT―IFTA)の特別講演会が4日、横浜市のパシフィコ横浜を会場に開かれた。日本のほか米国、英国、スペインの代表が登壇した。キリスト教国では土葬が一般的とされてきたが、新型コロナもあって火葬や縮小化が増加傾向にあることが確認された。海外を中心に約100人が参加した。

 講演者は5人。うち3カ国は女性で、日本関連は男性が話した。すべて英語で行われ、日本人には同時通訳がついた。

 全米葬祭ディレクター協会(NFDA)のクリスティン・ペッパー代表は、ベビーブーム世代(60―78歳)、X世代(44-59歳)、ミレニアム世代(28-43歳)、Z世代(12―27歳)の葬儀に関する意識調査の結果について報告した。

 「葬儀は重要か」という問いに、各世代とも50%前後の回答だったが、もっとも高いのはZ世代の53%だった。また自身の埋葬に関して、28歳以上の世代は火葬指向が強いが、Z世代は棺による土葬が多く、保守的な一面をのぞかせた。

 新型コロナにより小さな葬式が増え、ペッパー氏は、新型コロナで死去した父親の葬儀に誰も呼ばないつもりでいた。見送りのない葬儀が増えていた頃だが、Z世代の娘から家族みんなで見送るべきと提案され、実際に遺体に「さよなら」を言えたと安堵したように話した。

 英国で5世代100年以上にわたり家業として葬祭業(AWリム社)を営んでいるジャッキー・ローズ氏は同国の葬儀事情について話した。同国でも火葬が普及している一方で、「お葬式をしないで、そのまま火葬するケースがある。それをテレビで広告している業者もあり、大きな社会的な問題だと思う」と説明。日本と近似した課題に直面していることが報告された。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/12
ほとけのファッション 夏だ!Tシャツ布教だ! 
佛現寺てらのみ公式T 雲林寺住職デザインの猫T


てらのみTを掲げて酒を酌み交わす(5月24日) 今年の夏も酷暑だろうか―とウンザリしてはいないだろうか。否、そんな時期だからこそ、涼しいTシャツを使っての布教、お寺おこしにはチャンスなのではないか。

 京都市中京区の浄土真宗本願寺派佛現寺は、毎月1回、本堂で日本酒マニアが集って酒を酌み交わす「てらのみ」というイベントを3年前から開催している。お寺で日本酒の試飲会というのはびっくり仰天だが、全国の銘酒、珍酒が飲めるということもあって近隣だけでなく大阪、和歌山、さらには台湾など海外からも左党が集まる人気イベントに。油小路和貴副住職は「近所の酒屋さんの試飲会に参加したのがきっかけ。どうせならこのお寺という場所を使って試飲会をやってみたらどうだろうと思って」と、ちょっとした閃きだったと振り返る。もちろん、飲んでばっかりではなく、ご本尊さまの前で仏教の話もある。

 そんな「てらのみ」の公式Tシャツがこの春に完成した。浄土宗僧侶の河村英昌氏が代表を務める㈱神社仏閣オンラインの仏教Tシャツブランド「僧伽」の製品の一つで、ゆる~い「てらのみ」の揮毫を配している。「僧伽」は寺宝や揮毫をデザインしたTシャツを作り通信販売し、売上の一部がお寺への支援金になる、というシステムで、現在、佛現寺のほかに3カ寺(京都市の大光寺と恵明院、岡山県真庭市の福王寺)のTシャツを取り扱っている。

 「へえ~、こんなTシャツ作ったんだ」「そうなんです、僧侶仲間から作ることを勧められて」「そりゃ買わなきゃネ」と、参加者との会話の肴にもなっている。飲み仲間だって、仏縁ある同朋。おそろいのTシャツがそんな連帯感を深めるのが面白い。(続きは紙面をご覧ください)

2025/6/9

大谷派大阪教区シンポ 浄土系3大宗派そろう 寺の新時代 熱くトーク


浄土系三大宗派の僧侶が刺激的提言を連発  真宗大谷派大阪教区青少幼年部教化推進実行委員会は23日、大阪市中央区の難波別院でシンポジウム「寺の新時代」を開催した。大谷派僧侶の木越康氏(大谷大学教授)、浄土真宗本願寺派僧侶の安永雄彦氏(西本願寺前執行長)、浄土宗僧侶の鵜飼秀徳氏(ジャーナリスト)が登壇し、刺激的な提言でお寺の奮起を説いた。

 木越氏はアメリカにおける真宗寺院の実態調査に基づき、日系人コミュニティの解体に伴い信仰の継承に困難を抱えている一方で「ものすごくお寺は元気。ひょっとしたら将来的にアメリカのほうがお寺は残るんじゃないかとも言われている」と指摘。寺はNPOであり、メンバーによる理事会が運営している。

 住職は儀式と法話を執行する「雇われ」の存在であるため、自分たちのお寺は自分たちが運営するという意識が強く「危機感をもってメンバーが動かしている」と、寺檀制度を経験していないゆえの生き生きとした活動があるとした。ただし「(日本では)真似はできないんじゃないでしょうか、住職の給料は高くないし」とも述べた。

 安永氏は銀行マン、コンサルの世界から50歳で僧侶になり、築地本願寺で7年2カ月間宗務長を務めた成果を発表。「私が行った2015年、数億円の赤字でした。『納骨堂も売れなくて宗教離れでどうしようもない』と言われたが、そんなことないだろうと」と発奮し、仏事相談のインフォメーションセンター、カフェ、カルチャーセンターのGINZAサロンなどを次々に展開した。特に合同墓は広く受け入れられ、利用者への帰敬式も積極的に行っている。

 「最初にこうストーリーを立てたら、ほとんどの人がそんなことはありえないと言っていた」と苦笑しつつ、小規模寺院が築地のノウハウを取り入れ成功した事実もあるとし、新しい門信徒と縁をつなぐ「寺の新時代」は規模にかかわらず努力次第で可能だと熱弁。また「寺の経営と会社の経営はほとんど共通」とし、聖職者の誇りを一度捨て、商売人の心になったつもりで寺を繁盛させることを説いた。ちなみに難波別院のある船場は「商人の町」でもある。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5

全日本仏教青年会 東大寺で花まつり千僧法要 終戦80年 世界の平和祈る 聖武天皇の願いを現代に


約300人が大仏殿目指して進列 全日本仏教青年会(全日仏青)は5月26日午後、昭和63年(1988)から続けている「仏法興隆花まつり千僧法要―和が儘に集い 和が為に祈る」を、奈良市の華厳宗大本山東大寺で勤修した。共催は東大寺と南都二六会。終戦80年に思いを致しながら、超宗派で世界平和を祈念した。

 小澤慧月教化研修委員長(金峯山青年僧の会)が金鐘ホールでの開会式で、38回目の超宗派の祈りの伝統を引き継いだことに感謝。新井順證理事長(和宗仏教青年連盟)が、「今年は阪神淡路大震災から30年、先の大戦から80年。この節目の年に大仏殿から世界中に祈りを届けたい」と祈祷力の結集を要請した。

 大勢の参拝者が参道両脇から見守る中、青年僧侶約300人が勇壮な法螺貝の音を先導に大仏殿を目指して厳かに進列。外国人観光客も多く、「何が始まるの?」と尋ねている人もいた。修学旅行生の中には、団扇太鼓を打ちながら進む全国日蓮宗青年会の幟旗を見て、「いのちに合掌!」と声を上げる男子中学生の姿も見られた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5
大谷派宗議会 「災害に強い教団」へ 被災時に特別教化金交付


施政方針を述べる木越総長 真宗大谷派の第77回宗議会(常会・望月慶子議長)が5月29日、京都市下京区の宗務所で始まった。木越渉宗務総長は施政方針演説で、「大規模災害被災教区の教化・運営を支えるための体制づくり」として「災害時特別教化交付金」を新設すると発表。「災害に強い教団」を目指して、今年から「新たな復興共済制度の検討」に関する宗務審議会を設置したとし、「宗派の共済・保険制度」の抜本的な改革への審議を始めたと説明した。

 長峯顕教財務長は2025年度予算で、一般会計の災害見舞費の不足を補填する基金「災害見舞準備金」(4月末現在の残高1億9232万円)を「災害対応準備金」と改め、一般会計から毎年1千万円を繰り入れ積み立てると説明。臨時部歳出に、「災害時特別教化交付金」を新設したと述べた。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5
第49回正力賞決定 本賞・藤田佳子氏(パネルシアター作家、淑徳大学客員教授) 奨励賞・中野浄昭氏(大分・浄土宗浄泉寺住職)


石巻市で行われたパネルシアターキャラバン浄泉寺で3代続く寺子屋活動と中野住職 (公財)全国青少年教化協議会(全青協)は5月29日、仏教精神に基づき日曜学校や子ども会などを通じて青少幼年の教化に尽力している個人や団体を顕彰する第49回正力松太郎賞を発表。本賞はパネルシアター作家で淑徳大学客員教授の藤田佳子氏が受賞した。奨励賞は中野浄昭氏(浄土宗浄泉寺住職/大分県国東市)、特別賞には𠮷岡秀人氏(認定NPO法人ジャパンハート最高顧問・小児外科医/東京都台東区)、(公社)三宝莚国際交流協会(理事長=栢木寛照・善光寺本坊大勧進貫主/事務局:滋賀県大津市)が選ばれた。

 本賞の藤田氏は1977年から視聴覚コミュニケーション教材「パネルシアター」を通して、仏教教育および仏教福祉活動を実践。パネルシアター創案者の古宇田亮順氏(浄土宗僧侶)のもとで研修を重ね、淑徳大学で教鞭を執り後進を指導し、情操教育の向上に尽力してきた。インドネシアのスマトラ島沖地震や東日本大震災の被災地でパネルシアターを通した支援活動を実施。アジア各国や中南米でパネルシアターの導入活動を進め、特別支援教育分野への展開にも取り組んでいる。その教育的価値や効果を広め、積極的に研究交流を行い、国内外で人と人を結び、心豊かな社会づくりに貢献する活動が高く評価された。

 奨励賞の中野氏は戦前から浄泉寺で3代にわたり「地域の寺子屋」として、子どもたちの学びと交流の場を提供。昭和20年代後半から開始した、小学生の米や芋を栽培する農業体験活動は現在まで続いている。「子ども信行道場」「花御堂の飾りつけ体験」「写経体験」など、仏教精神に根ざした地域青少年教化活動を継続的に実践してきたことが評価された。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/5
世界中で南無阿弥陀仏 24時間 不断念仏会20回の節目


大本山増上寺で念仏する参加者たち 毎年5月に営まれる「24時間不断念仏会」が17日午後1時から翌日にかけて東京・芝公園の浄土宗大本山増上寺で開かれた。今年で20回目となる節目に揃って参加した8総大本山をはじめ、オンラインでつながった世界各地の道場から称名を響かせた。

 「いつでも、どこでも、誰でも」をコンセプトに現代の念仏会を目指して2006年に始まった24時間不断念仏会。当初からインターネットを活用し、会場の制限を超えて各地に参加者が広がった。そのおかげもあって、コロナ禍の間も一度も中断せずに20年目を迎えられた。

 増上寺光摂殿に設置されたスクリーンに、全国各地の寺院から念仏する姿が届けられた。ハワイやブラジル、ドイツ、フランスなど海外の道場からも中継され、世界各地の約40カ所で心を合わせて南無阿弥陀仏が称えられた。

 事務局・観智院(芝公園)の土屋正道住職は「世界中のどこかで誰かが念仏し、そこにいつでも参加できるようになることが夢です。この20年間で技術革新が進み、可能性が広がりました。人口減や過疎化が待ち受ける将来の社会で、仏教を伝え続ける方法にもなると思っています」と語った。(続きは紙面でご覧ください)

2025/6/2
「ダイ・イン」で抗議 武器見本市に宗教者や市民


会場前で抗議行動を行う参加者ら 国際的な武器見本市「DSEI JAPAN」が5月21日、千葉県千葉市の幕張メッセで始まり、平和をつくり出す宗教者ネットや市民団体ら約350人が会場前で抗議のアピール行動を行った。

 同展は5月23日までの日程で国内外の企業・団体約420社が出展。後援には防衛省、経済産業省、警察庁、宇宙航空研究開発機構(JAXA)なども名を連ねている。日本では2019年に初開催され、2年ぶりの開催となる。

 抗議した市民たちは、「武器で稼ぐな」「誰の子どもも殺させない」「死の商人はお断り」と声をあげた。また海外での反戦行動から始まった集団で地面に横たわる「ダイ・イン」を行うなどして、同展に抗議の姿勢を示した。

 英国や米国、イスラエルなどの軍需企業も出展しており、イスラエルからの攻撃が続くパレスチナ・ガザ地区の平和を訴える人々も参加。

 ガザ地区出身のハニン・シアムさんは、日本で同展が開催されることについて「どうしてこんなことができるのか。日本人は戦争の意味を知っているはずです。二度と繰り返さないと毎年8月に祈りを捧げるあなたたちが、今、イスラエルの兵器企業を歓迎し、軍事代表団をもてなし、戦争犯罪人と握手している。会場内の企業は恥を知りなさい、あなたたちは防衛請負企業ではない。死の商人です」と批判した。

 日本山妙法寺の武田隆雄氏は、「武器見本市は、戦争展です。宗教者、特に仏教は、不殺生戒の教えをいただていますから、反対の意思を示していかなければいけない」と話した。

2025/5/29
曹洞宗 沖縄で梅花流全国奉詠大会
本土復帰の日に平和を祈る 南澤管長導師に終戦80年法要 全国から3千人参加


講員ら約3千人とともに戦争の犠牲者を慰霊し、香を焚く南澤管長 曹洞宗の梅花流全国奉詠大会が15日、沖縄市の沖縄サントリーアリーナで開かれた。終戦80年の節目で、沖縄の本土復帰の日にあたるこの日、全国各地の講員ら約3千人が鈴鉦の響きにのせて世界平和を祈った。

 奉詠に先立って、南澤道人管長(大本山永平寺貫首)を導師に「終戦80年平和祈念法要」が執り行われた。「戦災精霊供養御和讃」を唱和し、戦争で犠牲となったすべてのいのちに祈りが捧げられた。

 数え年で白寿を迎える南澤管長は戦時中を思い出すように垂示を述べ、「当時最後の決戦、本土防衛と言っていたが、沖縄の地が攻撃され、島民の皆さまが凄まじい戦に遭遇された。そのことを思いますと心が痛み、今でもやるせない思いでいっぱいです」と心を寄せ、「この記念すべき大会で心からご苦労された皆さまの御霊をお慰めいただき、今後の世界平和のために祈りを捧げてほしい」と語った。

 開会の挨拶に立った服部秀世宗務総長は「沖縄本土復帰という特別な日に平和を祈念し、全国奉詠大会を開催することは大変意義深い。沖縄の大地に平和のお唱えをお届けください」と話した。服部総長は大会前日の14日に糸満市の沖縄平和祈念堂を師範らと訪れ、奉詠を捧げて献花した。(続きは紙面でご覧ください)

2025/5/29
全日仏・大和証券 仏教実態調査報告書を発表 コロナ禍では高かったが 住職に期待せず 7割近く 女性住職肯定は66%


報告書「菩提寺への満足度」(全日仏HPより) (公財)全日本仏教会(全日仏)が大和証券と共同で実施した「仏教に関する実態把握調査(2024年度)」の報告書が16日、HP上で発表された。「住職に期待すること」の設問に「期待することはない」との回答が全体で68・6%に及び、「菩提寺あり」の回答者でも64%を超え、“寺離れ”を暗示する数値となった。また「寺院において女性が活躍しているか」という設問には、14・1%が「活躍していない」と答えたが、女性が住職に就くことには66%超が肯定した。

 今回の調査は、菩提寺、葬儀・法要、お墓の移動、合祀・合葬、お寺の復興支援、仏教寺院における女性活躍、お寺を取り巻く環境(AI倫理、拝観料)の7項目を設定。過去の調査と同様、「菩提寺あり」と「菩提寺なし」のほか性別、年代、居住地別で集計。有効回答は6192件。

 「菩提寺あり」を対象にした菩提寺満足度を尋ねた設問では、「満足」は39・8%にとどまった。報告書では「地方60代以上の満足度はやや高いが、40・50代では都心、地方にかかわらず満足度は低い」と分析。さらに「菩提寺や仏教との接点が高いほど菩提寺への満足度が高まることが想定される」とも解説し、菩提寺との関係の近さと満足度が比例しているようだ。

 「住職に期待すること」には全体の7割近くが「ない」と回答。「もっと社会貢献活動を行ってもらいたい」は13・3%だった。報告書では「住職には『社会貢献活動』を求める声が最も多いが、『期待することはない』と考える人が68・6%と高く浮かび上がった」としている。(続きは紙面でご覧ください)

2025/5/29
天台宗性加害審判 罷免処分の元住職が会見 被害の訴え「事実無根」


元住職と代理人弁護士が反論(21日、大阪市内) 女性僧侶の叡(えい)敦(ちょう)氏(50代)が男性住職2人の僧籍剥奪を求めて天台宗に告発した性暴力被害の審判決定を受け、罷免処分(住職解任)となった元住職(60代)とその師僧で「懲戒に該当しない」と認定された大僧正(80代)側が21日午後、初となる会見を大阪市内で開いた。代理人弁護士2氏と元住職の3人が出席し、叡敦氏の訴えを「事実無根」と全否定した。

 宗内の司法機関・審理局が元住職に罷免処分を下したのは、「住職でありながら既婚者である叡敦氏と夫婦同然の同居生活を合計約10年間自坊で続けた」から。「天台宗僧侶としての本分を忘れた非違行為」と断じた。一方、「相手方(叡敦氏)の健康障害の治癒・克服の支援に尽くし、共にお寺の護持運営や事業の遂行に工夫して協力してきた経緯」はあったとした。

 叡敦氏が訴えた「意に反した性行為、侮辱や恫喝、尼僧の偽装、剃髪等の加害行為、心理的監禁状態の継続、ストーカー行為、強制的性行為、強姦、仏の名を借りた性加害、抵抗できなくして支配」などは、「確認できない」と不認定に。元住職には、「今後、僧侶としての品位を汚すことなく聖行を全うすることを願う」と付言した。

 叡敦氏の助けを求める声を無視して弟子の性加害行為を助長したと申し立てられた大僧正については、「精査した結果、非違行為は認められない」と結論。1月から3回の審判会を経て、4月15日に審判決定が確定した。

 元住職の代理人・田渕学弁護士の説明に続き、元住職が「この度、天台宗のみならず師匠をはじめ多くの宗教者や信者に多大な心配をかけたことを、心よりお詫び申し上げる」と陳謝。「性加害行為はこれまで高松地方検察庁でも嫌疑不十分により不起訴処分を受けているが、審理局でも正しく判断していただいた」と述べ、「今後は、今回の懲戒処分を重く受け止めて深く反省し、師匠の指導の下、僧侶として修行に励みたい」と語った。

 大僧正の声を森美穂弁護士が代読。「多くの事実でないこと」で訴えられたが、「弁明書や(反論の)証拠書類を提出したところ、正しい判断がなされた」とし、叡敦氏の申立と報道の影響で「天台宗だけでなく宗教関係者の名誉と信用を大きく毀損することとなった。まさに断腸の思いであり、誠に申し訳ない」とした。

 今会見の内容は、叡敦氏のほぼ全ての主張と真っ向から食い違う。叡敦氏側は、「事実と異なる点が多く、大変憤りを感じる。信仰虐待(スピリチュアル・アビュース)の点が抜け落ち、単なる男女の問題とされたことは耐えがたい」とコメントしている。(記事全文は紙面をご覧ください)