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2009/01/01 駒沢大学 理事長を解任

資産運用の失敗で巨額の損失をだした曹洞宗宗門校の駒澤大学(東京都世田谷区)は18日、臨時理事会・評議員会を開き宮本延雄理事長を解任した。総長・学長・副学長・事務局長の4人の常任理事も辞意表明したが、年度末で諸行事が重なることなどから学長等の不在は避ける必要があり、当面留任することとなった。理事長職は大谷哲夫総長が代行する。

大学ホームページで大谷理事長代行と池田学長の連名で報告。「大学としてはこの調査報告書を真摯に受け止め、これを確実に実行し、今後の大学経営に努めてまいる所存です」「大学はこのたびのことによって、教育・研究等の大学の諸活動が停滞することなく、これまでどおり遂行できるよう各種準備を整えておりますので、学生の皆様は安心して勉学に励んでいただきたいと切に願っております」と述べている。

2009/01/01 ひきこもり当事者でお寺を清掃奉仕

149615154f2dba_L1.jpg全国で不登校やニート、ひきこもりなどの青少年の自立支援活動を行っているお寺のネットワーク「てらネットEN」は12月17日、東京・港区の浄土真宗本願寺派光明寺で、「楽しく年越し隊」(自助グループ「シンシア」定例会)を開いた。

会は妙法蓮華経の読経からはじまり、続いてお寺ならではのゆったりとした時間の中で、参加者それぞれのペースに合わせて境内の掃除を行った。掃除の後は、スタッフお手製の白玉団子を頂きながらフリートーク。会の終わりは念仏を唱えた。

「シンシア」では、他にも坐禅、ヨガを取り入れたリラクゼーションを行う会も企画。またひきこもり当事者を対象に機関誌の発送作業やウェイターやウェイトレスを体験できる就労体験の場も設けている。

2009/01/01 本願寺派特別宗会 不二川総長を信任

1496155411b682_L1.jpg浄土真宗本願寺派の第289回特別宗会が12月15・16日の2日間、京都市下京区の宗務所で開かれ、不二川公勝総長の信任を問う議案が可決された。続投が決まった不二川総長は「引き続き宗務を担わせていただくことでありますが、この結果を重く受け止め、まさに宗門の新たな始まりを期する決意を新たにいたしております」と気を引き締めていた。

不二川総長は秋の定宗で平成19年度大遠忌決算報告が否決された際、その表決が宗会議員である総局員・特別職を数に入れない不当な表決(宗法第50条違反)だったとして10月29日に宗会を解散。今回の特別宗会は、この解散とその後の宗会議員選挙を受けて招集されたもので、解散総選挙後の宗会では規定により総長の信任が問われなければならず、その結果が注目された。

投票の結果は総数77票中(議長除く)信任に賛成が43票、反対が34票で、賛成票が過半数を超え、不二川総長の信任案が可決された。

議長選挙では、山口教区4期目、直前まで総務だった桑羽隆慈議員が選出された。本会議選挙では63票を獲得し(この他木下議員6、白票7、無効1票)議長就任が決まった。一方、門徒議員から選ばれる副議長には富山教区4期目の中田清吉議員が75票を獲得して選出された(この他岡田満議員1、白票1)。

2009/01/15 日蓮宗御用始め

1496da15d9c34c_L1.jpg日蓮宗(小松浄慎宗務総長)は9日、東京・池上の宗務院講堂で、今年の「御用始め」を開催した。式典は酒井日慈管長を導師に厳修。酒井管長は挨拶で「今年は立正安国論奏進750年の節目ある嘉辰を迎え、宗門を挙げて立正安国お題目結縁運動を展開する」と宗門全体で結縁運動を進めていく意気込みを語った。

酒井管長は結縁運動の意義についても触れ、「運動のスローガンとして『いのちに合掌』を掲げている。この場合のいのちとは生命という意味でだけではなく、法華経を経持していることだと思う。法華経をもって慈しみ、共に携えあっていくことが結縁運動を意味あるものにすると存じます」と一丸となって日蓮聖人の教えを広めることを呼びかけた。(8・15合併号)

2009/01/15 立正佼成会 書き初めに「蓮華」

1496da3945c938_L1.jpg立正佼成会(庭野日鑛会長)は7日、東京・杉並の大聖堂で一年のスタートとなる御親教式典を執行した。檀上には庭野会長の書き初め「合掌」と「蓮華」の2つの言葉が掲げられた。3800人の参拝者を前に庭野会長は蓮華の本質について説いた。

同会の所依とする「妙法蓮華経」。大聖堂の本尊の台座も蓮華を模していることなどを説明した庭野会長は、「蓮の華は泥の中からしか立ち上がってこない。泥を人生になぞらえると、辛いこと、大変なことを体験した人は蓮のように華を咲かせることができる」とした。 さらに蓮は、華が咲くと受粉なしに実がなる「華実同時」であり華を咲けば必ず実がなること。華はきれいに咲くけれども泥の汚れに染まらない「汚泥不染」であること。泥水から立ち上がった蓮はすべて咲ききることから「蓮にあだ花なし」と――3点の特色を述べ、同会の原点と重ね合わせた。(8・15合併号)

2009/01/15 パレスチナ問題 超宗派で平和活動

1496da4aaa9dbe_L1.jpgガザ地区へのイスラエル軍の大規模な攻撃に抗議するピースパレードが10日、パレスチナ問題に取り組むNGOなどが共同して東京都港区周辺で行われた。パレードには約1500人もの市民が参加。超宗派の関連NGO団体などが呼びかけ団体に名を連ねた。10日から11日にかけては国内や世界各地で反戦平和デモが行われ、世界の市民が一斉に声をあげる形となった。

パレード後に日本聖公会アンデレ教会(東京港区)で行われたシンポジウムには、約500人が来場。冒頭で仏教・キリスト教・イスラム教の聖職者が挨拶し、仏教界からは浄土宗の茂田真澄氏(アーユス仏教国際協力ネットワーク理事長)が平和を訴えた。

茂田氏は「激しい攻撃に晒されているパレスチナの人たちが、今一体どんな状態であるのか、それがずっと気になって頭からはなれません」と事態の深刻さを憂慮。「難しいですが、平和や自由を願う我々は、悲しみに耐え、その中で正しい行動をする必要がある。一緒に力を合わせましょう」と会場に呼びかけた。

2009/01/22 浄土宗 新総長に里見法雄氏

浄土宗の稲岡康純宗務総長の辞意表明に伴う第96次臨時宗議会が14日、京都市東山区の宗務庁に招集され、宗議会議員の里見法雄氏(大阪教区正念寺住職)が対立候補の松本眞岳氏(岡山教区寿正寺住職)を破って後任の総長に選ばれた。大阪教区からの総長就任は浄土宗・本派浄土宗合同後初の総長となった故小林大巌氏(在任期間=昭和37年4月~46年12月)以来。任期は稲岡前総長の残任期間で2011年11月まで。

2009/01/22 四方僧伽日本代表「仏陀銀行」を提唱

149781c5f61977_L1.jpg宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会・関東ブロックは10日、東京・中央区の築地本願寺で講演会を開催した。同会幹事の井本勝幸氏(四方僧伽日本代表)が昨年11月にインド・ニューデリーで行われた「国際チベットサポート会議」の報告をすると共に、四方僧伽の活動、提唱する「仏陀銀行」について概説。僧侶や一般人ら約70人が参加した。

貧困、人権、環境問題の根底には「利子がついた資本主義経済、経済成長を強制される金融システムがある」とし、これを乗り越えるため無利子の小規模融資と地域通貨の運用で「僧伽という共同体のなかで経済を循環させる」という「仏陀銀行」を提唱。

小規模融資は無利子で、返済や自立に向けての教導・相談役は僧侶・銀行員が中心。地域通貨の単位は「ボーディー」で、コミュニティ内の個々人の職能(例えば、車の修理、ベビーシッター、手作りパン)を交換し合うというもの。国家通過への依存度を低減させ、誰もが地域作りに参加できるようにし、「お金はツールであって、人間を支配するものではない、という認識に戻らせる」ことが大きな狙い。今年からカンボジアで試用を始めるという。

2009/01/22 震災から14年 全日仏青・神戸JBが追悼法要

149781f31bdb5e_L1.jpg95年の阪神淡路大震災から丸14年を迎えた17日、被災地・神戸市では今年も僧侶らによる慰霊・追悼が行われた。

毎年慰霊行脚を続けてきた全日本仏教青年会(全日仏青、五條良知理事長)と神戸青年仏教徒会(神戸JB、冨士荘貴理事長)は、今年は行脚を取り止め、30人ほどで地震発生時刻の午前5時46分から長田区で追悼行事を営んだ。

同区海運町3丁目のカトリック鷹取教会での合同追悼では、金峯山青年僧が法螺貝を吹き鳴らして黙祷。僧侶らが般若心経を読経する間、神田裕神父はじめ参列者が焼香した。そして宗教者一同の名で《被災地にあって復興を創ろうとするすべての人々と共に、震災を生きるものとして、私たちも一つになりたいと願います》とのメッセージが読み上げられた。

同区日吉5丁目にある震災後建立された「あわせ地蔵」でも神戸JBの冨士理事長が導師を務めて追悼法要を厳修。地元住民が焼香して犠牲者を供養した。法要には04年10月の新潟県中越地震で被災した旧山古志村村長、長島忠美衆議院議員も「思いを共有するつもりで」と参列していた。

五條理事長は「鷹取教会でやるのは3年目ですが、時を同じくして祈ることは震災を伝える意味もあります。亡くなった人や被害にあった人にも祈りの光が届けばと思います」と話した。冨士理事長は「風化ということが言われますが一人ひとり手を合わせれば風化することはないのでは。今後とも続けていきたい」と話していた。

2009/01/29 埼玉佛教保育協会 幼児画展を開催

14982677e5b2e5_L1.jpg埼玉県佛教保育協会(丹羽尊照会長)は17・18日、第24回埼玉佛教幼児画展をさいたま市文化センター(埼玉県さいたま市)で開催した。

同展は埼玉県佛教保育教会が加盟園の先生方と一緒に運営から展示までを行っているお手製の展覧会。11の加盟幼稚園から子どもたちの元気な絵が出展され、3歳児から5歳児までの幼児画、312点が展示された。

佛教保育らしく、中には観音さまやお地蔵さまの絵もあり、幼児の目を通して見た素直な感動が子どもらしく自由に描かれていた。

スタッフ代表の金子嘉広氏(埼玉県佛教会事務局長)は「上手いとか下手ではなく、どの子の絵もみんな生き生きとしていて気持ちが良い。元気がもらえます」と出展作品の印象を語った。

展示会は特別順位や賞を決めるわけではないが、展示された園児は一人ひとり賞状の授与が行われる。賞状をもらった園児たちは満面の笑顔で保護者に報告していた。

金子氏は親子連れの笑顔で一杯の会場を見ながら「3つ子魂百まで、といいますが、小さい頃のことは案外覚えているもの。何かの時に思い出し、良い思い出になってくれれば」と子どもたちの未来に思いを馳せていた。

2009/01/29 第43回仏教伝道文化賞決定

㈶仏教伝道協会(沼田智秀会長)は21日、第43回仏教伝道文化賞選定委員会(金光寿郎委員長)を開き、A項(研究・論文・著述・翻訳・踏査・出版・その他)に駒澤大学名誉教授の奈良康明氏、功労賞に龍谷大学名誉教授の稲垣久雄氏を選定した。

奈良氏は昭和4年、東京都出身。長年にわたってインド宗教文化史という独自の領域を開拓し、多数の論文、著作を発表。広く仏教学術振興に寄与してきたことが評価された。駒澤大学においては教授、学長をつとめ、研究指導を行うとともに、総長として学術行政に尽力。平成20年には瑞宝中綬賞を受賞している。

稲垣氏は浄土真宗系統の経典の英訳、『日英仏教語辞典』を編集出版。国際的な視野から浄土教を中心とした大乗仏教の教義や信仰を研究、仏教の国際的理解の深化に貢献した。昭和4年生まれ、兵庫県出身。龍谷大学教授、国際真宗学会の事務局長、会長を歴任した。

贈呈式は3月12日、東京・芝の仏教伝道センタービルで執り行われる。受賞者には記念品と賞金300万円が贈られる。

2009/01/29 浄土真宗本願寺派 御影堂が修復完了

149826b5544246_L1.jpg浄土真宗本願寺派(不二川公勝総長)の本山御影堂(重要文化財)修復が昨年末で完了したのを受け4月1日に御真影動座式、翌2日に完成奉告法要、また5月22~26日まで完成慶讃法要が勤修される。

現在の御影堂は江戸時代の寛永13年(1636)に再建。その後50年おきに修理が行われてきたが、経年で屋根瓦の破損し小屋組・壁面等が劣化。このため平成10年10月に修復を開始。10年の歳月をかけ、屋根は土葺きから空葺きにした上、瓦を葺き替え、内外陣廻りの彩色補修、障壁画の補修等を実施して昨年末に完了した。総事業費は55億7150万円(6割が国の補助)。

1月20日には工事を終えた御影堂内部を報道陣に公開、不二川総長が動座・法要日程を発表して参拝を呼び掛けるとともに「2011年の750回大遠忌へ着実な歩みを進め、より多くの人にお念仏の『和』を広げてまいりたい」と話した。

堂内中央の「見真」額については「外す理由が相当なくては外せない。勅額だから外せという人もいるが、天皇がつけたから悪いというのは理由にはならない。『見真』という表現は的確ですから降ろす理由はない」と述べた。

2009/02/05 駒澤大学 新理事長に佐々木氏

資産運用の失敗で154億円の損失を出し、理事長を解任した学校法人駒澤大学(東京都世田谷区)は1月30日、理事会を開き、新理事長に佐々木孝一氏(曹洞宗教学部長)を選び、同日就任した。任期は平成22年3月までの残任期間。

昨秋、巨額の損失が明らかになった駒澤大学は特別調査委員会を設置し、その原因等を調査。調査委員会の報告書の中で最高責任者として解任することが相当との指摘がなされた。これをうけて12月18日、理事会で解任を決定した。また大谷哲夫総長、池田練太郎学長も辞意を表明したが、当面留任することとなり、大谷総長が理事長を代行していた。
佐々木理事長は曹洞宗教学部長との兼任となる。就任にあたり、以下の所信を発表した。

〈特別調査委員会報告書の提言に沿って理事長の下に学校法人の運営を検討するために学校法人駒澤大学運営検討委員会(仮称)を設置し、以下の点について取り組んでいく。
(1)法人の理念に基づく使命と経営哲学の再確認
(2)内部統制システムの構築
(3)コンプライアンスに関する意識の徹底
なお、以下の点については速やかに実施する。
①諸規定の整備②資金運用に関する責任の明確化と運用組織の創設③法人運営の執行体制の強化④監事を含む監査体制の強化〉

佐々木理事長は昭和6年生まれ、77歳。駒澤大学卒業。曹洞宗宗議会議員(總持寺系)で、同11月から学校法人駒澤大学理事・評議員。自坊は東京都文京区の大林寺。

2009/02/05 大本節分大祭 パレスチナの平和祈る

1498ab53247c31_L1.jpg乱れた世の立替え立直しのため国祖の大神が復権したのを寿ぎ世界の邪気を祓い清める大本(出口紅教主)の節分大祭が3日夜から4日午前にかけて京都府綾部市の本部・長生殿で執り行われ、緊張続くパレスチナの平和などを祈った。

儀式開始に先立ち昨年8月に就任した松田行彦本部長が挨拶したのに続き出口教主が挨拶。パレスチナでの紛争に言及し「この争いで多くの人々の尊いいのちが奪われ今も緊張状態が続いていますことは誠に残念でなりません」と表明。その上で「一日も早い根本的な解決がなされ中東に平和が訪れ、さらには世界中の人々が安心して喜んで暮らせる世の中になりますよう、今日の節分大祭に皆様と共に人群万類の平安と幸福をお祈りさせていただきたく存じます」と述べた。

世界の邪気を祓い一切を清める大潔斎神事では伝統衣装を着た信徒の女子高校生2人がみやびな「潔斎の舞」を舞ってみせた。

2009/02/05 全日仏 3年めどに公益財団へ

1498ab6b8e2aa1_L1.jpg財全日本仏教会(全日仏、豊原大成理事長)は1月29日、都内のホテルで理事会・評議員会を開き、4月から始まる新年度事業計画や予算などを審議し、承認した。

新公益法人制度の導入により、全日仏は3年をめどに移行する方針を固めた。財団50周年の3大事業は昨年11月のWFB世界仏教徒会議日本大会で終了し、50年記念誌を残すのみとなった。昨年の理事会・評議員会で導入が決まった賛助会員制度の運営状況も報告され、さらに拡充していく方針が確認された。

理事会・評議員会終了後、恒例の新年懇親会が催され、与野党国会議員 人を含む約300人が出席した。懇親会の冒頭に松長有慶会長(高野山真言宗管長)が挨拶し、30年ぶりに開催された浅草でのWFB大会の協力に感謝しつつ、「日本で唯一の超宗派仏教による全日仏は半世紀を超え、さらに輝かしいものになるようお力添えを給わりたい」と述べた。

豊原理事長も、日本を含め世界の状況を憂慮し、「もっと心の問題に取り組む必要があるが、その曲がり角に来ているのではないか」と投げかけた。

2009/02/12 全仏婦修正会 活動団体に募金贈呈

14993efc919a5e_L1.jpg㈳全日本仏教婦人連盟(全仏婦/大谷貴代子会長)は5日、東京・新宿の京王プラザホテルで、修正会を開催。全仏婦会員、各宗・教団の来賓など約150人が参集し、新たな年を迎え、改めて活動への意欲を深めた。

はじめに㈶全日本仏教尼僧法団が出仕し、笹川亮宣理事長を導師に法要を厳修。大谷会長の挨拶では現在の社会不安に触れながら「どんなに雨が降っても晴れる日が参りますように、そこには必ず出口がある」と展望。「互いに譲り合い支えあうことが、多くの人たちの幸せにつながる。労りや慈しみは必ず信頼を生み出す」とし「自ら努めて励み、明るさを取り戻して本年が良い年になりますことを心から願います」と所感を述べた。

恒例の「心の募金」では16万円が寄せられ、シャンティ国際ボランティア会の関尚士事務局長にその場で手渡された。
また会場には全仏婦の「写経運動」「文化講座」「花の種運動」「タオル運動」などを紹介するパネルを展示し、運動への協力をアピールした。

2009/02/12 日蓮宗 荒行成満会を執行

14993f162d6019_L1.jpg日蓮宗加行所(佐野前暁伝師)と遠寿院荒行堂(戸田日晨伝師)の成満会が10日、千葉県市川市の中山法華経寺(新井日湛貫首)と遠寿院で厳修された。遠寿院荒行堂で14人全員が成満(五行1人、三行4人、再行4人、初行5人)。日蓮宗加行所は175人(参籠5人、五行7人、四行7人、三行29人、再行48人、初行79人)が成満し、退堂者は2人に留まった。修法師となるため、自己と戦い続けた入行僧たちの寒100日間の荒行が終了し、結実を迎えた。

法華経寺にて挨拶に立った小松浄慎宗務総長は、昼夜精進を重ねた行僧を称えるとともに立正安国論奏進750年という節目を鑑み、「この重要な年にあってこそ、入行僧各上人には広く、そして力強いご活躍を切に願う」と現在展開中の宗門運動への尽力を呼びかけた。

2009/02/12 国際仏教興隆協会 新竺主に半田座主

財国際仏教興隆協会(安田暎胤理事長)は先月、釈尊成道の地であるインド・ブッダガヤに開山している印度山日本寺第5世竺主に半田孝淳・天台座主(91)の就任を発表した。

第4世竺主だった中村康隆氏(元浄土門主)が昨年5月に逝去したため、空白になっていた。同協会では印度山日本寺推戴委員会を開いて後任竺主を選考し、半田座主を決定。半田座主もこれを了承した。

就任にあたり半田座主は「諸大徳ならびに関係各位のご指導とご協力をいただき、また先達竺主諸師方のご加護ご薫導を恃んで、仏恩報謝仏法興隆のため、ブッダガヤ日本寺の竺主として微力を捧げたく存じております」と決意を表している。

半田座主は大正6年(1917)6月生まれ。宗議会議員や教学部長等を歴任。早くから世界平和のため海外の平和の祈りなどに積極的に参加。京都・曼殊院門跡門主を経て2年前に第256世天台座主に。

晋山式は未定。健康状態により訪印できなかった中村第4世竺主は総本山知恩院で竺主晋山式を挙行したが、そのほかはすべて日本寺で行っており、半田竺主も現地で執行する可能性がある。昨年、財全国青少年教化協議会(全青協)会長にも就いた。

ところで、同協会は現在、現地に「仏教学・東洋学研究所」の建設を目指している。昨年2月には安田理事長らが参席して定礎式を実施。この事業のため広く勧募を呼びかけている。

2009/02/19 日蓮宗 法華経写経揮毫成就奉告会

1499cfb4234841_L1.jpg日蓮宗総本山身延山久遠寺の復元された五重塔へ奉納される法華経写経の揮毫成就奉告会が5日、東京・大田区の池上本門寺朗峰会館で行われた。

今回揮毫された写経は、26日に身延山で行われる五重塔の入仏遷座式で奉納され、その後は原則公開されない。今月1日に身延山での展覧はあったが、一般には最後のお披露目となる。

奉納される法華経は書家の柳田泰山氏(泰書会主宰)が謹書したもの。一文字約7㍉四方の大きさで7万字が並び、全て楷書で一字一字丹念に書かれている。どの文字も稟とした書風に経典の精神が宿り、訪れた人は思わず感嘆の息を漏らしていた。

奉告会では酒井日慈貫首を交え大揮毫も行われ、約5㍍四方の大判の和紙に約25㌔の巨大な筆で豪快に法華経の「華」の一字をしるした。

2009/02/19 国際仏教興隆協会 財団40年・日本寺35年祝う

1499cfc7218ea9_L1.jpg財団法人国際仏教興隆協会(理事長=安田暎胤薬師寺管主)は13日夕、京都市内のホテルで、財団設立40周年と同協会が運営する印度山日本寺(ブッダガヤ)の開山35周年を祝う記念式典を開いた。同寺第5世竺主に1月に就任した半田孝淳天台座主も出席し、関係する団体役員がこれまでの歩みを振り返り、今後の取り組みに決意などを述べた。式典には協会を支援する各宗派役員など130人が出席した。

国際仏教興隆協会は、インドに日本の寺の建立を目指して組織され昭和43年7月に財団設立。初代理事長は巌谷勝雄浄土宗祐天寺(東京都目黒区)前住職。インド政府の協力でブッダガヤに土地の租借を受け同45年に宿泊施設の国際仏教会館、同48年12月に日本寺本堂を建設した。同51年から仏教研究国際シンポジウム「国際仏教徒結集」を始めた。同52年には日仏保から建物の寄贈を受け無料保育施設「菩提樹学園」開設。59年に全日仏婦の寄付で無料診療所「光明施療院」を開設し、福祉事業も展開。

現在は日本学や仏教学研究の「仏教学東洋学研究所」建設を目指して勧募に取り組んでいる。

2009/02/19 浄土真宗本願寺派札幌別院 「駆け込み寺」10人入居

1499cfdbf79584_L1.jpg経済不況が深刻さを増す中、解雇などによって職と住居を失った人々を支援しようと、浄土真宗本願寺派の本願寺札幌別院(藤井純恵輪番・札幌市中央区)に14日、「さっぽろ駆け込み寺」が開設された。連合北海道(高柳薫会長)の要請を受けたもので、再就職活動中の臨時宿舎として4月末まで無償提供される。

17日までに10人(全員男性)が入居(うち1人は予定、定員は20人程度)。同別院3階「風月の間」(和室・約30畳)を仮住まいとし、就職活動に励む。
連合北海道が、災害時の救援活動に積極的な同別院に「駆け込み寺」案を打診。派遣村報道に接し、「私たちにも何かできないか」と思いをめぐらせていた藤井輪番と意見が一致した。光熱費や貸し布団、ロッカー代などの費用約80万円は連合側が負担する。

入居対象は、道民か道内出身者で労働意欲のある独身・単身者。滞在は最長60日までとし、食事・入浴・洗濯等は各自で確保のこと(トイレ・洗面所は常時利用可)。年齢・性別・宗教は問わない。

2009/02/26 第1回浄土宗平和賞 大河内氏受賞

浄土宗平和協会(荻野順雄理事長)は19日、東京・芝公園の浄土宗宗務庁だ第1回浄土宗平和賞の選考委員会(委員長=熊岡路也前JVC代表幹事)を開いた。候補に上っている11個人・団体から、大阪で活動するNPO法人ビハーラ21の理事で願生寺副住職(29)の大河内大博氏が決まった。

浄土宗平和賞は、幅広い分野で公益のための活動を行っている浄土宗寺院・教師(僧侶)、教師が代表を務める団体を顕彰し、支援するもの。活動事例としては、街並み保存や自殺防止対策、国際支援・交流など。

第1回の候補も街作りや福祉支援、留学生支援など多岐にわたり、10人の選考委員の間で質疑と議論が交わされ。そして最終的に大河内氏の授賞が決まった。

大河内氏は、大学時代にビハーラ活動を知り、論文テーマも「ターミナルケア」を選んだ。後に長岡西病院ビハーラ病棟でビハーラ僧として研鑽を積み、郷里の大阪に戻ってからは緩和ケア病棟でボランティアを実践。03年4月、超宗派によるビハーラ21を結成し、事務局を担っている。地域に根ざした実践と共にビハーラ僧養成講座の開催など、人材育成に努めていることなどから「若くして実践と理論の慮上面に秀でている」と評価された。

表彰式は6月9日、京都の浄土宗宗務庁で。同協会総会の際に行われる。賞状と賞金(30万円)が贈られる。

“青天の霹靂” 受賞した大河内大博氏の話
このような賞があるとは知りませんでした。晴天の霹靂です。お世話になっているお上人が推薦してくれていたようです。第1回の受賞ということですが、自分よりも長く色々な活動に取り組んでいる先輩方がいらっしゃいますから、恐縮しているところです。若造の自分が選ばれたことには、これからもっと頑張れという期待を込めての選定だと受けとめています。これを機会により一層努力していきたいと思います。

2009/02/26 浄土宗総研シンポ 「葬式仏教」問い直す

149a7404388ee0_L1.jpg浄土宗総合研究所は20日、東京・芝公園の大本山増上寺三縁ホールで公開シンポジウム「崩れゆく葬祭のこころ いま!問い直す『葬式仏教』」を開催。葬儀形態が多様化するなか、葬式仏教の現状と葬式の現代的意義を改めて問い直した。

初めに池上良正氏(駒澤大学教授)が「葬式仏教から死者供養仏教へ」と題し基調講演。

池上氏は葬式仏教への批判の要因がプロテスタント的な「宗教観」を背景とした「儀礼は信仰の表れという考え方」であるとし、「庶民の実践は、内面の信仰もないまま慣習の惰性に流された価値の低いものと見なされた」と解説。対して「儀礼の持つ価値を十分に認めていく必要がある」と話した。

そのうえで、死者供養が「信仰」ではなく、「生きている人の功徳が死者の運命を変える。供養された死者は生きている人を守る」といった一般に浸透した緩やかな「通念」や「イメージ」に支えられてきたとした。

パネルディスカッションでは名和清隆氏(浄土宗総合研究所研究員)、竹内弘道氏(曹洞宗総合研究センター主任研究員)、井上治代氏(東洋大学准教授)、溝口勝巳(溝口祭典社長)が登壇。井上氏は核家族化や子どものいない高齢者世帯の増加といった「家族」形態が、葬祭儀礼を「集団」から「個人」を単位としたものに変化させたと考察。「脱継承」や「自然志向」を反映した代替システムとして家族葬や樹木葬を位置づけた。

溝口氏は「お布施の意味を説明し、法話をきちっとしほしい」と要望。法施や財施の意味を見つめ「心からお布施をしたくなるような環境をつくる」ことを課題とし、「葬儀社の演出ではなく、ご導師による感動的な葬儀が至るところで営まれることが最大の目標」と仏教界との連携を求めた。

討議では池上氏が今後の葬儀・寺院についても「檀家制度をベースにしながらもそこに安住することなく、死者を中心にし、弔う人々の共同体を作る」と将来像を示した。

井上氏は檀家制度に対して、継承制のない会員制を提案し、「自分たちが選んだという意識、自由度が宗教性を高めこともある」と指摘。一方で悲嘆にある人をはじめとする多くの人が「今日明日を生きていく糧として、宗教を欲している」とその力に期待を寄せた。

2009/02/26 第26回庭野平和賞 ギデオン参事司祭に

庭野平和財団(庭野欽司郎理事長)は20日、宗教間対話・協力を通じて平和の実現に尽力した人・団体に贈る第26回庭野平和賞を、エイズへの偏見・差別を取り除き、感染者の人権擁護に貢献したアフリカ・ウガンダの聖公会牧師、ギデオン・バグマ・ビャムギシャ参事司祭(49)に贈ると発表した。

ギデオン参事司祭は1959年8月ウガンダ生まれ。91年に前妻がエイズで死亡した後、自身のエイズ感染を知り(感染原因は不明)、翌92年エイズに対する強い偏見のある中、アフリカのキリスト教聖職者として初めてエイズ感染を公表。感染者として、エイズへの偏見の解消、感染予防などに取り組んだ。

授賞式は5月7日午前10時半から、東京・有楽町の日本外国特派員協会で行われ、ギデオン参事司祭には賞状と顕彰メダル、賞金2000万円が贈られる。また5月9日にはギデオン参事司祭を招いて京都市東山区の立正佼成会京都普門館でシンポジウムが開かれる。

2009/03/05 大正大学「いのち教育」研究大会 小中教員が現状報告

149afa4ca54ec3_L1.jpg子どもといのちの教育研究会(近藤卓会長)は28日午前10時から、東京・西巣鴨の大正大学で第10回記念大会「いのちの教育のこれまでとこれから」を開催。作家の田口ランディ氏による特別講演のほか、シンポジウムや講演をつうじて「いのちの教育」の現場での実践、今後の展望などを議論した。教職員や研究者など約100人が参加した。

シンポジウム1では小中学校の教諭が現場での実際の活動や課題を発表。

千葉県市川市立妙典中学校の捧陽子教諭は、不登校児童が通う「さわやかルーム」での活動などを紹介。母親を亡くした男子生徒に捧氏自身の母親を亡くした体験を語り共有することで「母を亡くした者同士がつながったと思った」と述懐した。
絵本『葉っぱのフレディー』を題材にした「いのちの教育」では生徒から「命ってつながっている」「生まれて初めていのちについて考えた」と感想が寄せられ、「授業後の生徒との関係が非常によくなった」と成果を述べた。

千葉県浦安市立明海南小学校看護教諭の高橋薫子氏は「保健室の日々の関わりの中だけでなく、学校全体としてよりよい取り組みを」と性教育を通じた「いのちの教育」に取り組みを報告。

埼玉県朝霞市第十小学校教諭の北側誠氏は父親のリストラ、離婚の増加など、不安定な状況になるなか「そういう時こそ全国の教室でいのちに対する教育が大切」と指摘。「教師が胸をはってイキイキと楽しんで取り組むこと。教育活動は全ていのちの教育が基本にある」と強調した。

2009/03/05 日宗連「税制シンポ」 新公益法人制度 免税に高いハードル

149afa6b730f03_L1.jpg(財)日本宗教連盟(日宗連=矢田部正巳理事長)は2月24日、東京・渋谷区の神社本庁で第24回「宗教と税制シンポジウム」を開催した。新公益法人制度に伴う制度環境の変化に対応すべく、「公益法人新税制を考える-非課税制から原則課税への転換と影響」をテーマに朝長英樹氏(一般社団法人日本税制研究所代表社員)と石村耕治氏(白鴎大学教授)が基調講演し、今後の税制のあり方と宗教法人への影響を考えた。

宗教法人は新制度の対象外ではあるが、宗教界には関連団体も多く、また今後の動向次第では宗教法人にもこの流れが波及する可能性があり、関心が高い問題だけに傘下団体から150人が参加し、会場は満席となった。

昨年12月に施行された公益法人制度改革関連3法によって、従来の財団法人・社団法人は今後5年間の間に特定行政庁(内閣府・知事)に申請し認定を受ければ公益社団・財団法人に移行できる。申請をしない若しくは申請しても認定されない場合は、普通法人並み課税の一般社団・財団法人となる。

今回の法整備では俗に公益社団・財団法人を2階、一般社団・財団法人を1階と呼ぶ。1階にある一般法人の場合、原則課税は避けられない。課税が除外される2階に上がるためには、より会計の透明性や事業の精査など包括的なコンプライアンス(法令順守・自発的納税協力)が求められる。また上がったとしても特定行政庁からの監督を受ける。

新制度においては、これまでの主務官庁による法人設立に関わる許可主義が廃止された。登記のみで法人設立が容易になった。そこから2階に上がるには有識者による合議制の「公益認定等委員会」で公益性の諮問・答申が行われ、特定行政庁が審査・認定する。前提として公益目的事業支出が全支出の50%以上であること等の認定基準を満たす必要があることや新たな会計基準への適応が求められ、移行に伴うハードルは高いと言えそうだ。

2009/03/05 被災から55年3・1ビキニデー 宗平協が久保山氏墓前祭

149afaa07167a3_L1.jpg被災55年「3・1ビキニデー」に併せて日本宗教者平和協議会(宗平協)主催による故久保山愛吉氏墓前祭が1日午前、静岡県焼津市の曹洞宗弘徳院(松永芳信住職)の境内で営まれた。

午前9時半、焼津駅前には市民団体や労働団体、一般市民らが参集。昭和29年(1954)、南太平洋のビキニ環礁で行われた水爆実験で被曝した第五福竜丸の無線長の久保山さん(被曝から半年後に死亡)が眠る弘徳院まで墓参行進。宗平協の横断幕と宗平協メンバーらを先頭に約45分にわたり、核兵器廃絶を訴えながら歩き続けた。

2009/03/12 曹洞宗総合研 都内に「禅僧茶房」を開店

149b8c6198b0fe_L1.jpg曹洞宗総合研究センター教化研修部「Shojin Project」は3月3日から7日まで東京・小石川のカフェ「nagaya café さと和」(文京区小石川2―24―14)で、布教教化イベント「東京禅僧茶房」を開催。期間中延べ200人が訪れた。

写経や坐禅に参加したお客さんは塗香や作法に興味津々。参加者からは「短い時間ですごく落ち着けた」や「もっとやっていたかった。定期的にやってほしい」との声。中には「今度はお寺でやってみたい」という人や「気軽に試せた。何か勧誘されるということもなく安心した」という声も。評判は上々だ。

2009/03/12 立正佼成会 71周年式典

149b8c7df46d8c_L1.jpg立正佼成会(庭野日鑛会長)は5日、東京・杉並の大聖堂で創立71周年式典を挙行。全国から3800人が参拝し、創立の原点を再確認した。また誕生日が近い庭野会長に花束がが贈られた。

庭野会長の法話では、ご法の習学を中心に話した。学ぶの語源にまね(真似)びがあることや幼児は純粋に繰り返すことから、「幼子は、大人のやることを実に見事に真似る。そして飽きずにやめることをしない。これが学んで習うと言うことになる」と幼児から学ぶ姿勢を説いた。

2009/03/12 チベット蜂起から50周年 東京でも祈りの集い

149b8c927cc374_L1.jpg1959年の中国共産党のチベット侵攻に対する民族蜂起から50周年を迎えた10日、「宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会」は北海道、東京、長野、大阪、佐賀の各ブロックでチベット民族蜂起の犠牲者を追悼し、平和を祈る集いを開催した。

東京・新宿の日蓮宗常円寺での関東ブロック主催の集いには僧侶や一般のチベットサポーター約60人が参集。追悼法要は柳下純悠・同会事務局長が導師を務めて営まれた。

各地の集いでこの日読み上げられた表白文では、50年の苦難の歴史に思いを寄せると共に「過去半世紀自国の開発と発展に心奪われ、仏法を尊ぶ精神的同朋の苦痛を知らずして今日に及ぶは、誠に痛恨の極み、慙愧の至りなり」と自省。チベット問題の真実を学び伝え、注視することを誓い、これまでチベット人、漢民族の犠牲者を追悼し、問題の即時解決を祈念した。

2009/03/19 浄土宗大本山増上寺 八木法主が晋山

149c1f67b8e8cf_L1.jpg浄土宗大本山増上寺第88世・八木季生法主の晋山式が13日、東京・芝公園の同寺で執り行われ、八木法主は「全精力を傾けて宗門、増上寺の発展に力を尽くす所存」と決意を新たにした。

式は増上寺三門から200㍍ほど離れた大門からのお練りで始まった。同寺協議員会の僧侶や同寺詠唱会婦人、稚児らが行列をつくり、朱傘を差した緋衣の八木法主が続いた。沿道では参列者や市民らが見守った。

垂示では「私も齢80歳になります。残るエネルギーを法然上人のみ教えの弘通、宗門の護持、三縁山増上寺の興隆に力を尽くすことができればとお引き受けしました」とし、「残された生涯の全精力を傾けて宗門、増上寺の発展に力を尽くす所存」と決意を表明した。

2009/03/19 築地別院で自殺シンポ 「僧俗間に意識差が」

149c2049a397b9_L1.jpg東京・築地本願寺で14日に開催された西本願寺公開講座「自死(自殺)という〝いのち〟の問題に向き合う―いま私たちにできること」は、仏教界の自殺対策の現状を世に問う、画期的なものとなった。参加者から上がった厳しい批判の裏には、仏教者への強い期待が込められていた。

シンポジウムに先立ち、NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表の清水康之氏が提言。対策現場の最前線に、「仏教界からの言葉なんて、まったく響いてこない」と述べ、「溺れている人を見つけたら、飛び込んで手を差し伸べる。共に行動するからその言葉に説得力が出る」と活動の遅さを難じた。
その上で、「これから年度末、路頭に迷う人が増える。(本願寺派)1万カ寺の1%でいい。『駆け込み寺』ができないのか。どうして1カ月間、お寺を開放すると言えないのか」と、議論ではなく行動に移すよう求めた。


仏教者に自殺対策を問うと、「〝いのちの尊さ〟を繰り返し説く」との返答が多い。問題は「誰に説くか」だ。自殺とは〝生きたい〟と強く願う普通の人が、社会的に追いつめられた末に「強制された死」である。命を粗末にしての所業などでは断じてない。

今、仏教者が不殺生戒を説かねばならない相手とは、ひたむきに生きる人々を困窮死へと追いやる「現代社会」である。

2009/03/19 西山浄土宗 東京別院落慶法要

149c2064780a20_L1.jpg西山浄土宗(岩田文有管長)が東京・町田市に建立した総本山光明寺東京別院の仮本堂が完成し、14日に落慶法要が執り行われた。関東在住の離郷檀信徒ら約130人が参集し、首都圏での西山念仏の開教拠点の誕生を祝った。また東京別院貫主として柴田康英・元宗務総長が正式に任命された。

同宗の寺院は江戸時代以前には関東地方に約120ヵ寺あったとされるが、江戸幕府の政策のもと浄土宗鎮西派への転派などによってその教線を消失。以来400年にわたり、空白地帯であった関東の地に再び西山浄土宗の本格寺院が建立され、この日の落慶を迎えた。

今回完成したのは鉄筋コンクリート2階建ての仮本堂で、1階が事務所、会議室、庫裏、2階が本堂として使用される。将来的には書院となる予定。

岩田法主は「伽藍は色々な縁があればできてくる。慌てる必要はない。問題はこの地に西山の教えを広めること。伽藍も必要であるが、それ以上に法を広めることが目的である」と強調した。

2009/03/26 第33回正力松太郎賞決定

日曜学校など青少年教化に功績のあった僧侶や団体等を顕彰する財全国青少年教化協議会(全青協、渕英徳理事長)主催の第33回正力松太郎賞(正力賞)が19日、発表された。本賞は、子供会や口演童話紙芝居などを続けている和歌山県みなべ町の畑﨑龍定・西山浄土宗常福寺住職(81)と、鎌倉市の曹洞宗大船観音寺で「ゆめ観音アジアフェスティバル」を主宰するゆめ観音実行委員会(委員長=横山敏明・大船観音寺住職)。昨年から設けられた、40歳以下の個人等を対象とした第2回青年奨励賞には滋賀県安土町の廣部光信・天台宗教林坊住職(38)が選ばれた。

2009/03/26 駒澤大学 新学長に石井清純氏

駒澤大学(東京都世田谷区)は23日、大学理事会を開き、3月13日に実施された学長選挙の結果を受けて仏教学部教授の石井清純氏(50)の就任を承認した。任期は4月1日から4年。
石井新学長は昭和57年、仏教学部卒。同62年、同大学院後期課程満期退学(仏教学専攻)。その後、仏教学部助手、講師、助教授を経て平成14年より教授。平成12年4月より1年間、米国スタンフォード大学客員教授を務めた。

2009/03/26 真宗大谷派 「親鸞フォーラム」生きる意味を探求

149cc2ffb8797c_L1.jpg親鸞思想の現代的な意義を問う「親鸞フォーラム―親鸞仏教が開く世界」(主催=真宗大谷派・朝日新聞社)が21日、有楽町の東京国際フォーラムで開催された。1200人の観衆を前に、作家の五木寛之氏が「人間親鸞のすがた」をテーマに講演。次いで姜尚中氏(東京大学大学院教授)と田口ランディ氏(作家)を招き、本多弘之・親鸞仏教センター所長がシンポジウムを展開。親鸞仏教が現代に提示する「悩む力・生きる力」について討論した。平成23年に迎える「宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌」記念行事の一環。

五木氏は、『蟹工船』や貧困に関する書籍が異例の売れ行きを見せる世相を分析し、「今度は『歎異抄』の時代になるかもしれない」と予測。「今の時代が(親鸞の生きた)末法の世と似てきつつあるのではないか」と問いかけた。
その証左として、「常用漢字」の変化に注目。81年に新たに常用漢字となった文字が「朴・癒・悠・蛍・猫」など、のどかな印象だったのに対し、今年は「萎・淫・鬱・怨・潰・挫・呪・凄・罵・蔑・慄・拉」など、暗く凄惨なイメージのものになったとし、「心の恐慌が日本全体を覆っている」と警鐘を鳴らした。

シンポジウムは、菅原伸郎氏(東京医療保健大学教授)をコーディネーターに進行した。
著書『悩む力』がベストセラーとなっている姜尚中氏は、「人間は自由になればなるほど、なぜこんなに不幸になるのだろう」と問題提起。「今の時代は、昭和恐慌の時代に似ている」と危惧した。
田口ランディ氏は、現代の若者が「ものすごく自己否定的」であることを注視。「〝私は私のままでいい〟という感情は、人間が生きていく上での土台。これを(生育過程で)作ってもらっていない」と指摘し、「自己肯定感がないのに、いのちの尊さなんて絶対にわかりません!」と断じた。
そして「自己肯定感は他者との繋がりの中で生まれる。(これを養うには)ひたすら褒めてあげるしかないんですよ」と強調。「どんな人間も救おうという念仏の教えは、究極の全肯定。全肯定的概念を言葉によって呼び覚まそうとするのが〝南無阿弥陀仏〟」と熱弁をふるった。
本多弘之・親鸞仏教センター所長は、「自分から真理を求めようという意識が強すぎると、親鸞聖人の言葉とすれ違ってしまう。聖人はこれを『自力』と言った」と説明。他力に徹したとき、「自分が生きていることを、成り立たせている大きな場がある。自分にいつも寄り添い、励まし、育ててくださる眼があることに気付かされる」と述べ、生きる意味もそこから与えられると示唆した。

2009/04/02 庭野平和財団 宗教の社会貢献を検討

149d487e8078da_L1.jpg庭野平和財団(庭野欽司郎理事長)は3月27日、東京・杉並区の佼成図書館で「宗教団体の社会貢献活動についての学習会」を開催し、70人が参加した。

同財団が昨年10月に実施した「宗教団体の社会貢献活動に関する世論調査」の結果を踏まえ、調査の分析を担当した石井研士氏(国学院大学教授)が基調講演。石井氏はこれまでの傾向と近年の動向を踏まえて「(オウム事件以後も)戦後一貫して宗教団体の支持が下がっている。どうも新しい団体だけでなく、仏教団体や一部神社にも批判が増加している」と宗教に対する近年の世論を分析。既存の宗教団体が世論の支持を得る有効な施策を未だ打ち出せずにいる現状を暗に示唆した。

基調講演後のパネルディスカッションでは石井氏をコーディネイターに稲場圭信氏(神戸大学大学院准教授)と川野安子氏(日本キリスト教婦人矯風会副会長)を加え、宗教団体の社会貢献について会場も交えて積極的な意見交換が行われた。

稲場氏は社会貢献活動の人材育成での側面に着眼。若者が教団の活動を通して社会にリアティを感じ、成長するケースを例に挙げ「企業も大学も人を育てることで貢献している。宗教団体も信者を育て社会に送り出しており、役立っているはず。目に見える成果だけが貢献ではない」と主張した。

石井氏は研究者の立場から「大きな実績があるのに、なぜ自分たちの社会貢献活動を宣伝しないのか」と川野氏に質問。川野氏は「社会貢献活動は自分の信仰の発露。認めてもらうためにやっているわけではないので」と謙虚に応答し、活動を続ける理由を「やはり見てしまったら、突き動かされる」と見て見ぬ振りはできない宗教者の気持ちを吐露した。

会場からの質問では石井氏に「財務官僚は不特定に対する活動は公益、檀信徒など特定なものは共益として、数年後に共益ばかりを行うなら宗教法人の課税を強化すると考えているのか」との疑問がぶつけられた。

石井氏は「官僚がどう考えているかが問題ではなく、むしろその過程が心配。もし仮にそういう決定がなされたとして、一般の日本人が『宗教法人に課税は止めてくれ』と言ってくれるか。おそらく言わないだろう。そのことの方が怖い」と危惧。「宗教法人はあることだけにも意味がある。宗教団体は広い意味での社会的な位置づけができることを(国民が)知ることが第一だ」と展開した。

2009/04/02 浄土宗増上寺 圓光大師堂の上棟式を執行

149d48989aceea_L1.jpg東京・芝公園の浄土宗大本山増上寺(八木季生法主)で25日、圓光大師堂の上棟式が執り行われた。
成田有恒前法主、江口定信前執事長の発願により、平成18年11月に知恩院より拝受した法然上人の御身柄が奉安される。増上寺の法然上人800年御遠忌記念事業として建立される。「圓光」は法然上人が最初に授かった大師号。
上棟式は八木法主が導師を務めて営まれ、工事の無事が祈願された。挨拶に立った八木法主は「法然上人の御身柄をお迎えするということは誰にでもできることではない。成田有恒台下にして初めて実現可能であったこと」と功績を讃えた。

圓光大師堂は木造、平屋造りで、建築面積は約192㎡。8月末の竣工を予定している。

2009/04/02 浄土宗教育資団 「佛教教育学園」へ名称変更

149d48e153cf57_L1.jpg佛教大学など浄土宗の宗門校を運営する学校法人浄土宗教育資団(水谷幸正理事長)は3月30日午後、京都市内のホテルで記者懇談会を開き、4月から法人名を「佛教教育学園」に変更すると発表した。
同法人の名称変更は3月上旬の浄土宗宗議会ですでに明らかになっているがこの日正式に発表。発表によると、先に東山学園との合併に合意した際の「法人名称の変更については合併後検討する」との確認事項にもとづいて協議。「各設置校の建学の精神(仏教精神)を端的に標榜した名称が望ましい」との意見があり、2月13日の評議員会・理事会で議決した。

浄土宗宗議会は先の定宗で「佛教教育学園」への名称変更に反発。「浄土宗」が除かれたことの説明や「浄土宗」を入れた法人名称への再変更などを求める要望書提出を議決している。
近いうちに里見法雄同宗宗務総長から水谷理事長へその要望書が提出されると見られるが、水谷理事長は「浄土宗からそういう要望が出た場合は誠実に対応していきたいと思います」とした。
浄土宗教育資団は平成14年に華頂学園、21年4月に東山学園と合併。設置校は幼稚園から大学まで(小学校除く)9校に上り、京都の学校法人では立命館学園、同志社、龍谷総合学園、京都産業大学に次いで5番目の規模になるという。

2009/04/02 興福寺創建1300年 国宝阿修羅展が開幕

149d48be897604_L1.jpg興福寺創建1300年を記念した「国宝阿修羅展」が3月31日から、東京国立博物館(台東区上野公園13―9)で始まった。
今展の見どころはなんと言っても阿修羅像をはじめとする、国宝・八部衆像、国宝・十大弟子像。現存する14体が史上はじめて東京に勢揃いした。
憂いを帯びた表情と細見の体躯で、美少年の代名詞とされてきた阿修羅像。今展ではガラスケースに入ることなく、単独で展示室に安置され、360度、前方向から間近でその姿を拝観できる。
このほかにも、阿修羅像を発願した光明皇后の母、橘夫人の念じ持仏とされる国宝の阿弥陀三尊像及び厨子(法隆寺所蔵)。再建工事が進む興福寺中金堂をテーマにした展示では像高3メートルを超える薬王・薬上菩薩立像、力感のある迫力たっぷりの四天王の立像が居並ぶ。その姿は圧巻の一言。約70件の仏教美術の有品が一挙に展示される。
またバーチャルリアリティ技術によってデジタル化した阿修羅像、再建される中金堂を再現。天平文化空間を視覚的に甦らせた映像も特設大型スクリーンで上映される。制作は朝日新聞社と凸版印刷株式会社。

2009/04/09 全日仏 ミサイル発射に抗議談話

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が5日、長距離弾道ミサイルを発射したことに対し(財)全日本仏教会(全日仏、豊原大成理事長)は同日、北朝鮮への抗議する理事長談話を発表した。談話は次の通り。

本日(平成21年4月5日)、北朝鮮が飛翔体の発射を行ったことが確認されました。北朝鮮が国際社会の強い危惧と懸念、自制を求める声を無視して発射を強行したことは極めて遺憾であります。北朝鮮に対して厳重に抗議し、遺憾の意を表明いたします。
私たち仏教徒は釈尊の尊い智慧と慈悲の教えにより、全ての人々に分け隔ての無い信頼と敬いの心により、「平和・安全・幸福」を享受出来る世界の実現を願っています。
事態収拾の為に、武力や暴力的な手段を用いず、平和的な対話の積み重ねによる、人道的な解決の方途を探られるよう念願致します。

2009/04/09 本願寺派 10年ぶり御真影戻る

149dda603b42ec_L1.jpg浄土真宗本願寺派の本山御影堂(京都市下京区)の修復が昨年末で完了し阿弥陀堂に仮安置していた宗祖・親鸞聖人の木像、御真影を御影堂に安置する御動座が1日執り行われ、10年ぶりに御真影が御影堂の厨子に戻った。翌2日には御影堂平成大修復完成奉告法要が勤修された後、大谷光真門主が消息を発布。「聖人のみ教えが、御影堂とともに末永く受け継がれますよう努める決意を新たにいたし、ともに大遠忌のご法要をお迎えいたしましょう」と読み上げた。

1日の御動座に際しては仮安置している阿弥陀堂の御真影前で勤行。門主が調声を務め、満堂の参拝者と正信偈を唱えた。その後内陣の巻障子が閉められ、内部で御真影が輿に乗せられ出発。輿は左右6人の僧侶が持ち上げ、阿弥陀堂正面から出て広縁を伝い、渡り廊下、御影堂広縁を通り、30分ほどで正面から御影堂に入堂した。輿の前には先導する僧侶、奏楽隊、今小路覚真会行事ら、後ろには不二川公勝総長、桑羽隆慈宗会議長、普賢晃壽勧学寮頭、総務、参与ら総勢80人が列を作った。
その後御真影はお厨子に安置され、門主導師のもと御動座法要が勤められた。
翌2日は御影堂平成大修復完成奉告法要。門主が導師を務め、大谷孝淳新門も出仕、宗門役職者や役職経験者、門徒総代はじめ僧侶・門徒、また文部科学省、財務省、京都府・市関係者らが参列した。

1日は約1万人、2日は約5千人が参拝した。来る5月22~26日には慶讃法要が営まれる。

2009/04/09 高野山イメージキャラクターに「こうやくん」

149dda7f5a9933_L1.jpg平成27年に迎える「高野山開創1200年記念大法会」のイメージキャラクターが、このほど発表された。その名も「こうやくん」。「明るく聡明で温かみのあるお坊さん」がモチーフだ。併せて同大法会のロゴマークも公開。高野霊場の豊かな自然環境と、真言密教の深遠な精神世界を具象化したものだ。

さらに南海電鉄高野線では、観光列車「天空」を7月3日から定期運行(橋本~極楽橋間)。これに先駆け、4月29日を皮切りに全7日間限定のプレ運行を実施する。その濃緑の車体が、〝天空の宗教都市〟高野山への旅情を刺激する。
高野山真言宗総本山金剛峯寺と南海電鉄は5日、大阪・難波の「なんばパークス」などで、同大法会の共同PRキャンペーンを開催。この日、一般に初お披露目となった「こうやくん」が、開創法会の〝大勧進〟にいよいよ動き出した――。

2009/04/16 寺ネット・サンガ 「お気持ち」僧俗で隔たり

149e6dacaa9810_L1.jpg超宗派の僧侶有志がつくる寺ネット・サンガ(中下大樹代表)主催の第1回セミナー「お布施で困ったことはありませんか?(その一)」が6日、東京・中央区の築地本願寺・第二伝道会館で開催された。一般参加者の「お布施」に関する疑問に、僧侶らが回答。約100人を前に日本葬祭アカデミー教務研究室の二村祐輔代表が、生活者(消費者)目線による「お布施」入門を講じた。

二村氏は生活者側から見た「お布施」を、「葬儀時に僧侶・寺院に差し上げる金銭」と定義。その内訳を「読経へのお礼」と「戒名授与への志納」と説明し、僧侶側には①「読経お礼」には目安額を明示、②「志納」には寺院の業務や財務状況などを開示する――ことを提案した。
一方で、日本人の霊魂観に基づく葬送行為に、定価が付くことの不自然さも力説。「(何にでも)金額の明確さを求める(日本人の)精神風土を改耕すべき」と強調した。
また、あらゆる宗教的慣習を廃し「焼くだけでよい」という直葬について、「死体の始末だ」と憂慮。直葬後、良心の呵責に苛まれる遺族も少なくないことを報告し、日本人の基層にある仏教的葬送観に言及した。

後半は、僧侶5氏と二村氏がパネルディスカッション。参加者から提出された「お布施」に関する疑問に回答した。
やはり、気になるのは金額。二村氏は前半の講演で、いわゆる「お気持ち」が示す意識調査の結果を紹介。一般人の平均が6万5千円だったのに対し、寺院側は30万円だったという。

寺離れが叫ばれる現代にあって、同サンガでは、寺檀関係によらない緩やかな関係作りを推進。一般対象の「友の会」(仮称)も発足させる予定だ。当面、一般向けの仏事セミナーなどを定期的に開催し、情報発信や社会交流に努めていく。

2009/04/16 臨済宗妙心寺派 「ZENカフェ」オープン

149e6dbb8368f1_L1.jpg臨済宗妙心寺派の東京禅センターは12日、東京・表参道の「炭火ダイニング豊和」(港区北青山3-5-44)で坐禅体験ができる「ZEN Cafe」をオープン。一般に敷居が高いとされるお寺への入り口として新たな取り組みをはじめた。

「ZENカフェ」は誰もが気軽に参加できるように本格的な坐禅ではなく、椅子坐禅で行う体験坐禅。ともかく僧侶の話や坐禅に親しんで貰おうという趣旨のもと、20分ほどのイス坐禅の他、お菓子やお茶を出す茶礼と東京禅センター副主任の羽賀浩規氏による禅トークが行われ、約30人が訪れた。

参加した方の感想には「イス坐禅なので腰と膝が悪い自分にもできた」「イスに座って瞑想するのが新鮮。仕事の合間でも十分できる」など坐禅を日常に生かしたいと話す方が多い。他にも「これなら娘に是非勧めたい」というお父さんや「坐禅時の呼吸をもっとうまくできるようになりたい」という方まで1回1時間ほどの短い時間ではあったが、評判は上々だ。

「坐禅に興味はあるが、お寺に敷居の高さを感じて、そのままになっている人たちが相当数いる」東京禅センターや妙心寺大衆禅堂での指導経験、妙心寺展の禅トークの盛況を受け、羽賀副主任はそう確信したという。「これはあくまでも坐禅の体験。もっと本格的にやりたい人に各寺院や東京禅センターを紹介する良い入り口にしたい」と羽賀副主任は今後の展望を語った。

2009/04/16 タイ国王80歳記念仏像 WFBが19体作成 19カ国に寄贈

149e6dd24c6c95_L1.jpgタイのプミポン国王が仏暦2550年(西暦2007)12月5日に80歳を迎えられたことから、同国バンコクに本部のあるWFB(世界仏教徒連盟)は、これを記念してスコータイ様式の仏像を製作。国王承認のもとWFBとの関係の深い19カ国(地域)に贈呈されることになり、最初の訪問国に日本が選ばれた。WFBのパン・ワナメッテイ会長夫妻とパロップ・タイアリー事務総長夫妻が来日し、京都や鎌倉などをめぐりゆかりの寺院に寄贈した。

仏像は黄金色に輝く釈迦如来坐像。ひざ幅47・5センチの大型仏像は19体製作された。19体は同時に仏舎利も収められる。今年1月30日に製作完了の仏像奉献式が同国の寺院で営まれた。さらに国王に敬意を表し、この事業に貢献のあった寺院や団体への感謝の印しとして中型の仏像も多数製作された。
栄えある日本への大型仏像1体は京都市右京区の大本山妙心寺塔頭・霊雲院(則竹秀南住職)に贈られた。6日、同院方丈で厳かに安座法要が営まれた。ワナメッテイ会長の手で仏像頭部にタイから持参した仏舎利が収納された。

2009/04/23 日宗蓮 脳死臓器移植法改正で意見書

15歳未満の子どもからの臓器移植に道を開く可能性がある臓器移植法改正案の国会審議際して財日本宗教連盟(日宗連)は17日、国会議員に対し矢田部正巳理事長(神社本庁総長)名の意見書を配布した。
日宗連の主張は、▽「本人の書面による意思表示」は絶対条件であること、▽小児からの臓器移植は、大人とは異なる検証システムが必要であること、▽「第2次臨時脳死及び臓器移植調査会」の設置による検討が急務であること――の3点を主張している。
「書面による意思表示」は、心臓が動き血液が循環している状態を人の死とすることを前提としている移植医療に対し、現在も疑問と不安を抱いている人が多いことや、個々人の死生観とも深く関わっていることから欠くことのできない必要条件としている。
小児からの臓器移植については、厳格な脳死判定基準の導入や被虐待児を対象としないなど、大人とは異なる検証システムの検討が急務だと主張。
これらの課題を踏まえて医学、法律、哲学、宗教、倫理などの専門家による「総合的な検討とともに広範な社会的議論に基づく意見集約が急務」だとして第2次脳死臨調の早期設置と、とりわけ脳死小児からの臓器移植について慎重に審議するべきだとしている。

2009/04/23 全仏婦 エコイベントで「花の種」1万袋配布

149e6dd24c6c95_L1.jpg1万人に花の種を!全日本仏教婦人連盟(=全仏婦、大谷貴代子会長)は19日、愛知県豊田市で開催された「地球に優しいエコ・フリマwithメ~テレ」(NPO法人MFA主催)に参加し、来場者に花の種1万袋を配布した。
イベントはリサイクルをテーマにした市民参加型のフリーマーケットで、会場には約700のブースが並ぶ大規模なもの。イベントを通じて、生活レベルの身近な環境問題の啓発に務め、地域の人々との世代間の交流を深め、まちの活性化に寄与することが目的。

環境問題がテーマといことで、「花の種運動」を知った主催者側がイベントでの花の種配布を打診。全仏婦としても、昨年からの経済不況で深刻な影響を受ける「クルマのまち」豊田市に住む人々に「花の種を配り少しでも心のゆとりを持ってもらえたら」という願いで快諾した。

全仏婦は㈱中山石渠と協働で平成16年から花を育てることで、慈しみの心を育んでもらおうと「花の種」運動を開始。毎年花まつりの季節に合わせて各寺院や仏教系の幼稚園、保育園に花の種を送付している。近年はより一般の人にも花の種を届けていこうと力を入れてきた。

来場者の反応もすこぶる上々で、林事務局長は「ありがとうと言ってもらえて、この活動をしてきて本当に良かったと感じた」と、充実した様子で振り返った。

2009/04/23 浄土宗東京教区 布教師会が発足

149f0152d08a33_L1.jpg東京・芝公園の浄土宗大本山増上寺(八木季生法主)で15日、浄土宗東京教区布教師会(正村瑛明会長)の設立総会が開かれた。布教師会は教区内の全教師の会員から組織。研修事業などを通じて布教の研鑽を積み、会員相互のネットワークを構築し、首都東京で布教教化の輪を広げていく。
布教師会は浄土宗布教師会関東地区支部規則に基づき、東京教区支部として設立。浄土宗布教師会規定では教化センターごとの地区支部、教区支部の設置が定められていたが実現に至らず、東京教区にとって永年の懸案事項だった。平成19年に準備委員会が組織され、委員会を重ねてこの日の発足を迎えた。

総会には約170人が出席。東京教区の鈴木宏侑教区長は布教師会発足までの経緯を振り返りながら、「おかげさまで長年の念願が叶い、布教師会の設立総会の開催されましたことは、各組の組長さんらの尽力があったから。布教師会の支部というのは独自の活動。引き続き一歩一歩進んでいき、東京教区の教化事業に力を合わせて頑張っていきたい」と挨拶した。

総会では会則、会費、21年度事業計画・予算について議事を進行。東京教区内の10組から選ばれた理事ら役員も紹介された。布教師会では総会、研修会の開催、布教資料の発行配布、教区内寺院のアンケート実施と分析、教区内の各団体の連携事業などを行う。会費は年間3千円。役員・監事の任期は4年。総会は年に1回召集される。

2009/04/30 「紀伊山地三霊場会議」が発足

149fa5e634250b_L1.jpg世界遺産〈紀伊山地の霊場と参詣道〉に登録された高野山・吉野・熊野三霊場の11寺社が4月23日大阪市内のホテルに集まり、「紀伊山地三霊場会議」が発足した。
〈紀伊山地の霊場と参詣道〉が世界遺産に登録されたのが2004年7月。以来5年を経たが、三霊場の寺社でネットワークをつくり、その精神文化を発信しようと、吉野・金峯山寺の田中利典執行長が呼び掛け、昨年12月5日の準備会を経て、今回設立した。

参加した11寺社は金剛峯寺、慈尊院、丹生官省附神社、丹生都比売神社(以上高野山)、金峯山寺、大峯山寺、吉野水分神社、吉水神社(以上吉野)、熊野速玉神社、熊野本宮大社、青岸渡寺(以上熊野)。今回出席はしなかったが、登録資産の金剛三昧院と熊野那智大社も参加することになるという。
この日の会議では三霊場での会の発足に合意し名称を巡礼のための組織体と区別する意味で「紀伊山地三霊場会議」と決めた。この他、事業内容・会則・会費などについては田中執行長はじめ三霊場から出る幹事で叩き台をつくり、今後の全体会に諮って決めることとした。
会議には金剛峯寺の松長有慶座主、庄野光昭執行長も出席。松長座主は「今から千年も前から三つの霊場は因縁が深く、巡礼が往き来していたという記録も随分残っています。これからいろいろな形で私たちの信仰を深めていきたい」と期待を寄せた。

2009/04/30 日蓮宗全国宗務所長会議 立正大学仏教学科の名称変更を回避

149fa61ec9af22_L1.jpg日蓮宗(小松浄慎宗務総長)は4月21日から23日まで東京・池上の宗務院で平成21年度全国宗務所長会議を開催。最終日には「立正安国・お題目結縁運動」の管区支部長会議も開催された。

初日は第97宗会で決定した政策の説明やその統括が小松総長及び内局の各部長から行われた。22日からは9所長による通告質問。行政実務についての疑問や提案などがなされた。

東京都北部の望月兼雄所長は、立正大学仏教学部仏教学科の名称変更の動向について質問。「仏教学科の名称が比較文化学科に変わると聞いた。これは本当なのか。この名称変更について宗門は知っていたのか」と説明を求めた。また大学認証評価において立正大学が判定保留の5大学に含まれていることにも触れ、「資産運用などの暗い話題ではなく、明るい話題を提供してほしい」と注文を付けた。

これに関しては、立正大学の評議員議長でもある駒野教源財務部長が答弁。経緯について日付などを明確に示した上で説明し、同大学の理事会・評議員会で提出された名称変更に関わる議案について「残念ながら内局に対しては事前に一切説明がなかった」と応答。さらに「結果的には、(名称変更の議案は)否決されたが、内局としては看過できない問題」とし、仏教学部長らを招聘し事情を聞く懇談会を開いたことも明らかにした。

今回は見送られたが、大学は名称変更議案を継続審議する模様。今後について宗門側は「なんらかの会合の場を持つなどより大学側との意志の疎通に努めていく」との考えを示した。

最終日には、小松総長が本部長を務める管区支部長会議を開催。副本部長の川名義顕伝道局長から「立正安国論」奏進750年を記念した6月に行われる鎌倉妙本寺・中山法華経寺の大法要、立正大学でのシンポジウム、今秋開催予定の京都の日蓮展などの行事や宗門運動重点6項目についての進捗状況が発表された。

2009/04/30 4,26チベットの祈り 善光寺で犠牲者追悼

149fa63b3b7d88_L1.jpg昨年4月26日に北京オリンピック聖火リレーの出発と同時にチベットにおける一切の犠牲者を追悼してから1年。僧侶、在日チベット人、市民約100人が再び集結し、問題の早期解決と犠牲者を悼み祈りを捧げた。平和を願う僧侶の会、宗派を超えてチベットの平和を祈念する僧侶の会・長野支部、チベットの風が主催。

はじめに大本願を会場に学びの集いが行われ、早稲田大学教授の石濱裕美子氏がチベットの歴史や仏教文化の世界的な価値について解説。日本などが「物質的に豊かにすることを求めている」のに対し、チベットは仏教を基盤に「人の幸せを常に願い、今の状況を感謝する」ことができる、高度な哲学と倫理的規範を備えた人格者を育てる文明と指摘。歴史的にも周辺諸国で布教し信徒や援助者とすることで自国を防衛してきたと解いた。
そのうえで「僧院文化」を存続させる支援が不可欠と指摘。ダライ・ラマ法王が非暴力の立場から問題の解決に務めてきたことで「世界的なピースリーダーであり、それによって世界での仏教の評価が上がった」と位置づけ、チベット仏教の価値を改めて強調した。
集いに参加した在日チベット人のツェリン・ドルジェさんは運動へ感謝の意。同時に、チベットの現状を深く憂慮し「チベットには時間がない。文化がどんどん消えていっている」と訴えた。

その後、善光寺大本堂へ移動し、追悼法要を厳修。昨年3月のチベット動乱からこの1年間で亡くなったチベット族111人、漢族12人の名前と年齢が読み上げられ、一切の犠牲者の冥福を祈った。

ネパールのチベット難民の僧侶や在家者50人から寄せられたメッセージでは「同じ痛みを感じ、それを非暴力によって世界に示してくださった善光寺様の英断を私たちチベット人は人から人へ語り継ぎ、心の支えとします」と読み上げられ、手紙をうけとった若麻積信昭善光寺寺務総長は「いつの日かダライ・ラマ法王が善光寺に御参拝されることを祈念いたします」と挨拶した。

2009/05/14 大正大学 新旧役員の歓送迎会で中期プラン発表

14a0bd29762e67_L1.jpg大正大学(豊島区西巣鴨)は4月29日夕、都内のホテルで新旧理事長など法人役員歓送迎会を催した。併せて中期マスタープランが提示され、大学としての社会的責任を示すべく大正大学・ソーシャル・レスポンシビリティ(TSR)が発表された。

各界代表のスピーチをはさんで中期マスタープランが発表され、まず「智慧と慈悲の実践」という建学の精神を再確認。そのもとに人材育成のための4つの教育ビジョンが示された。
同プランの中核であるTSRは大学の社会的責任と同時に輝く未来の創造(大正大学・サクセス・ロード)の二つの意味を持ち、「教育・研究の充実、発展」など具体的な5つの社会的責任と7つの運営目標を設定。そして同プランの一環として来年度(平成22年4月)から仏教学部が復活する。

杉谷新理事長は、先に承認されたTSRを念頭に大正大学の使命について、宗門子弟の養成と共に宗門・仏教界・宗教界をリードしていく人材を輩出するために創立されたとし、「(これは)建学の精神のおおもとである。その手綱を少しでも緩めては行けない」と気を引き締めた。

2009/05/14 念法眞教 サイパン戦没者を慰霊

14a0bd4ea1773d_L1.jpg2年前から先の大戦の激戦地、中部太平洋のサイパン島を訪れて戦没殉難者慰霊法要を営んでいる念法眞教(稲山霊芳燈主)は今年も総勢約200人で8日から11日まで同島を訪れ、戦没者慰霊を実施。今回は初めて稲山燈主が親臨・親修し、日本政府が昭和49年に建てた「中部太平洋戦没者の碑」の近くに記念植樹も行った。

2009/05/14 日蓮宗全国青年会 立教開宗の日に全国で唱題行脚

14a0bdea4cc29c_L1.jpg4月28日は日蓮聖人が旭ヶ森でお題目を始唱した日とされ、日蓮宗立教開宗の日。この日、東京都西部青年会(吉田一修会長)の22歳から35歳までの約10人の青年僧が新宿区の常圓寺に参集した。この地で唱題行脚を行うためだ。
青年会では立教開宗の日を中心に全国45ヵ所での青年僧による唱題行脚を企画。西部青年会では、東京都庁を横切るコースを設定した。信仰と縁遠いような新宿副都心のコンクリート・ジャングルを選ぶのには理由がある。
「大都会の真ん中で行う唱題行脚。都会の通行人に受けが悪いのは分かっている。でも、だからこそやらなくては」
折しもの経済不況、生き馬の目を抜く戦いを強いられる企業戦士たちにお題目を唱え、我が身をもって祈念を示す。そんな思いが青年僧たちから聞こえてきた。

2009/05/14 寺ネット・サンガら 群馬・老人施設火災 現場で四十九日法要

14a0bd6b2794e7_L1.jpg災で10人が犠牲となった群馬県渋川市の老人施設「静養ホームたまゆら」で6日、寺ネット・サンガや貧困問題に取り組むNPOなどによる四十九日法要が営まれた。近隣住民ら約30人が参列した。

「たまゆら」に隣接する介護施設「ケアセンターつどい北橘」の深町真勇施設長は、「犠牲になった5名の方が、私どもの施設に来ていた。人生の先輩として、我々若いスタッフにいろいろなことを教えてくれた」と振り返り、「昼間の火災であれば救い出せたのではないか。10人の方の死を無駄にしてはいけないという気持ちでいっぱい」と声を絞るように話した。

葬送支援ネットワークを立ち上げた寺ネット・サンガの中下代表は、「この四十九日法要を、単なるイベントにしてはいけない。一周忌法要もやりたい」と語気を強めた。

2009/05/21 庭野平和財団シンポジウム 「感染」公表できる社会に

14a150df1930ed_L1.jpg宗教活動を通して人類の平和実現に尽力した個人や団体に贈られる庭野平和賞(㈶庭野平和財団=庭野日鑛総裁・庭野欽司郎理事長=主宰)。既報のように26回目となる今年は、HIV・エイズへの偏見・差別を取り除き、感染者の人権擁護等に貢献した、アフリカ・ウガンダ聖公会牧師のギデオン・バグマ・ビャムギシャ参事司祭(49)が受賞した。そのギデオン参事司祭の精神と活動を学ぶ、庭野平和財団シンポジウム2009「京都発:宗教者の新たなチャレンジ」が9日、京都市東山区の立正佼成会京都普門館で開催された。約250人が出席した。

開会にあたり庭野欽司郎理事長が挨拶。今シンポジウムのねらいについて、「エイズ問題に対して、何ができるのか模索し、世界平和実現に向けての一助としたい」と語った。ギデオン参事司祭の来日は、同平和賞贈呈式と同様、新型インフルエンザの影響により取りやめとなったため、野口陽一・同財団専務理事が基調講演を代読した。

2009/05/21 日蓮宗総本山身延山久遠寺 五重塔が落慶

14a150f7b13560_L1.jpg日蓮宗総本山、身延山久遠寺(内野日総法主)の五重塔落慶式典が13日から17日の5日間、同寺にて執り行われた。延べ約20000人が参拝し、復活した五重塔の完成を祝した。
明治8年の大火により一山の大半が焼失して以来、五重塔を含めた伽藍の再建は歴代法主をはじめ同山関係者の長年の悲願。五重塔の落成でついに全ての伽藍が出揃い、その思いが結実した。

落成慶讃大法要は内野日総法主を導師に5日間に渡って厳修。五重塔前の特設法要ステージの他、最終日は本堂で法要を奉行し、全日本仏教会や山梨県知事など宗内外からも多くの来賓が訪れた。
祝辞では酒井日慈管長が「身延山頂に燦然とそびえ立つこの五重塔こそ、法華経の広宣流布の証として未来永劫輝き続けることでありましょう」と建立の意義を讃えた。

390年前の設計により134年の時を経て蘇った五重塔。関係者の感慨もひとしおだ。法要後のレセプションでは、内野法主が挨拶。「当山は世界平和を顕現する道場。大聖人が感得されました霊山浄土であることに思いを致し、大聖人ご在世の往事を偲び、ともに手を携えて世界平和の顕現を祈っていきたいと思っております」と思いを新たにした。

2009/05/21 日韓仏教 新時代へ

14a151138367bf_L1.jpg韓日仏教文化交流協議会(李智冠会長)、日韓仏教交流協議会(会長=宮林昭彦・浄土真宗大本山光明寺法主)による第30回韓日・日韓仏教文化交流大会が12日から15日まで、韓国ソウル市郊外の曹渓神勒寺で開催された。13日には昨年の大会で発表された「人類和合共生祈願碑」の除幕式が同寺で盛大に挙行され、日韓仏教の新時代がを迎えた。

2009/05/28 仏教伝道協会 建長寺で実践布教研究会

14a1e4be63d184_L1.jpg㈶仏教伝道協会(沼田智秀会長)は18日から20日まで、神奈川県鎌倉市の臨済宗建長寺派大本山建長寺で第39回実践布教研究会を開催した。各宗派本山の協力を得て毎年企画されている同研究会。今年は「布教伝道―虚空菩薩像に学ぶ」のテーマのもと、超宗派の僧侶、寺族、坊守65人が参集した。

2日目の講義では臨済宗建長寺派の吉田正道管長が中国宋代の純粋禅を日本に伝来し、建長寺開山した蘭渓道隆禅師の「大覚禅師語録」を提唱。教学部長の永井宗直氏が「布教伝道―虚空菩薩に学ぶ」と題し、無量の智慧を現代社会に活かしていく方法を考察した。
午後からは作家の玄侑宗久氏(妙心寺派現代宗学委員)、養老孟司氏(東京大学名誉教授)が講義した。

玄侑氏は「禅的な生き方」と題して日本へと仏教が伝来する中で変容してきた仏教の教えを解説。中国に仏教が伝来したことで、農耕による自給自足の生活へ変化し「作務という考え方が発達」。日本に伝来した当時は、禅の担い手が武士だったことから、「戦に仏教がコミット」してきたとし、戦国期に果たしてきた僧侶の役割も詳述した。また曹洞禅が身体的な型を重視するのに対して、臨済禅が「思考のパターンを公案によって身につけていく」と指摘。禅の考え方を表したという「風流」や「三昧」といった言葉が持つ意味なども説き明かした。

2009/05/28 日中友好宗教者懇話会 浅草寺で中国人殉難者法要

日中友好宗教者懇話会(宗懇、持田日勇会長・山田俊和理事長)は25日、都内のホテルで総会を開催。宗懇発足のきっかけとなった昭和20年(1945)秋田・花岡事件から4年後に中国人殉難者遺骨収集(1949)が行われ、今年60周年を迎える。そこで今夏、秋田県大館市の花岡鉱山跡地での慰霊法要に参加するほか、中国人俘虜殉難者法要が東京・浅草寺で営まれることになり中国仏教協会から約30人の僧侶の来日を要請することが決まった。

殉難者法要は、「中国人俘虜殉難者合同慰霊・世界平和祈願法要」と言い、花岡平和友好基金運営委員会を中心とする実行委員会との共催となる。昭和24年(1949)、花岡事件の現地調査と遺骨収集が留日華僑団体や仏教界有志によって行われてから60年ということもある。8月8日、浅草寺五重塔内の信徒会館で営む。中国側から30人の僧侶に加え宗教局代表団も来日する予定。宗懇からも同数ほどの僧侶が出仕する。

これに先立ち花岡事件が惹起した日である6月30日(7月1日の説も)、大館市主催の式典とは別個に地元仏教会の法要に参加する。

2009/05/28 インド仏教の指導者佐々井氏が44年ぶりに帰国

14a1e4ce029057_L1.jpgインドで仏教復興に取り組み民衆から指導者として敬愛されている日本人僧侶・佐々井秀嶺氏(73)が44年ぶりに帰国し20日午後、京都市伏見区の種智院大学で講演を行った。佐々井氏は老齢でも力強い口調でインドの現状などを話した。会場には約150人の聴衆が詰めかけた。

佐々井氏は1965年8月タイへ留学。67年8月にタイからインドへ渡った。インドでは仏教復興運動と共に、釈尊成道の地ブッダガヤー大菩提寺の管理権をヒンズー教徒から仏教徒の手に取り戻す奪還闘争も進めてきた。
4月21日に帰国。65年に出国して以来で、師である真言宗智山派大本山高尾山薬王院の故山本秀順貫首の墓参り、佐々井氏を支援する宮本光研氏の自坊・真言宗御室派長泉寺(岡山市)の開山500年大法会に出席するため帰国した。6月20日まで滞在する。

2009/06/04 大谷派宗議会 首都圏・沖縄開教に力点

新年度の事業・予算などを審議する真宗大谷派(安原晃宗務総長)の第50回宗議会(長久寺徳瑞議長)が5月28日、京都市の宗務所に招集された。安原内局は首都圏に開教所、沖縄に別院を建立するため複数の条例案と建立のための予算計3億円を計上、首都圏と沖縄の開教に力点を置いた施策を打ち出した。遠忌特別会計総予算は4億4千万円増額し、311億1千万円とした。

2009/06/04 真言宗豊山派炎天寺 新本堂落慶法要営む

14a289ea776ac4_L1.jpg小林一茶が詠んだ「蝉なくや六月村の炎天寺」で知られる東京・足立区の真言宗豊山派炎天寺(吉野秀彦住職)。老朽化と耐震強度の問題を解消するため本堂新築に着手していたが無事落成し先月23日、西新井大師総持寺の濱野堅眞貫主を迎えて盛大に落慶法要が営まれた。
落慶法要は木材の香りが漂う本堂で濱野貫主を導師、吉野住職を導師に厳修。導師による表白では、950余年前の寺歴と工事経過に言及し、「間口5間、奥行き8間、鉄筋構造本瓦葺きの新本堂、ここに無魔竣工す」と奉告。そして歴代先師はじめ吉野住職、檀信徒の多大な尽力と協力を讃えた。

2009/06/04 さだまさしさん作詞・作曲「いのちの理由」完成

14a289f3ea5005_L1.jpg浄土宗(里見法雄宗務総長)が宗祖法然上人800年大遠忌記念事業の一環として歌手のさだまさしさんに依頼していた大遠忌記念曲(「いのちの理由」)が完成し5月28日午後、京都市の知恩院御影堂で浄土宗関係者と作詞・作曲したさださんが出席してその記者発表が行われた。里見総長は「法然上人のお名前の由来の一つ、自然法爾を連想させる」と喜び、さださんは「誰もが幸せになるために生まれてきたんだということは伝えたい」と歌に込めたメッセージを話した。

完成した「いのちの理由」は緩やかなメロディーに乗って《私が生まれてきた訳は/父と母とに出会うため…》と繰り返され、《春来れば花自ずから咲くように/秋来れば葉は自ずから散るように》と自然の理を示し、《しあわせになるために/誰もが生まれてきたんだよ》と訴えかける。歌は6月10日に発売されるさださんの最新アルバム『美しい朝』に収録された。

2009/06/11 高野山東京別院 旧台湾別院で記念法要

14a30e93d53123_L1.jpg日本統治時代、高野山真言宗の台湾別院が置かれた台北市の天后宮で、5月25日、高野山東京別院(四之宮弘孝主監)の参拝団17人による記念法要が営まれた。終戦後まもなく当時の関係者が、旧台湾別院の弘法大師像を発見。以来毎年、総本山金剛峯寺と東京別院が交互に訪問している。

戦前は「弘法寺」とも称された天后宮の本尊は、東アジア地域で広く信仰されている神・媽祖(天上聖母)。その左脇(向かって右)に、像高約50㌢・㍍の弘法大師像が安置されている。

法要は、弘法大師像を正面に遷座して厳修。四之宮主監を導師に、豊田眞彰執事ら僧侶6人が職衆を務め、檀信徒ら10人が列なった。さらにその様子を、大勢の台湾人参拝客が見守った。

四之宮主監は挨拶で、台湾でも大師信仰が受け継がれていることに謝意を表明。現在の日台両国の友好を祝し、世界平和を祈念した。

日本側では、女性参加者2人が写経を奉納した他、各自が台湾式でも参拝。異文化をつなぐ信仰の力を再確認した。
東京別院一行はこの後、インドネシア・バリ島のヒンドゥー教総本山・べサキ寺院をはじめ、各聖地を巡拝。30日に帰国した。

2009/06/11 日本山妙法寺 平和行進スタート 東京から広島、長崎へ

日本山妙法寺は6日、東京・新木場の第五福竜丸展示館から平和行進をスタートさせた。
非戦、核兵器の廃絶を訴え、平和への祈りを奉げるため、8月6日の広島、9日の長崎へと続く平和行進。今年も仏教者やキリスト者、平和運動家ら約30人が集い、平和への思いを新たにした。

日本山の木津博充氏は「一番人を無残に大量に殺すのは戦争。これは何としても避けないといけない」とし、「様々な困難がありますが、まさに異体同心、不退転でお祈りをさせていただきたい」と力を込めた。

㈶第五福竜丸平和協会の安田和也事務局長は「広島長崎以降、幾多の戦争があったが、少なくともアメリカ、ソビエトも核兵器を使用することはできなかった。それは世界の人々の声があったから。そのことを胸に刻んで広げていくことが大事ではないか」と訴えた。

ビキニ事件から55年、新藤兼人監督による映画『第五福竜丸』の公開から50年を迎える。展示館では6月中は映画の特別上映会が行われる。 一行は展示物を見学したのち、団扇太鼓を打ちながら力強いお題目を響かせながら、雨天のなかを出発。8月まで各地で平和への祈りを発信していく。

2009/06/11 みうらじゅんさん アウトドア『般若心経』語る

14a30ea8a56224_L1.jpg㈶東京大学仏教青年会は5月30日、イラストレーターなどとして活躍するみうらじゅんさんを招き、東京大学五月祭講演会を開催した。街中にある看板の漢字で「アウトドア般若心経」を制作したみうらさんはその秘話などを語り、聴衆約500人の笑いを誘った。
「実家がお寺でないことを不幸に感じていた」というみうらさんは、幼い頃からの仏像や仏教への思いをユーモアたっぷりに回想。

「般若心経」については「仏教の真髄」が説かれていると語り、一時期は駐車場の看板の「空有り」という表記を見ては「空なのに有りってどういうことだ?!」と「空」について深く思念する日々を送っていたと述懐。そんな折に、夢告によって「アウトドア般若心経」を発願したという。

街の中にある看板から般若心経278字を写しだす試みには「仏教(寺院)じゃないところから、撮らない意味がない」とマイルールも設定。レアな漢字に四苦八苦したこと、不審者と思われたエピソードなどを紹介した。
「バラバラにあるのにこうして集まると般若心経に見える。また元に戻すと違う意味になる。そのものが初めからあるのではなく、色々なものが集まってそう見えているんだと思った」と、アウトドア写経のなかでの気づきも披瀝。改訂版を作成中だそうで、「アウトドア般若心境にはまって、その瞬間瞬間は自分をさっぱり忘れ、救われていました」としみじみと語った。

2009/06/18 薬師寺東関東別院 薬師堂の落慶法要営む

14a39e91cd2823_L1.jpg茨城県・潮来市の法相宗大本山薬師寺東関東別院潮音寺(松久保秀胤住職)で7日、開山35周年大法要・薬師堂落慶法要が営まれた。安田暎胤薬師寺管主も臨席し、晴天のもと、県内外から約700人が参拝し慶事を祝った。

挨拶に立った松久保住職は「これからの35年が非常に大事。万民豊楽、五穀豊穣を祈願してかなえてくれるのがお薬師さん」と抱負。平成16年6月から松久保住職とともに潮音寺の整備に努めてきた大谷徹奘副住職は「ここが自分の故郷になってしまったので、この街を良くしたいと思っています。市長さんが一生懸命応援してくれている。このお寺が切手にもなりました。皆様方とご一緒に仏さまのお慈悲をいただきながら勤めてきたい」とお礼の言葉を送った。

法要では薬師三像を彫像した南都仏師・矢野公祥氏、薬師堂の天井絵を制作した地元の日の出中学校、慈母幼稚園の生徒・園児を代表して荻美波さん、指導・監修した画家の向笠友子さんらに感謝状も送られた。

前日には慶賛行事も行われ、柴燈大護摩火渡り式や万燈会が営まれたほか、夕刻からは歌手の河村隆一さんによる奉納コンサートも開催。約1800人が訪れ潮来の街が賑わいをみせた。

2009/06/18 浄土宗東京教区 自死者追悼法要

14a39eadc1193a_L1.jpg自殺者が11年連続で年間3万人を超える中、浄土宗初となる自死者追悼法要「倶会一処―ともに生き、ともに祈る」が10日、東京・港区の大本山増上寺・大殿三階道場で営まれた。関東を中心に、全国から21人の遺族が参列。法要と茶話会を通して、亡き人を追想した。遺族の一人は、「故人と会えた気がした」と感想。さらに「こうした法要を必要としている人は多い。お寺でもっとやってほしい」との声も寄せられた。

2009/06/18 天台座主、初の高野山公式参拝 1200年ぶり正式交流

14a39ec020bfc4_L1.jpg和歌山県高野町の高野山真言宗総本山・高野山金剛峯寺(松長有慶座主)で15日、宗祖空海の生誕を祝う「弘法大師降誕会」が営まれ、天台宗総本山・比叡山延暦寺の半田孝淳座主が参列した。天台座主の高野山公式参拝は史上初。両座主は法要後、奥之院の弘法大師御廟にそろって参拝。金剛峯寺では歓談の席が設けられ、「本日を機縁にお互いに手を取り合って、仏法の興隆、世界の平和に邁進できますよう」(半田座主)、「平安仏教を築いた両大師の教えは、21世紀に大きな役割を果たすことは間違いない」(松長座主)と、さらなる交流を約束した。


解説:天台宗・真言宗2大思潮の接近

最澄と空海は804年、同じ遣唐使の船団で入唐。それぞれの信ずる仏法を携え、帰朝した。先に帰国し入京していた最澄は、空海が「両部の大経」からなる正純密教を請来したことを知ると、これを学ぶべく空海と交流。両師が交わした国宝「風信帖」「久隔帖」などの直筆書状や、空海真筆の国宝『灌頂歴名』に記された「最澄」の文字などから、往時の親交の様を偲ぶことができる。

しかし後年、弟子「泰範」の帰属や『理趣釈経』の貸借をめぐり対立。幾度かのやり取りの後、決別のやむなきに至ったと伝えられている。以後、両宗は、日本史を貫流する2大思潮として、各時代に絶大な影響を及ぼすことになるが、正式な交流を結ぶことはなかった。

特に、天台座主の高野山参詣は、歴代座主の事績を記した『天台座主記』にも記載がなく、1200年間にわたって、公式参拝を裏付ける資料は確認されていない。一方、05年の「天台宗開宗1200年慶讃大法会」では、高野山の資延敏雄・金剛峯寺座主(当時)が比叡山を訪問、根本中堂に参拝した経緯がある。

この日の半田・松長両座主の歓談では、6年後に迫った「高野山開創1200年記念大法会」も話題に上った。真言宗の庄野宗務総長から天台宗側に、世界平和祈願法要などへの協力を要望する一幕もあり、正式な交流再開の印象を、一層鮮烈なものとした。

2009/06/25 曹洞宗尼僧団65周年法要

14a4431e7b391f_L1.jpg曹洞宗尼僧法団は18日から20日に、神奈川県箱根市の湯本温泉「河鹿荘」で80余名が参加し、創立65周年・第50回総会を行った。

19日には渕英徳曹洞宗宗務総長、神奈川第一宗務所の高田光昭所長を来賓に招き、創立65周年法要と第50回総会式典が営まれた。初めに、団員物故者追悼法要を厳修。続いて尼僧団特別功労賞の表彰が行われ、尼僧団の団長、理事長の役職を務めた9人に管長表彰が贈られた。

創立当初から尼僧団の活動に尽力してきた笹川亮宣氏が代表して挨拶し、「この表彰は自分一人が頂いたのではなく、団員一人ひとりの力があっての尼僧団65周年であることを胸においている。尼僧減少の道は現実だが、若き芽もあることも現実。相続は力なり、団結の力を継承して来る時代を担っていただきたい」と感謝と期待の言葉を述べた。

2009/06/25 日蓮宗国際教化シンポ 北米、”現在帳”を報告

14a4432d25e7a5_L1.jpg日蓮宗開教布教センター(平井智親センター長)は11日、東京・池上の宗務院で国際教化シンポジウム「日本と海外の新たな教化の試み」を開催した。国外からもアメリカ、ドイツ、カナダ、東南アジア、南米などの開教師が来日し、国内外の僧侶約90人が参加。4人の講師を招き、新進の教化方法や寺院に関する個人情報の保護など新たな論点も討論された。

海外教化活動の実践例として、北米開教区長の金井勝海氏は「葬儀や法事が少ない地区での仕事は、ほとんどが人生相談」であることなどを紹介。過去帳だけでなく、生前も “現在張”という形で、どんな法話をしたのか、生い立ちなどを記録に残し、継続して個別対応ができる工夫をしているとの報告がなされた。

2009/06/25 G8諸宗教指導者会議 宣言文をG8首脳へ

イタリアG8サミットに向け、今、宗教者が伝えなければならない提言を取りまとめる第4回「G8諸宗教指導者会議」が16・17の両日、イタリア・ローマ市内で開催され、G8首脳に向けた宣言文が採択された。世界を覆う経済危機や気候変動、人々から希望を奪う紛争や貧困について徹底討議。先進各国の政治指導者や各界のリーダーに対して、宗教の普遍的価値観や霊性に着目するよう要請していくことになった。

宣言文では、宗教者が掲げる新たな倫理規範として、「共有される安全保障」を明示。個人の安寧は他者の安寧と密接に連関することから、国際関係も相互依存で成り立っていると指摘した。

宣言文の内容を吟味した全体会議では、アフリカ経済と世界経済の格差、核兵器及び通常兵器の削減、人権侵害、環境破壊など、世界が直面する諸課題を討議。宗教者が果たすべき役割について、共通意識を構築した。その過程で、原案にはなかった核兵器廃絶の条項が、日本側の主張により盛り込まれた。

採択された宣言文は、閉会式で、イタリア外務政務次官に手渡された。さらに同文は、同国のベルルスコーニ首相によって、G8首脳に伝達される予定だ。
同会議には、23カ国から130人の宗教指導者が出席。日本からは、ケネス田中・武蔵野大学教授(浄土真宗本願寺派・大谷光真門主代理)、中島精太郎・明治神宮宮司、WCRP日本委員会から、庭野日鑛理事長(立正佼成会会長)、宮本けいし事務総長(妙智會教団理事長)、杉谷義純・前事務総長(大正大学理事長)ら8人が正式代表として参加した。
開会式では、イタリア司教協議会教会一致・対話委員会のビンセンツオ・パリア委員長が挨拶。ローマ法王・ベネディクト16世のメッセージを引用し、「すべての人に愛と慈しみを」と訴えた。
イタリア政府を代表して、フラコッティーニ外相も挨拶し、「地球的諸課題に宗教者の視点からの解決策を」と要望した。
諸宗教代表者からの提言として、庭野理事長が登壇。昨年のG8北海道・洞爺湖サミットに際しての諸宗教活動を紹介し、「いのちの尊厳」を守るための宗教間対話の重要性を強調した。

2009/07/02 仏教伝道協会沼田会長 UCバークレーから学長特別名誉賞受賞

㈶仏教伝道協会の沼田智秀会長が、米国・カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)より学長特別名誉賞を受賞することが決定した。

学長賞はこれまで世界各地で活躍している40人が受賞しており、日本人としては町村信孝氏(元外務大臣、元内閣官房長官)、緒形貞子氏(元国連難民高等弁務官)に続いて3人目。沼田会長は仏教伝道協会を通じて、仏教研究への先進的且つ刷新的サポートに尽力し、同校が描く理想的な社会貢献をしてきたことが評価された。

沼田会長は今回の受賞に対し「全く思いもかけず、不承の私が名誉あるカリフォルニア大学バークレー校の学長特別名誉賞の栄に浴すことは、光栄の極みであり、誠に有り難く感慨無量であります」と喜びを披瀝。

9月25日から27日には同校で「UCバークレー日本研究センター創立50周年記念行事」の一環として日本仏教国際会議が開催され、26日に学長賞授与式が執り行われる。

2009/07/02 WCRP 創立40周年へ実行委員会発足

(財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会(庭野日鑛理事長)の第105回理事会・第101回評議員会が6月25日、東京・渋谷区の明治神宮文化館で開かれた。来年迎えるWCRP創立40周年記念事業の企画コンセプトが承認され、現在の企画委員会(委員長=安田暎胤・薬師寺管主)を実行委員会に発展的に改組(陣容は未定)して取り組むことになった。

同記念事業の総合テーマは、「世界を〝まほろば〟に―シルクロード終着の地、日本から発信する」。平城遷都1300年記念事業とタイアップし、次のイベントを開催する。
「アフガニスタン和解プログラム」(東京会場、今年10月下旬~11月頃の3日間程度)では、アメリカ、アフガニスタン、パキスタンなど関係当事国の宗教者や外交担当者、識者らを招聘し、平和シンポを開催。立場の異なる各勢力に、対話の場を提供する。

パネリストの人選について、植松誠・日本聖公会首座主教が提案。「我々は普段、タリバンに直接会う機会はないが、現地では大きな力を持っている。そういう勢力の代表者がいないところで、アフガンの平和を話し合うことができるのか」と、実効性のある人選を求めた。「共有される安全保障」を提唱する、WCRPの宗教外交力に期待が集まる。

「まほろばプログラム」(奈良会場、来年9月25~27日)では、「WCRP40周年宣言(まほろば宣言)」を発表。WCRPの未来像や東アジアの将来への提言を発信し、「東アジア青年宗教者4カ国会談(日・中・韓・北朝鮮)」や各種の平和プログラム、一般市民を対象にした公開講演会やチャリティコンサートなどを開催する。

その他、「日本の『クラスター爆弾禁止条約』批准の決定を支持する声明」を当日付で採択。急増する国内難民申請者への緊急救援として、平和開発基金の予備費より200万円を拠出することも決定した。

開会にあたり、庭野理事長が挨拶。先般、イタリア・ローマ市内で開催された「G8諸宗教指導者会議」の成果について話し、「札幌からローマにバトンを渡すことができた」と総括した。

2009/07/02 曹洞宗宗議会 荼毘塔近くの建物取得案「賛成少数で否決」

14a4c531bc2762_L1.jpg6月22日から東京・芝の宗務庁で行われていた曹洞宗(渕英徳宗務総長)の第108回通常宗議会(国安格典議長)は、「道元禅師荼毘塔近傍建物取得費支出の件」として計上された2億2千万円の補正予算案をめぐって空転。最終日の25日夜の本会議で予算委員会(横井真之委員長)がこれを否決したことが報告された。本会議での採決でも賛成少数で否決された。当局提出案件が修正もなく否決されたのは極めて珍しく、渕内局にとっては厳しい局面を迎えそうだ。

2009/07/09 大本 ノンドナーカードを配布

14a558fd8cae3d_L1.jpg脳死を一律に人の死とする臓器移植法改定案に反対している大本(出口紅教主)は4日、全国6市で「ノンドナーカード」を配布する街頭活動を実施。関西では出口教主が先頭に立って同カードを配布し、改定反対をアピールした。
街頭活動を実施したのは大阪・神戸・京都・姫路・名古屋・札幌の6都市。それぞれ20人から70人の信徒・職員が繁華街に出、脳死状態からの臓器提供を拒否する「ノンドナーカード」や脳死は人の死でないことを訴えるチラシを配った。

このうち京都市では同日午後活動が行われた。四条河原町の交差点で信徒ら40人ほどが〈脳死は人の死ではない〉〈脳死の患者さんも生きています〉と染めたタスキを掛けて配布。鹿子木旦夫副本部長は「脳死の人も生きている。その生きた人から臓器を摘出することはその脳死患者が死ぬことを意味する」「臓器移植は人のいのちを軽視し、臓器をモノとして扱う医療です」と拡声器で訴え、法改定反対を呼び掛けた。

4日の活動には全国で約200人の信徒が参加し2万3千枚のノンドナーカードを配布した。

2009/07/09 法華宗本門流 『立正安国論』750年誓願の集い

14a5594f0f1e53_L1.jpg法華宗本門流(原井慈鳳宗務総長)は2日、東京・新宿の獅子吼会本堂で〈『立正安国論』進覧750年誓願の集い〉を開催。四大本山貫首はじめ宗門関係者、檀信徒ら300人が参集し、法要や講演を通じて『安国論』に込められた宗祖の願いを再確認し、菩薩行の実践を誓った。

第一部の奉賛法要に際して主催者を代表して原井総長が挨拶。奉賛法要は大塚日正管長(大本山鷲山寺貫首)を導師に厳修。読経のなか、臨席する本山貫首や宗会議員、学林代表らが焼香。また青年伝道隊の団扇太鼓による力強い唱題などが行われた。第2部の講演は、「『立正安国論』―大悲菩薩の誓願を拝して」と題して大本山光長寺の石田日信貫首が行った。

講演後の清興では、青森県むつ市の本門寺で行われている団扇太鼓を用いた法華和讃や中国の古箏、勇壮な和太鼓が披露された。また会場に国宝『立正安国論』の複写が展示され、参加者は熱心に見入っていた。

2009/07/09 国際仏教興隆協会 半田竺主の就任祝う

14a55996154e64_L1.jpg財団法人国際仏教興隆協会(理事長=安田暎胤薬師寺管主)が主催して半田孝淳天台座主の印度山日本寺竺主就任を祝う会が2日午後京都市東山区の中村楼で開かれた。松長有慶高野山真言宗管長(全日本仏教会会長)はじめ各宗役員ら約100人が改めて就任を祝い、半田座主のもとでの日本寺発展を期待した。

半田座主は「安田暎胤理事長、そして事業をお支えいただく多くの皆様のお力をいただきながら正法興隆に、人類和合・世界平和実現のために私は老骨ですが最後のご奉公をさせていただくつもりで頑張っていく」と述べるとともに、「諸般の事情が整いますれば私もインドへお邪魔して、釈尊成道の地へ伺い、晋山を奉告したい」と晋山式に日本寺のあるインド・ブッダガヤーへ赴く意欲を示した。

祝辞には松長座主が立ち、6月15日の高野山参拝のお礼を述べたうえ「『竺主』は天竺の主。日本仏教界だけでなくお釈迦さんの聖地の天竺の主となられる。これは普通の方ではなれない。やはり日頃国際的な活動をしておられる半田猊下だからこそ似つかわしい」と話し、就任を祝った。

半田座主と同じ長野県出身の南澤道人曹洞宗大本山永平寺副貫首は「半田猊下は私より10歳上の大先輩ですが、かくしゃくとして、世界各地にご巡錫いただいております。まことにうってつけの猊下が竺主としてご就任いただいたのをわれわれも心強く思っております」と祝辞を述べた。この後、「竺主就任を心からお祝い申し上げます」と述べて阿部龍文真言宗智山派管長が乾杯の発声を行い、祝宴に入った。

半田座主は、前竺主の中村康隆浄土門主の遷化を受け、今年2月5日付で第5世竺主に就任。未定だった晋山式は12月上旬にインド・ブッダガヤーへ半田座主が赴いて執り行うよう準備が進められている。

2009/07/16 全青協 協働コーディネーター養成講座開催

14a5fe3369bf07_L1.jpg公益法人法の改正を契機に各宗教団体でも「公益性」、「社会貢献」と叫ばれている。そうした中で地域と協働して活路を見出したいという寺院関係者の声に応え、全国青少年教化協議会(全青協=半田孝淳会長)は7日、8日の2日間、東京・芝の東京グランドホテルで「協働コーディネイター養成講座」を開催。講師はNPO研修・情報センターの世古一穂代表理事(金沢大学大学院教授)と全青協主幹の神仁氏が務めた。

「お寺への敷居を低くして『開かれたお寺』を作りたい。そのヒントを探しにきた」
「自坊が過疎化の地域。なんとかお寺を使って地域の発展に貢献したい。地域の人々とどう関われるのか、そのノウハウを知りたい」

24人の参加者が誕生日順に円を作って並び、参加動機を順々に述べていく。これは地位や年齢に左右されず、対等に意見を発表するためのバースデイ・リングという手法。協働コーディネイターが意見を聴取する際に使うテクニックの一つだ。
地域の市民やNPO団体と対等な関係でパートナーシップを結び、協働してその地域の課題解決にあたる。世古代表は協働コーディネイターの仕事をこう説明。「社会の様々な問題・矛盾を調整して解決するのが協働コーディネイター。人々のつぶやきを形にし、思いを仕組みする職能です」
参加者はこうした現場で生かせるワークショップを体験しながら企画力やコミュニケーション力を磨く。合意形成の過程を経験し、そのノウハウを学んだ。

講座では突破口を見出す寺院関係者の姿が見えた。「死んでいるお寺が多すぎる。自坊を活きたお寺にしたい」とある参加者。

全国に7万5千あるという寺院。そのあり方と真価が問われる時代になった。協働をキーワードに現場で方向性を模索していた寺院関係者が胎動が始まっている。

2009/07/16 《コラム》 実現党都議選1万3千票/信者に千日回峰行者?

都議選での自民党大敗の余波が国政に達し、衆院総選挙は8月30日と決まった。この総選挙に宗教法人幸福の科学(大川隆法総裁)を母体とする幸福実現党は300全選挙区と比例ブロックに候補者を出すと表明している。

都議選では急ごしらえながら10人の候補者を送りだした。7月12日投票日直前の10日に発売された文藝春秋8月号では、奇しくも幸福実現党の取材記事と大川氏へのインタビューが掲載された。大川氏は「幸福の科学の組織力は自民党や民主党よりも上」などと選挙への自信を覗かせていた。

都議選結果は――。地域によってばらつきがあるが、最高票が足立区の候補者で2115票。最低が武蔵野市の候補者の396票。10人で1万3401票である。教団本部のある品川区の候補者でさえ1725票。大川きょう子党首が当初出馬するはずだった東京10区の中心である豊島区の候補者は1647票どまりだった。いずれも法定得票に及ばなかった。

幸福実現党側は、サイトのなかで結党から間もなかったと「時間不足」を敗因にあげている。一方で「主要なマスコミの既存政党重視の姿勢が強く、日々の選挙報道など、新しい政党としては、参入障壁を感じたのも事実」と嘆き節も。こうしたマスコミのあり方は織り込み済みで結党したはずである。

また前述の文藝春秋誌での大川氏の発言で興味深いのはは他教団に関する箇所。「ウチは他宗教に寛容で、他宗教に属する牧師や住職も信者にいます。天台宗だと千日回峰行を達成した人も信者にいるし、浄土真宗系の教祖様もウチで活動しています」。確認したところ少なくとも千日回峰行者が幸福の科学の信者という事実はない。(高)

2009/07/16 仏教書総目録刊行会 東京ビックサイトでブックフェアに出展

14a5fe45dd950f_L1.jpg東京・有明の東京ビックサイトで9日から12日まで開催された国内最大級の書籍の見本市「東京国際ブックフェア」で初めて仏教書総目録刊行会が出展した。一般公開の11・12日は多くの一般来場者がブースを訪れ活況を呈し、仏教書の安定した人気を印象づけた。

ブックフェアでは会員出版社9社(春秋社、誠信書房、大蔵出版、大法輪閣、筑摩書房、東京大学出版会、中山書房仏書林、法藏館、吉川弘文館)と協賛出版社6社(青土社、大東出版社、東京書籍、東方出版、平河出版社、本願寺出版社)から、あわせて1800点、3000冊の書籍や仏教関連商品を出品。全書籍20%オフの報恩価格で販売され、来場者には同会発行の『仏教書総目録2009』と小冊子「仏教の歴史」も配布された。

来場者は一般向けの入門書などの類はもちろんのこと、仏教経典などを扱った専門書を買い求める人も多く、出展者側もこれには意外な驚き。また、お目当ての本を図書館で借りて持参する人など、書店にない書籍をみつけようと同会のブースに期待を込めるコアなファンの姿もあった。

今回のブックフェアは世界30カ国から800社が出展した、過去最大規模となった。伝統教団関係も、本願寺出版や東本願寺出版部、浄土宗出版、㈶禅文化研究所が出展。パンフレットなどを配り、行き交う来場者に仏教の魅力をアピールしていた。

2009/07/16 臓器移植法A案可決成立 反対派が記者会見

「脳死は人の死」とすると共に15歳未満の子どもからの臓器移植を可能とする臓器移植法案が13日、参院本会議で採決され、投票総数220票のうち賛成138票、反対82票で成立した。これをうけて日本宗教連盟(日宗連)は日本人の死生観から「みとり」の文化が失われることを危惧する事務局長のコメントを発表。一貫して反対の姿勢を示していた大本も「強い憤りを覚える」との緊急声明を出した。改正臓器移植法は1年後に施行される。

参院本会議では、脳死を人の死とし、年齢制限も撤廃、本人の意思が不明でも家族の同意のみで臓器移植ができるという、A案が過半数を上回った。これに先立ち、臓器移植の場合のみ、脳死を人の死とする修正A案が採決されたが、賛成72、反対135で否決された。

A案成立直後、「臓器移植法改悪に反対する市民ネットワーク」は、参議院議員会館の一室で緊急記者会見を開いた。同ネット事務局の川見公子氏は、「人の生死を決める法律が、ボタンひとつで決められた。到底納得できない」と強く非難。「衆院の解散・総選挙」を見据えた拙速な採決だとして、憤りをあらわにした。

川田龍平・参院議員は悔しさを滲ませながら、「反対票の重みを運用面に反映し、検証も含め注視していく」と語った。各市民団体の代表者らも発言し、「脳死は人の死ではない」と異口同音に強調した。

大本の松田達夫氏(人類愛善会生命倫理問題対策会議事務局長)は、「これからもノンドナーカードを、多くの方々に渡していきたい」と運動の継続を表明した。

さらに同室で「生命倫理会議」(代表=小松美彦・東京海洋大学教授)が会見。7項目から成るA案反対声明を発表した。

2009/07/23 埼玉県宗教連盟 超宗派による平和の祈り

埼玉県宗教連盟(中山高嶺理事長)は21日、川越市のカトリック川越教会を会場に「平和の祈り」を開催。仏教、キリスト教、神道、新宗教者約150人が集い、世界平和の祈りを捧げ、より平和で住みよい世界の実現を願った。

集いに参加したのは連盟に加盟する、㈶埼玉県佛教会・埼玉県佛教青年会、天理教、新宗連埼玉(松緑神道大和山、真生会、修養団捧誠会、解脱会)、カトリック川越教会、埼玉県神社庁、立正佼成会、日本基督教団。

「平和の祈り」は米国・ニューヨークで起きた9・11同時多発テロとそれに対するアフガニスタンへの報復攻撃を受けて2001年秋に第1回がカトリック浦和教会で行われた。その後、2004年から毎年行われ、今年で7回目を数える。

はじめに主催者を代表し、㈶埼玉県佛教会の藤田得三会長(浄土宗勝願寺住職)が挨拶し、「国・信条を超え、平和の手を結んでいきたいと考え、本日の平和の祈りが始まった」と呼びかけた。

平和の祈りは埼玉県佛教会と埼玉県佛教青年会の合同での法要から始まり、教会内に青年僧の力強い読経と太鼓の音を響かせた。次いで各団体がそれぞれの宗旨に則り、イエス像を前に平和の祈りを捧げた。

川越教会のジャン・ワレ神父は「今日分かち合った祈りが私たちの平和の心になりますように」と集いの意義を確認。また「それぞれの宗教の立場を超えて一つの心を持つことができるようにお祈りします」と語りかけた。

2009/07/23 日蓮宗 『安国論』奏進日につどい みのもんたさん”未来”語る

14a698a408065c_L1.jpg日蓮宗(小松浄慎宗務総長)は『立正安国論』奏進750年記念行事として、奏進の正当である16日、東京・大崎の立正大学石橋湛山記念講堂で次代を担う若者に立正安国の精神を伝える「未来への発信のつどい」を開催。立正中学、立正高校、東京立正の3校の中高生約600人が参加し、法要の他にテレビでお馴染みのみのもんた氏として知られる御法川法男氏の講演会も開かれた。

法要は小松総長を導師に厳修。三帰依文、『妙法蓮華経・欲令衆』、などを各校生徒が式衆とともに読経した。さらに祖訓『立正安国論』や題目も唱え、その声が力強く会場に響き渡った。生徒による誓いの言葉では「私たちは、日蓮聖人の願われた立正安国の教えを未来に、世界に、伝えることをみ仏に誓います」と生徒全員で唱和した。

御法川氏は「皆さんは10年後の日本や自分を想像できますか」と会場に質問をなげかけると、「なかなか想像できないと思うけど、私のいる放送界では、大体1年が2ヶ月位の速さ。ものすごい勢いで過ぎていきます」と話し、生徒は興味深そうに聞き入っていた。

立正安国論については、「今の日本と日蓮さんが『立正安国論』で言っていること、なんだか繋がるように思う」と話し、今現在日本が抱えている災害や海賊対策法など「750年前に日蓮さんがどうしたらいいかと考えてたことが今の日本にも起きているのでは」と未来を担う若い世代へ真剣に日本と自分の未来について考えてほしいと呼びかけた。

2009/07/23 真宗大谷派 5年ぶりに御影堂が全容現す

14a698c4c884fa_L1.jpg御影堂の修復が完了した真宗大谷派(安原晃宗務総長)の本山(真宗本廟、京都市下京区)で16日、御影堂を覆っていた素屋根を阿弥陀堂へスライドさせる工事が執り行われ、屋根瓦を葺き替えるなどして新しくなった御影堂が5年ぶりに全容を見せた。

重さ1500㌧の素屋根は1分間に50㌢の速度で移動し、途中点検のため一旦停止しつつも、3時間後の午後零時50分、全67㍍のスライドが完了した。御影堂の全容が現れるとともに阿弥陀堂を覆った。完了後、杉浦義孝参務が謝辞を述べ、その後参拝者に御影堂内部が公開された。

8月3日には竣工式、9月30日に御真影還座式、11月20日に修復完了奉告法要が営まれる。

2009/08/06 最上稲荷教が55年ぶりに日蓮宗へ復帰 宗門の人材育成力に期待

14a7f6fab85ea2_L1.jpg日本3大稲荷信仰の一つ最上稲荷教(稲荷日應管長)の総本山妙教寺(岡山県岡山市・貫首=稲荷管長)を含む寺院・教会など8つの法人が58人の教師とともに55年ぶりに日蓮宗(小松浄慎宗務総長)に復帰した。東京・池上の宗務院で7月24日、所属辞令交付式が執り行われた。

最上稲荷教は積年の課題であった教師や後継者の育成にあたり、復帰によって今後日蓮宗の人材育成力を活用し、後身を育成していく。今般の復帰では包括法人最上稲荷教の16の被包括法人のうち8法人、教師231人のうち58人が日蓮宗に帰属する。

辞令交付式では、出席した内局幹部が見守る中、小松総長から稲荷住職と寺院・教会代表者7人に一人ひとり辞令が手渡された。

小松宗務総長は「『立正安国論』奏進750年の節目の年に復帰していただき、大きな力を賜った」と挨拶。「包括法人としての日蓮宗が寺院に何ができるかを考え、所属して良かったと思ってもらえるよう尽力する。大いに手を取り合って大聖人の教えを広めていきたい」と歓迎の言葉を述べた。

稲荷住職は「先々代の日宣上人が立教し、この間、教団教師は懸命に努力を重ねてきた。半世紀を振り、教団としての使命は果たし終えた」と教団の礎を築いた55年間について述懐。その上で日蓮宗への復帰について「そもそも妙教寺は池上本門寺の日円上人によって再興され、以来法華経を読誦してまいりました。日蓮大聖人の教法を仰ぎ奉ることに何ら異論はありません」と語った。また今後の抱負を「多くのご信徒の期待に応えるべく、次代を担う人材育成、地域社会への積極的な貢献のために復帰を決意しました。今後は立正安国の顕現を目指し異体同心でいく所存です」と話した。

2009/08/06 比叡山宗教サミット22周年「核兵器のない世界願う」

14a7f7cfe4075e_L1.jpg宗教・宗派を超えて世界平和の訪れを祈念する比叡山宗教サミット22周年「世界平和祈りの集い」(主催=天台宗・延暦寺)が4日、滋賀県大津市の比叡山で執り行われた。国内外の宗校者と青少年ら約千人が集い、紛争や核兵器のない平和な世界を願い、敬虔なる祈りを捧げた。

はじめに濱中光礼宗務総長が「全人類が平和の恩恵に浴するために祈りを捧げ、また私たちの責務を再確認するものとなることを念願します」と開式の辞。舞台上は約300人の小中学生が平和のメッセージを込めた作った青と白の折鶴を地球に見立てた透明の球体に投入、比叡山幼稚園の園児が献花し、「平和な地球」が作り上げられた。

続いて比叡山延暦寺一山寺院住職と半田孝淳天台座主が登壇し法要を厳修。半田座主による平和祈願文では核問題に言及し、「いかに自衛を名目にするといえども取り返しのつかない無差別の大量破壊、大量虐殺に直結する核兵器の拡散を世界の恒久平和を希求して集まった私たちは断じて受け入れることができない」と強調。「自然への畏敬や配慮を欠き、放逸に過ぎる人間の欲望がこの危機を招いたことを真剣に受け止め、神仏の導きに従い、抑制的で理知的な解決を祈りつつ、自らもその啓蒙、実践に努めるべきものと存ずる」と力強く奏上された。

次いで出口紅大本教主、阿部龍文真言宗智山派管長、大塚喜直カトリック京都教区司教、田中恆清神社本庁副総長、渡邊恭位立正佼成会理事長、宮本けいし世界宗教者平和会議日本委員会事務総長ら国内外の各宗代表14人も登壇。平和の鐘が響くなか黙祷が捧げられた。

海外からの来賓、教皇庁諸宗教対話評議会議長のジャン=ルイ・トーラン枢機卿は「平和を語る」と題してスピーチ。ローマ法王庁大使館教皇大使のアルベルト・ポッターリ・デ・カステッロ大司教、パロップ・タイアリー世界仏教徒連盟事務総長からも平和のメッセージが読み上げられた。

2009/08/06 本願寺派 新総長に橘正信氏

浄土真宗本願寺派の第291回臨時宗会が3・4日、京都市下京区の宗務所で開かれ、不二川公勝総長の辞任を受けて総長選挙が実施された。大谷光真門主は3人の総長候補者を指名、そのうち直前まで不二川総局の総務だった宗会議員の橘正信氏(岐阜教区中川北組=本巣市=圓勝寺住職)が議員の投票によって選出された。

橘新総長は「3期12年にわたる振興計画の実施に全力を尽くしたい。また目前に迫る大谷本廟の大遠忌、そして本節の大遠忌も円成を期したい」と述べた上、「宗門は時代を見据え大ナタを振るわなければならない状況かもしれません。しかし足場を見据え、きちっとした基盤のもとに見直しをしながら前進したい」、また「お念仏に出遭えてよかったな、そういう心あたたまる教団づくりに邁進したい」と抱負を述べた。

橘新総長は1942年(昭和17)11月生まれ、66歳。岐阜教区中川北組圓勝市住職。龍谷大学大学院文学研究科博士課程満期退学。97年7月から宗議会議員を務め、現在4期目。その間、総務2回歴任。

2009/08/20 夏祭りで無縁仏供養 高野山東京別院が出仕

14a8cf6f189ab6_L1.jpg日雇い労働者らが多く暮らす東京・台東区の山谷地区で8日夕、身寄りのないまま亡くなった人々を弔う無縁仏供養が営まれた。玉姫公園で毎年開催されている「山谷夏祭り」(主催=ボランティアサークル「ふるさとの会」)の一環で、導師は高野山真言宗・高野山東京別院の四之宮弘孝主監が務めた。

「日雇い労働者の支援に」と始められた同祭も、今年で33回目。無縁仏供養は十数年前から、「亡くなっていった仲間の無念を汲み取って」(主催者)営まれるようになった。

四之宮主監をはじめ僧侶3人による読経が続く中、約400人が焼香。四之宮主監が、経木塔婆に記された故人の氏名を一人ずつ読み上げ、回向した。経木塔婆は法要後、隅田川で川供養。焼香を終えた参列者には、カレーの炊き出しが行われた。

2009/08/20 世界平和祈願 中国人殉難者慰霊法要

14a8cf8a7b9625_L1.jpg戦争末期に惹起した花岡事件(秋田県)で犠牲になった中国人殉難者の遺骨発掘から60周年。日中友好宗教者懇話会(宗懇、持田日勇会長)と慰霊法要実行委員会の共催で8月8日、持田会長の自坊である東京都墨田区東駒形の日蓮宗本久寺で「世界平和祈願・中国人俘虜殉難者慰霊法要」を日中双方の僧侶によって執り行った。

法要には日本から参院議長の江田五月氏、駐日中国大使館の崔天凱大使のほか、中国仏教協会から学誠副会長はじめ国家宗教局幹部や僧侶・信徒、さらに台湾、香港からも生存者や遺族、華僑ら350人余が参列し焼香した。

2009/08/20 全日仏 衆院選で108人を推薦 伝統教団もそれぞれ対応

衆議院の解散総選挙が18日に公示された。自民・公明両党による与党体制が続いてきたが、政権交代の気運が高まるなかでの総選挙。全日本仏教会(全日仏)はじめ伝統教団は候補者を推薦したり、激励文をおくるなどしている。

全日仏は加盟団体からの申請に基づいて推薦状を発行するが、全日仏の目的を理解し今後の協力などが前提となる。今回は自民62、民主44、諸派1、無所属1の108名。4年前の衆院選では98名を推薦し、80名が当選した。

浄土真宗本願寺派では、僧侶・門徒の政治家組織である築地聞真会会員や門徒らが立候補。本人の申し出に基づいて総長名の推薦状をだしている。今回は、自民39、民主37、社民1、国民新1、無所属1の80名。

浄土宗は政治家組織である浄光会会員を中心に推薦。自民30、民主5、みんなの党1、無所属2の38名。

曹洞宗は自民6、民主6の12名だが、今後さらに増えそうだ。

日蓮宗はまだ総長名の推薦状をだしてはいないが、法華一乗会の3人(自民)に会員の証(あかし)を発行した。

真宗大谷派は推薦状ではなく候補者に激励文をおくっている。今回は全体で63名。
(数字はいずれも8月18日現在)

2009/08/27 天台宗 戸津説法 濱名氏が法華経説く

天台宗の伝統行事、戸津説法が21日から25日まで5日間、大津市下阪本の東南寺で行われ、6月に説法師に指名された濱名徳永氏(南総教区=千葉県芝山町=観音教寺住職)が伝教大師の実践にならって法華経の教えを説いた。このうち初日は半田孝淳座主はじめ天台宗、延暦寺の内局が参席するなか行われた。

濱名氏は法華経の開経、無量義経を説き、特に「草木国土悉皆成仏」について言及。学生時分に白粉花を見て「人間だったら、何で頭よく生んでくれなかったんだと思う。ところが草木は足がないから自分の好きな所には行けず、そこにいて、一生懸命花を咲かせている」ということに気づき、そこから「私の心と、草木に心があるとしてその心を比較したなら到底私の心は白粉の花に及ばない」との考えに及んだことを述べて言葉の解釈を示した。

発心したその時に覚りを得るという意味の「初発心時便成正覚」にも言及。猟師の撃った弾が獲物に当たっているか否かを猟犬は撃ったその時に知るという話を譬えに、「ちゃんと狙いが定まっていれば、そこに行くまで時間がかかるけれど、弾が出た時、当たっている。仏になっているということ」と説いた。

濱名氏は5日間の戸津説法を勤めたことで経歴法階の最下位「望擬講」に補任される。

2009/08/27 神儒仏3教合同シンポ 「心の社会貢献」探る

14a96374b5584a_L1.jpg神田神社(神道)、㈶斯文会(儒学)、㈶東方研究会(仏教)は8日、東京・千代田区の湯島聖堂でシンポジウム「心の通い合う社会を求めて『他者への関心』」を開催した。昨年6月に三教の地元で起きた秋葉原無差別殺傷事件を受けて初めて三教が合同で企画。神儒仏の思想を活かした、地域社会と現代人への「心の社会貢献」を探った。

初めに徳川恒孝氏(徳川記念財団理事長)が「社会基盤としての価値の再生へ」と題し基調講演。徳川氏は日本の精神文化を支えてきた三教について、神道が「人々を結び自然と調和する」、仏教が「人々の心の救済」、儒教が「社会の人としてのあるべき道を教える」と解説。加えて「先祖、自分、子孫という流れをもつ家の概念」が「日本を支える大きな精神的な柱」と指摘した。

神道の立場から発題した石井研士氏(国学院大学教授)は日本人の宗教意識調査の結果から、近年の急速な宗教離れを懸念した。これに対して宗教者や教団の側にも「今求められているのは具体的な動き」とし、教誨師や民生委員といった地道な活動を評価しながらも、「宗教法人の公益性も様々な機会に問われていく」と提言した。また「便利さに大きな価値を見てきたが、不便であることの良さがあるのではないか」と自省。「望ましい社会のあり方」を構築するうえで宗教的な智慧や儀礼が果たす役割に期待を寄せた。

仏教の立場からは竹村牧男氏(東洋大学教授)が発題。牧村氏は近年の社会変容を「文明の病の時代」と表現し、社会の根本的な変革の必要性を強調。そのうえで仏教的なアプローチとして「自分という存在は如何なる存在なのかを徹底的に追及すること」と提起した。

神儒仏三教による意見交換では、石川忠久氏(㈶斯文会理事長)、石井氏、竹村氏が登壇。三教の教えを活かした教育の重要性、核家族化や人間関係の希薄化に対して、新たな共同体の構築に三教がどう寄与できるか議論。石川氏は儒教の「郷党社会」の考え方を提示。子ども、成人、長老の各年令による社会組織が機能することで「若者を自然に導くことができる」と示した。

今シンポは神儒仏が協調して行う「心の社会貢献」の第一歩として位置づけられ、会場には関心を寄せる一般聴講者150人が参集。これをきっかけに、三教では今後も対話を重ね、社会に向けた取り組みを続けていきたいとしている。

2009/08/27 真宗高田派関東別院 生活困窮者の遺骨受け入れ

14a9638aa0a61d_L1.jpg高齢者の単身世帯が増えお墓を持てない人や継承者の不在などを理由に遺骨を埋葬できずにいる人が多くいる。こうした現状に対応すべく、真宗高田派専修寺関東別院(東京都大田区/山中俊之輪番)は8月から同院の合祀形式の永代供養墓「倶会一處」で遺骨の受け容れを開始した。

この取り組みは2012年に迎える親鸞聖人750回忌に向けての社会福祉活動の一環。大田区周辺に在住で何らかの事情により遺骨を埋葬できないでいる生活困窮者を対象に、3年間を目途に、年間75体程度の遺骨を受け容れる。山中輪番は「御遠忌にむけてこれがご恩返しになる。困っている方を救いたい。今後は福祉関係者にも呼びかけていきたい」と話す。

「倶会一處」は関東別院内の第2墓地に開設。希望者とは山中輪番が一人ひとりと面接したうえで「親を思う気持ちを持ちながらも現状では力がなく、本当に困っている方々」を受け容れる。また別院という寺格ながら希望者の宗旨宗派は問わない。通常10万円で提供する「倶会一處」だが、希望者は本来の意味での「お気持ち」によるお布施をもらう方針。

一方で「ただゼロというのは駄目です。それでは捨骨場になってしまう。5千円でも1万円でも、そのお気持ちをいただければ」と線引きする。3年間を目途としているが、将来的にもこの活動を広げていきたいとしている。

山中輪番は葬送や供養に関する相談を多く受けるなかで、身寄りが高齢者の両親のみという男性の相談をきっかけに受入れを立案。「一人暮らしや身寄りのない高齢者。天涯孤独の方々。特に都市部では新しい墓地を作れず、遺骨を埋葬できない方も多い。

如何に不安を取り除き、救ってあげられるか」。檀信徒を見ても「2割から3割、後継者がいない。少子化も進みこのままではどんどん無縁になってしまう」と危機感を持つ。

「檀家さんにいただいたお布施を社会福祉として還元しないといけない」

「お寺のあるべき姿」を示すべく、広く門戸を開けている。

2009/09/03 仏教看護・ビハーラ学会 映画「おくりびと」でシンポ

14a9f8ae6f3235_L1.jpg8月28から30日まで京都市中京区の佛教大学四条センターで開かれた仏教看護・ビハーラ学会(藤腹明子会長)第5回年次大会のなかで、福原隆善佛大教授の特別法話と映画『おくりびと』を通して看取りを考えるシンポジウムが行われ、現在の病院での終末医療の問題点や僧侶の役割等について意見交換した。

福原教授は「浄土教者の宗教体験」と題して源信、法然ら代表的な浄土教者の宗教体験を説明。『往生要集』を著わした源信の「念仏成仏」の理論や永観の教えを述べた上、「法然上人になりますとこれが一変し、自らの力では何もできないという所に立ち」「阿弥陀仏が示されたことを実践するしかない」という境地に達したと法然の立場を話した。「法然上人は仏教を一人ひとりのものにした」とした。

シンポジウムは「映画『おくりびと』を観て、我々は何を感じ、考えたか」と題し、司会の今井洋介氏(新潟県立がんセンター医師)、尾下玲子氏(看護師・倉敷第一病院緩和ケア病棟勤務)、石川県金沢市でビハーラ活動を実践する大谷派幸円寺住職の幸村明氏、西内洋二氏(松山市)、チェコ出身で上越教育大学学生の郷堀ヨセフ氏の5人が意見交換。シンポには77人が参加した。

2009/09/03 大本山増上寺 圓光大師堂が竣工

14a9f8b970451f_L1.jpg東京・芝公園の浄土宗大本山増上寺(八木季生法主)で昨年1月より建設中だった圓光大師堂が完成し、1日に竣工式並びに御身柄奉安式が執り行われた。圓光大師堂は増上寺が進める法然上人800年御遠忌記念事業の諸堂宇整備事業の一環。成田有恒前法主、江口定信前執事長の発願により、平成18年11月に知恩院より拝受した法然上人の御身柄を安置するために建立が進められてきた。

式典では初めに四方洒水・散華によって新築の堂内が清められ、導師を務める八木法主が入堂。八木法主は表百のなかで「仏天の加護のもと、卓越した技術と誠意ある努力のもと、威風堂々にして華麗なる御堂の竣工を見る」と述べると共に、「これ先師成田有恒台下、江口定信前執事長の悲願、ここに円成せるの思いあり」と奏上した。

圓光大師堂は木造、平屋造りで、建築面積は約192㎡。堂内には水晶の五輪塔に入った法然上人のお身柄が安置されている。また同堂に安置するための法然上人像を現在制作している。上人像は平成23年の春頃の完成を予定している。

増上寺では圓光大師堂のほか今年3月には増上寺学寮を竣工。大殿の改装工事も5月に完了した。現在は、安国殿の新築工事も進められており、来年8月の竣工(予定)により、整備事業が完了する。

2009/09/03 全日仏84人、佼成会198人当選

今回の衆院選で119人を推薦した全日本仏教会(全日仏)は、30日の投票の結果、84人が当選した。党派別では自民67人推薦で35人当選、民主49人推薦で48人当選、無所属と諸派3人推薦で1人当選(みんなの党)。

加盟団体からの申請に基づいて推薦するため、小選挙区ながら同一選挙区で複数を推薦したケースもあった。北海道12区、広島1区、大分3区などでは小選挙区落選者が比例で当選している。今度の選挙は民主党への追い風があったためで、4年前の同党推薦当選者は21人から倍増した。しかも高確率だった。反対に自民党は前回56人が当選したが、逆風のため激減した。

立正佼成会は214人を推薦し、198人が当選した。党派別は明らかにしていないが、自自公政権以降、民主党に軸足を置いてきたこともあり、民主党が大多数を占めるとみられる。

創価学会を支持母体とする公明党は比例11ブロックの全得票数が805万票にとどまった。過去最高票を獲得した前回に比して約90万票減少した。過去には「比例は公明党へ」と叫んだ自民候補者がおり票の上積みができたが、今回は自民党自身が危機状態にあったため、必ずしも選挙協力がうまくいったとはいえないようだ。

創価学会・公明党は07年参院選でも800万票を割り込み776万票だった。今回の結果から比例票は頭打ちになった形だが、来年夏の参院選が一つの試金石となりそうだ。

また5月末に宗教法人幸福の科学が設立して話題を集めた幸福実現党だが、小選挙区288人、比例ブロック49人の候補者で臨んだ。しかし当選者はいなかった。比例票もトータルで45万票にとどまった。公示前に選挙からの撤退騒ぎなどもあり、今後の動向が注目される。

2009/09/10 比叡山延暦寺 渡部氏、難行「好相行」を成就

比叡山延暦寺一山本行院の渡部光臣住職(37)が難行「好相行」を先月満行し、今月11日に同寺大乗戒壇院で大乗菩薩戒を自誓受戒することになった。受戒後は戦後7人目の侍真僧として祖廟・浄土院で「十二年籠山行」に入る。

「好相行」は、比叡山に伝わる難行の一つ「十二年籠山行」に入る前に修めなければならない行法で、一仏に対して焼香・供華し仏名を唱えながら不眠不臥で五体投地を1日3千回繰り返す。これを毎日続け、仏の「好相」を感得することで満行となる。「好相」とは、梵網経には〈仏来りて摩頂し、光を見、華を見る種々の異相にして、便ち罪を滅することを得るなり〉と説かれている。

渡部住職は6月16日に「好相行」に入り、75日目の8月29日午後1時頃、「好相」を感得、これが先達によって証明された。「好相行」成就で渡部住職は11日に延暦寺東塔の戒壇院で大乗菩薩戒(十重四十八軽戒)を自誓受戒し、祖廟・浄土院で十二年間、伝教大師の真影に侍る侍真僧として籠山行に入る。

渡部住職は昭和47年6月、兵庫県生まれ。山形大学理学部地球科学科卒。会社勤めを経て平成14年4月、叡山学寮第5期生として入山し同年10月得度受戒。その後比叡山行院、叡山学寮、本山交衆の諸課程を遂業し今年4月、本行院住職に就任した。

2009/09/10 全仏婦第56回大会 国内外に支援金贈る

14aa8cd2c362f9_L1.jpg全日本仏教婦人連盟(全仏婦/大谷貴代子会長)は7日、東京・新宿の京王プラザホテルで第56回大会を開催。来賓、全仏婦会員ら130人が参集した。大会では国際支援を行う3団体へ支援金を贈呈したほか、これまでの全仏婦の活動の意義を改めて確認した。

大谷会長の挨拶では、現代社会が物質的な豊かさを得る一方で心の豊かさが失われていったとし「人間の生活は物質的な満足だけでは決して幸せにはなれない。足ることを知る時、感謝の心が生まれる」と指摘。「ささやかな行いも集まれ場大きくなり、継続されれば強くなる。御仏のお心をしっかりといただき、寛容と感謝の重いで率先して社会に接していきたい」と仏教婦人の姿勢を示した。

「写経運動」で集まった1500巻の目録が末廣久美副会長から(財)国際仏教興隆協会の安田瑛胤理事長に贈呈された。末廣副会長は「尊い事業を一緒にさせていただき本当に感謝しています」と謝意。写経は一巻につき千円が奉納され、印度山日本寺の光明施療院の無料診断の運営資金として用いられる。

恒例の「心の募金」には約16万円が寄せられた。これまでの心の募金と合わせて40万円から、20万円が早速にWFBの人道支援委員会に送られた。また阪神・淡路大震災被災地NGO協働センターに20万円が送られた。村井雅清代表は15年前の阪神淡路大震災から続く全仏婦の協力に感謝の意。またミャンマーで起きたサイクロン被害によって現在も飢餓などに苦しんでいる現地の近況を述べ、募金は「ミャンマーの〝緊急救援〟」に充当するとした。

2009/09/10 高野山カフェ 『精進料理講座』開く

14aa8ce1e1c555_L1.jpg3年目を迎えた「高野山カフェ」(共催=高野山真言宗総本山金剛峯寺・南海電鉄㈱)が1日~6日、東京・青山の「カフェハイズ」で開催され、今年も若い女性を中心に大勢が訪れた。3日には今回初の試みとして、伝統の「精進料理講座」を開講。懐石や茶道にも通じる「振れ舞い料理」の心と作法を伝授した。

同講座は、午後5時半からと7時からの2回。各回の定員80人は即座に満員となった。

講座前半は、高野山の精進料理店「中央食堂さんぼう」の女将・尾崎加洋さんと、総本山金剛峯寺の薮邦彦・宗務総長公室課長による精進料理トーク。魚や肉を一切用いず、食材は余すところなく使い切る調理法の根本には、「生かせ いのち」という密教の精神があることなどを紹介した。

旬の山菜や麦大豆ごはん、胡麻豆腐などが織り成す食膳空間は、実に健康的。加えて、僧侶が舞台で実演する配膳・食事両作法の美しさに、参加者の目は釘付けとなった。
講座終了後には、「作法一つひとつが洗練されていて、新鮮でした」(40代女性)「奥深いおもてなしの心の歴史に触れ、高野山に泊まってみたくなりました」(20代女性)といった感想が聞かれた。

写経や瞑想などの仏教体験や「高野山精進ランチ」も大好評で、「『1週間だけなんですか? 常設にしてください!』との要望も寄せられている」(豊田眞彰・高野山東京別院執事)という。同カフェは、都心・青山の初秋を彩る風物詩となった。

2009/09/17 杉や間伐材でエコ塔婆 里山の管理に一役

14ab1ff44d5402_L1.jpg日蓮宗では東京教化伝道センターと広島県教化センターで塔婆に地元の杉材や間伐材を使うことによって里山の森林を守ろうという運動を行っている。

東京の森林面積は全国で大阪府についで最も小さく、都民にとって多摩の山々は貴重な自然だ。しかし、山の手入れが行き届かず、最近多摩地区の森林荒廃が進んでいるという。洪水や土砂崩れ、花粉症など様々な問題の原因にもなりかねない。

こうした現状に対して、東京教化伝道センターでは、寺院が地元多摩地区の山を守る関わり方として「多摩産の杉塔婆」普及を提案。現在、塔婆の原料は80%が外国材。質・量・価格が安定した外国産材におされ、日本の山が荒廃する中、多摩の木材業者と連携し、塔婆に杉を使う寺院が増えている。現在多摩産の杉塔婆を使う寺院は、約60ヵ寺にまでなった。

これまで当たり前のように使ってきた白い塔婆は、海外の材木を安く仕入れ、現地の森林伐採に拍車を掛けている。多摩産の間伐材はどうか。一見、国内での木材の伐採も環境保護に反するとも見えるが、実は日本の里山の管理には、間伐による樹木育成が欠かせない。増えすぎて互いに成長を阻害する木を間伐し、山を守る木材業者を支援しようというのがエコ塔婆の狙いだ。

杉塔婆はこの間伐材を使用する。もちろん、全く杉塔婆に問題がないわけではない。外国材の塔婆に比べ、杉塔婆は赤地と白地がまざり節もある。価格も少し割高だ。しかし、檀信徒からの評判は悪くはないという。

「杉塔婆の普及を考える会」の吉田尚英氏(永寿院住職)は「檀家さんからのクレームほとんどないですし、寺院からも杉の方が軽いので扱いやすいと言われています」と語る。同会では山や塔婆制作の工場見学も企画し広く杉塔婆の普及を目指す方針だ。

一方、広島教化センターでは塔婆に間伐材を使用する運動を進めている。広島には間伐をしていない手入れの遅れた森林が6万㌶あり、塔婆の原料にすることで里山の管理に一役買っている。現在この間伐材利用の延べ本数は約3万本。利用している寺院は41ヵ寺。日蓮宗以外の寺院も1ヵ寺この運動に賛同し、広がりを見せている。

檀信徒も気持ちよく使えるエコ塔婆。お寺でできるエコ活動が徐々に浸透し始めているようだ。

2009/09/17 09年9月9日午前9時9分 9つ鐘を鳴らして九条護持アピール

14ab20153961a8_L1.jpg各地の「九条の会」や「平和の会」に所属する大阪の仏教者・宗教者らが「9」が5つ重なる09年9月9日午前9時9分に大阪市中央区の真宗大谷派難波別院(南御堂)に集い、別院の鐘を9回鳴らして憲法九条護持をアピールした。

鐘を鳴らす前に、このイベントを主催した「大阪府下宗教者九条交流会」を代表し、清史彦氏(大谷派僧侶)が「九条の会の活動は政治活動だと言われるが、私はそうではなく、お釈迦様の『殺してはならない、殺さしめてはならない』を表したのが九条で、宗教活動だと思っている」と挨拶、「九条の会」の活動の意味を強調した。

鐘は別院鐘楼の鐘を撞き、午前9時9分がきたところで、別院職員(列座)の須磨寛司氏が7回、清氏が1回、同派大阪教区が宗祖親鸞聖人750回遠忌にあたってつくったキャラクター「ブットン(仏恩)くん」が1回力を込めて撞き、九条護持の願いを響かせた。

参加したのは「天理教平和の会」「真宗大谷派・九条の会」「お題目九条の会」「キリスト者九条の会大阪」「ピースナイン」「阿倍野教会九条の会」「住吉宗教者九条の会」「大阪宗教者九条の会」の8団体に所属する宗教者や院職員ら約80人。イベント自体には全国18の寺・教会が参加し、鐘を撞いたり、平和を祈るなどした。

同交流会では今回のイベントで終わらせず、11月下旬には御堂筋を平和巡礼することも計画しているという。

2009/09/17 妙智會教団ありがとう基金 「子供のための祈りと行動の日」世界3地域で実行へ

14ab202a46cc27_L1.jpg国連総会で子ども権利条約が調印された11月20日(1989年)を「子どものための祈りと行動の日」(DPAC)とし、これを具体化するため、妙智會教団ありがとう基金(総裁=宮本丈靖会長、代表=宮本けいし理事長)は9月2・3両日、スイスのジュネーブで第2回企画委員会を開いた。GNRC(子どものための宗教者ネットワーク)のあるアフリカ、中南米・カリブ海、南アジアの3地域が行動を計画していることなどが発表された。

アフリカ地域はタンザニアで、11月20日に先立つ12日から活動を開始。GNRCメンバーや諸宗教組織、NGOなどが一体となり、学校でのフォーラムと討論・ピースキャラバン・ラジオやテレビなどによる広報・貧しい子どもたちがいるケアセンター訪問などを行う。さらに他のアフリカ諸国の宗教指導者や教育関係者らを招待する計画を明らかにした。

中南米・カリブ海地域はブラジルで当日に開催する。同地域の9カ国が参加する予定で、学校など教育機関にも協力を呼びかける。

南アジア地域はスリランカで、11月14日の公式記者会見から計画がスタートする。アジア周辺の宗教指導者も参加する予定。「祈りと瞑想を通じて子どもたちの集団的な精神的勢力を引き出すこと」を目的の一つに掲げている。また「スリランカ内戦の影響を受けた子どもたちの『癒しのイベント』」(地域コーディネーター)とも位置づけられている。

2009/09/24 大谷派宗議選 興法、過半数維持、女性議員3人に

真宗大谷派宗議会議員選挙は17日、選挙戦に突入した高田・名古屋・三重・日豊の4教区で投開票が行われ、同日深夜に結果が判明した。高田では現職だった居多徳恵氏が落選。名古屋では現職の藏多邦春氏が落選する一方、新人で女性の馬場礼子氏が当選した。これで女性議員は東京の旦保立子氏、山陽の望月慶子氏と合わせ3人になった。会派別の議席数では与党・真宗興法議員団が38議席を獲得し過半数を維持(選挙前の議席より2議席減らしたが、与党系無所属を含めると40議席を維持したとしている)。野党側はグループ恒沙が1議席減らして10議席、宗門を開く会が現有議席の9議席、無所属は3人増え8議席となった。
(24日・10月1日合併号)

2009/09/24 金剛院「葬儀」講座 直葬に魂の供養なし

14ac1d200ddeca_L1.jpg「葬儀について考えてみよう―知っているようで知らない『葬儀』」と題する講座が19日、東京・豊島区の真言宗豊山派金剛院(野々部利弘住職)で開かれ、檀信徒ら約90人が参加した。同区巣鴨の葬儀社・(株)中央セレモニーの大杉実生社長が講演し、多様化する葬儀の現状や注意すべきポイントについて解説した。

大杉氏は葬儀を、「故人を供養し、浄土へ旅立たせることを目的とする」儀式と定義。その上で葬儀・告別式をせずに火葬のみを行う「直葬」について言及し、「肉体の処理はできていても、魂が供養されていないので浄土へ旅立てない」と問題点を指摘した。

一切の宗教性を廃した「直葬」を選んだことを、後悔する遺族がいることも明かし、「お別れをきっちり行うこと」が「残された人の魂の清めになる」と話した。

「直葬」とともに増加傾向にある「家族葬」については、「参列者に気を遣わず、故人とのお別れに意識を集中できる」一方、「後日、多くの人が自宅にお線香をあげに来る」など、来客対応に追われることになると説明。経済的負担も大きくなることから、「〝安くしたいから家族葬にする〟というのは逆。たくさんの方に参列してもらった方が、香典収入があるので経済的負担は少なくなる」と述べた。

注意すべき葬儀社の宣伝文句も紹介。「15万で葬儀できます」などという宣伝については、「できるわけない。あんまり安い金額を言う葬儀社には注意してください」と喚起。「感動の葬儀」を謳う葬儀社に対しては、「葬儀は感動させるためのイベントではない。厳粛な旅立ちの儀式です。結果的に感動するのはいいですが、演出してはいけません」と、葬儀本来の宗教性を強調した。
(24日・10月1日合併号)

2009/09/24 ASIRA 放置自転車をカンボシアへ600台、ブータンへ400台贈る

14ac1d34e99564_L1.jpg全真言国際救援機構(ASIRA、水谷栄寛理事長)では、川崎市(阿部孝夫市長)の協力を得て放置自転車1000台をもらいうけ、7月から9月にかけてASIRAが支援しているカンボジアの「一二三日本語学校」を中心に同国内に600台と、GNH(国民総幸福量)による国造りをすすめているブータン王国に400台を贈呈した。

8月末から9月初旬にかけてブータンのジグミ・ティンレイ首相が来日した折りには、水谷理事長が直接目録を手渡した。首相は笑顔による国づくりを目指していることを述べて、自転車寄贈を感謝した。「ブータンは山岳地帯にありアップダウンはあるものの、首相は大変喜んでいた。まず公務員の方にさしあげるとのことでした」(水谷理事長)。

ブータンの場合、輸送費が課題だったが、ASIRA会計スタッフの鹿野融完氏(徳恩寺住職)が負担を申し出たことにより実現した。

カンボジアも駐日大使らが感謝の言葉をASIRAに伝えた。水谷理事長は「今後はスリランカやタイにも贈りたい」と意気込みを見せた。
(写真/カンボジアに贈られた自転車を手にした子ども)
(24日・10月1日合併号)

2009/10/08 スマトラ沖地震 佼成会200万円を緊急支援、SVAもスタッフを派遣

9月30日にインドネシア・スマトラ島沖で発生したマグニチュード7.6の地震被害に対して緊急支援活動が始まっている。

立正佼成会一食平和基金(委員長=沼田雄司教務局長)では、200万円の緊急支援金をおくることを決定。支援金は現地に医療チームを派遣し救援活動を行っているNPO法人AMDAを通してパダン・パリヤマン地域での医療支援に充てられる。

シャンティ国際ボランティア会(SVA、若林恭英会長)は今月6日、アジア地域ディレクターの八木沢克昌氏と緊急救援担当の薄木浩一郎氏を被災地のパダン市へ派遣した。現地協力団体の医療チームに同行、水・食料・医薬品・テントなどの緊急支援物資の配布と被災状況の調査を行う。

SVAでは、あわせて緊急支援の募金を呼びかけている。郵便振替口座は次の通り。加入者名=SVAアジア子ども基金、口座番号=00100―7―559298(通信欄に「スマトラ沖地震」て記入のこと)。

2009/10/08 ナマステ・インディア祭 東方学院が中村元カフェ

14acd8ab31d7e1_L1.jpg日本とインドの相互理解を深める文化交流イベント「ナマステ・インディア」が9月26・27日に代々木公園で行われた。インド文化を伝える100以上のブースが設置され、終日賑わいをみせた。

特設ステージでは日印のみならずアイヌ民族も加わって、古典舞踊や音楽を披露。会場内のブースにはサリーをはじめとする服飾品やアクセサリーのお店が所狭しと並び、スパイスの香りが広がるカレーのお店には長蛇の列。インドのフォーク・アートの広場では、アーティストによる像の張りぼて造りの実演も行われた。

今回で3回目の出展となる㈶東方研究会・東方学院が創立者でインド哲学研究の第一人者である中村元氏の名を冠した「中村元インド哲学カフェ」を開店。お茶を楽しむ感覚でインド文化に触れてもらおうと様々なワークショップを開催した。

曼荼羅のワークショップでは同会研究院の田中公明氏がブースに展示された色鮮やかな曼荼羅を使って、その成立や伝播についてレクチャー。また自分の名前を梵字で書いてみる「インド文字カリグラフィ」のショップも大盛況で、定員を超えるほどブース前にはたくさんの人だかり。来場者はインドの衣服クルターとパージャーマーに身を包んだ若手研究院たちの説明に熱心に耳を傾けながら、真剣な表情で梵字を書き記していた。

2009/10/08 真宗大谷派 御真影還座式 5年10カ月ぶり御影堂に

14acd8dfcf063b_L1.jpg真宗大谷派(安原晃宗務総長)では、本山御影堂(京都市下京区)の修復が完了したことで御真影(親鸞聖人木像)の還座式が9月30日午後、盛大に営まれ、阿弥陀堂に移していた御真影が5年10カ月ぶりに御影堂に戻った。10月1日からは御影堂の通常参拝も始まった。この日は1万2千人が参拝した。

御真影は御影堂修復のため2003年11月29日に阿弥陀堂へ安置。修復は昨年末に完了した。きたる11月20日には御影堂修復完了奉告法要が営まれる。

2009/10/15 教団付置研究所懇話会 自死対策で教団間の連携提案

14ad6b5124ebfb_L1.jpg各教団の研究所に所属する研究者が集う「教団付置研究所懇話会」の第8回年次大会が9日、神奈川県横浜市の孝道教団・国際仏教交流センター(岡野鄰子理事長)で開催された。各教団の自死問題への意識や取り組みが報告され、教団間のネットワークの構築も提起された。約100人が参加した。

「教義からみた自死」について各教団の発表が行われた後、シンポジウムに移った。

「自殺対策に取り組む僧侶の会」(超宗派)で活動する日蓮宗現代宗教研究所の吉田尚英氏は、「安心して悩める社会づくり」を提唱。その上で「悩む場所と時間を提供するのがお寺だと思います」と述べた。

浄土真宗本願寺派教学伝道センターの藤丸智雄氏は、「(寺で相談を)待っている状態では、人々の生の苦悩に触れることはできない。私たちは、相談が寄せられる場に出ていかなければならない」と話した。

浄土宗総合研究所の宮坂直樹氏は、自死に至るまでに複数の危機要因があることを指摘。これをふまえた上で、寺院での相談活動の際には「檀家の弁護士や会計士など、専門家の人材バンクを作り、日頃から協力を求めていく」体制が重要になるとの見解を示した。

国際仏教交流センターの岡野正純氏(孝道教団統理)は、自死問題への取り組みに加え、「うつ病」についても説明した。うつ病を発症すると、家族や友人に支えられていても「(自分は)孤独だ。死にたい」と考えてしまうと指摘。「これがうつ病の恐さです」と注意を喚起し、適切な医療と休養の必要性を強調した。

今後の自死対策としては、教団間の情報共有と活動協力が提案された。社会に対し活動の認知度を上げるとともに、行政との連携の可能性も議論された。

2009/10/15 大型バイクで大遠忌をアピール「ナナハン西遊記」

14ad6b61319f1a_L1.jpg「ナナハン西遊記」と銘打って浄土真宗本願寺派の中国地方の僧侶・門信徒ら19人が大型バイクに乗って12日午前、京都市の本山本願寺を訪れ、750回遠忌の記念法要で使うため常灯明の分灯を受けた。

事業を主催したのは安芸・山口・備後・山陰の4教区。親鸞聖人750回大遠忌を若い世代にもアピールしようと、バイクの750CC(ナナハン)に掛け、大型バイクでキャラバン隊をつくり本山の常灯明を運んでくることを企画した。

参加したのは安芸・備後教区の19人、バイク18台。バイクは750CCが1台、その他は1000CC以上の大型車。これに荷物を運ぶため車1台が並走した。一行は広島市中区の広島別院を11日午後1時に出発。途中3回休憩をとって同日午後7時半に本山到着。翌12日朝、御影堂で常灯明の分灯を受け、成川和行・中央法要事務所長から、大遠忌法要を盛り上げる意味で意義深いとの激励の言葉をもらった。

灯明はカイロの火種にし、同日午前10過ぎ、本山を出発。午後5時頃広島別院に戻った。常灯明は4教区の教務所に保管され、希望する寺院や門徒家庭に分灯されるという。

事業の企画・運営を担った安芸教区教専寺衆徒の故選義法さんは「灯を4教区で保管し他の末寺へ分けていきますが、灯が消えることがみ教えが伝わらなくなることであるような気がして、灯を絶やさない、その願いを相続していかねばといま感じております」とこれからの伝道への意欲を話した。

2009/10/15 全青協臨床仏教研 お寺の公益性シンポを開く

14ad6b74939b5e_L1.jpg㈶全国青少年教化協議会(全青協)の臨床仏教研究所主催(臨仏研)の「お寺の公益性を考えるシンポジウム2009―社会はお寺に何を求めているのか」が6日、都内のホテルで開かれ、現代人の寺院に対する意識調査の報告とともに「寺院の公共性」を巡って今後の展開を占う発表や提言が行われた。

シンポに先立ち今年2月に実施された意識調査(複数回答可)の結果を磯山正邦研究員(智山教化センター所員)が報告。調査対象は40代から60代の全国の一般男女600人(有効回収率94.3%)。<昨年1年間にお寺を訪れたか>の設問では、YESが全体平均で約77%であったが、年代が若くなるにしたがって下がり、40代では71.5%となった。<お寺を訪れた目的は?>では、お墓参りが60%超。<お寺で参加したい行事は?>では、説法を聞く会や座禅や落語・音楽会などのイベントを望む結果が出た。

磯山氏は「お寺に関心はあるが、お墓参りや観光でしか訪れない現状がある。お墓参りは寺でなく霊園でもできる。30年50年後を見据えた取り組みが必要」と指摘した。

続いて宗教学者の正木晃氏の基調講演。正木氏は「元気なお寺の作り方」として、『葬儀費用は妥当か』、『月参りをきちんと行っているか』など寺院と僧侶の基本的なあり方を点検。「目立つ事例は特殊過ぎて真似できない。宗門は平均的な人材でも可能なモデルを提示すべき。皆が少しずつ変わってこそ全体が変わる」と提案した。

基調講演後には臨仏研所員によるパネルディスカッションも行われ、寺院の公益性について多様な提案がなされた。

2009/10/22 超宗派23カ寺 自殺防止で寺院が連携

「死にたい」と悩む人の相談窓口になろうと、全国の23カ寺(超宗派)で結成したNPO法人「自殺防止ネットワーク風」(理事長=篠原鋭一・曹洞宗長寿院住職。その第1回運営検討会が19日、都内のホテルで開かれ、電話や面談で相談を受ける際の注意点などを話し合った。

千葉県成田市の自坊を〝自殺志願者駆け込み寺〟として開放し、相談活動に当たる篠原氏は、精神科医やカウンセラーなどの医療従事者の状態が限界にあると指摘。「死にたい」と悩む相談者の話を、「僧侶が根気よく聴くことが求められている。見ず知らずの住職だから本音が言える」と話した。

その上で、電話・面談を問わず相談の最後には、「今度いつ会える?」「明日の8時に電話ちょうだい」などと「次へつなぐ」ことが重要だと強調。「(相談者を)丸ごと受け止めて、聴いて聴いて…」と繰り返した。

自殺への偏見や自責の念に苦しむ遺族も多い。こうした苦悩に対し、精神の病が原因で自殺した檀家の四十九日法要で「『自殺じゃありません。病死ですよ』と法話した」例が報告された。篠原氏は、「遺族との関わりを持ち続けること」の大切さに言及した。その他、「寺族が電話を受けた場合の対応」「医療機関へのつなぎ方」等が話し合われた。

篠原氏は、「各都道府県に相談窓口を最低2カ寺、つくりたい」と抱負を語り、着実に活動していく方針を明示した。
運営検討会に先立ち、福井県の東尋坊で自殺防止活動を行っている茂幸雄氏が講演。岩場に立った人を思いとどまらせ、人生の再出発につなげる活動を紹介した。

特に、自殺念慮者への付き添い支援を説明。①借金苦→破産手続きや生活保護申請に同行②職場のパワハラや学校のいじめ→職場の上層部や学校側に直談判―などの活動について述べ、「(自殺未遂者に)お説教や叱咤激励はいらない。共に歩いてくれる人が欲しいんですよ」と話した。

2009/10/22 横浜で日中韓交流会議 「黄金の絆深める」

14ae00adbc6461_L1.jpg第12回日本・中国・韓国仏教友好交流会議日本本大会が17・18の両日、「仏教が果たすべき社会的役割」をテーマに横浜市の立正佼成会横浜普門館で開催された。中国とも100人を超える代表団が来日し、日本側を合わせ500人が参加。故趙樸初中国仏教協会が提唱した「日中韓3国仏教界に黄金の絆を構築しよう」の精神を踏まえ、世界平和祈願法要や講演会などを通じて黄金の絆を深めた。日本側の主宰団体は日中韓国際仏教交流協議会(理事長=小林隆彰延暦寺長臈)。

18日午前、釈尊像のもとで世界平和祈願法要を日本・中国・韓国の順で執行。それぞれの法式と言語で特色ある祈りが捧げられた。日本の導師は持田日勇・日蓮宗藻原寺貫首(協議会常任理事)。表白文では「我ら世界の民族と祈りをもって親交を深め、平和に寄与すると共に勇気を涵養して、自ら行うべきことを行い、他のためになさねばならぬことを成し、自利利他の精進を誓う」と宣言した。

韓国の法要では智冠・曹渓宗宗務院長がメッセージを読み上げた。その中で開催地の横浜が第2次大戦の空襲で市街地が廃墟になったことに言及し、「有情無情が廃墟の苦痛を耐えぬいて平和に我らを迎えた横浜で、正法の相続者である仏法の同行者らが集い無諍の人類平和を祈願しています」と述べた。

午後からは会場を講堂に移し「仏教が果たすべき社会的役割」をテーマに講演会が開かれた。大会は最後に共同宣言文が読み上げられ、3国の代表がそれに調印。日本からは小林理事長が臨んだ。宣言文では、三国仏教界が「心の先導者たらんことを誓う」と表明している。

2009/10/22 醍醐寺 聖宝理源大師1100年遠忌大法要

14ae00b723d91f_L1.jpg真言宗醍醐派総本山醍醐寺(麻生文雄座主)は15日から17日まで3日間、京都市伏見区の同寺で聖宝理源大師1100年遠忌法要を厳修し、874年(貞観16)に醍醐寺を開いた開山大師に報恩の祈りを捧げた。

初日の開白法要は、本尊薬師如来の前に理源大師坐像を安置し、その左右に金剛・胎蔵の両界曼荼羅を掛けた国宝・金堂で執行。導師の仲田順和醍醐寺執行長(同寺塔頭・報恩院住職)は輿に乗って南門から参道を進み、金堂前で職衆32人と庭儀を営んだ後、入堂した。

金堂内陣には同派宗会議員や宗務所長、また来賓の真言宗長者・阿部龍文智積院化主や松長有慶金剛峯寺座主ら真言宗各山の山主が随喜。さらに外陣と堂前広場には招待者ら約1500人が参列した。

仲田執行長は表白で、開山大師が東大寺で受戒後、学を究め、山岳修行で恵印法流を開示したことを述べた上、「なかんずく道場を我山に開創するや、延喜の帝の御叡信に応え、観音・薬師・五大力の祈りを育み“実修実証”の誓願明らかにす」と功績を称え、「末資後葉、念を込め、真摯に祈り、報恩の行を為さんと欲す」と誓った。

この日午後は上醍醐開山堂でも法要。開山堂での法要は3日間4座執り行われた。金堂では2日目に伊東真乗開祖が醍醐寺で修行したことで法縁の深い真如苑(伊藤真聰苑主、総本部・東京都立川市)が、3日目には同じく岡野聖憲会祖が修行し法縁の深い解脱会(岡野聖法法主、本部・東京都新宿区)と東大寺が法要を執り行った。なかでも真如苑の法要は約5000人の信徒が参列する盛大なものとなった。

3日目の17日午前には不動堂前の護摩道場で柴燈護摩供を修法。塔頭理性院住職の壁瀬宥雅執行が大祇師を務め、醍醐寺が法流を伝える当山派修験道の教師300人が出仕した。田村照晃執行が願文を読み上げたのち護摩壇に点火され、錫杖を振り鳴らしながら般若心経や真言を唱え、仏法興隆・所願成就などを祈願した。

2009/10/29 本願寺派宗会 橘総長が所信表明

浄土真宗本願寺派の第292回定期宗会(桑羽隆慈議長)が27日午前、京都市の宗務所で始まり、8月に就任した橘正信総長が初の宗会に臨んだ。橘総長は基本的な執務姿勢を「伝えよう、お念仏の喜びを」とし、「宗門を構成する僧侶、寺族、門信徒の一人ひとりが自信教人信を体して教化に励み、お念仏のみ教えに導かれ、のびのびと、広々とした心安らかなる生き方をされる仲間が集う、心温まる宗門となるよう目指すものであります」と目指す方向を示した。

2009/10/29 日蓮宗 京都でシンポ スウェアラー博士が現代の危機を分析

14ae944b7a9be8_L1.jpg日蓮宗(小松浄慎宗務総長)は26日・27日の両日、いのちのシンポジウムを京都府内で開催。26日は京都市上京区の本山立本寺で米国・ハーバード大学世界宗教研究所からドナルド・スウェラー博士(同研究所所長)を招き、シンポジウム「21世紀仏教―危機と挑戦」が行われた。

東洋仏教研究の権威で知られるスウェラー博士は、日蓮聖人が法華経を神聖な仏典として引用するだけでなく、「諸法の実相を表している仏典としても捉えている」と指摘。

その上で、立正安国論を奏進した13世紀と比べ、現代の危機は想定し難いものがあると分析し、現在直面している世界的危機を①環境の持続性②消費社会の貪りの経済③バイオテクノロジーと人類の関係の3つに整理。原点回帰とともに現代にあわせた実践が必要だと説いた。

これらの解決のためには、「政治家や経済学者、科学者や技術専門家だけでなく、宗教的精神的な考え方を以って人間環境を理解し、繁栄のための生態系を築き上げることが必要」と語った。

シンポでは、武見敬三氏(日本国際交流センター)が個人とコミュテニィを機軸にする「人間の安全保障」を説き、これを推進するには教育や宗教の役割が重要だと提示。

岡田真美子氏(兵庫県立大学教授)が「国家や政策だけでは危機に対応できない。個人の生き方に深く関わる内的価値基準を見直す時期にある。この点では仏教には分がある」と仏教に可能性を見出す議論が展開された。

2009/10/29 浄土宗 共生・地域文化大賞 大賞はホームレス支援団体へ

14ae94600d2810_L1.jpg浄土宗(里見法雄宗務総長)は26日、第3回「共生(ともいき)・地域文化大賞」の二次選考会を行い、ホームレスの自立を支援する「北九州ホームレス支援機構」(奥田知志理事長)に大賞を贈ることを発表。各賞発表を知恩院御影堂で行い、同機構へ坪井俊映門主から賞状と活動奨励金150万円が贈られた。

大賞を受賞した「北九州ホームレス支援機構」には賞状の他、活動奨励金150万円が坪井門主から贈られ、坪井門主は「これを機に今後益々ご活躍をされ地域の共生が全国、全世界へ広がることを念願いたします」と期待を寄せた。

同支援機構(北九州市)は88年12月に設立。北九州・福岡・山口に106室を有する施設をもちボランティア80人とホームレスの自立を支援。活動は今年で21年目を迎え、これまでに770人の自立を支援し自立率は94%という実績をもつ。

奥田理事長は「ホームレスの人達は社会的排除の対象でした。今日大きな賞をいただけたことはちゃんと見て下さっている方がいたんだということ。これは北九州に戻って、また全国のホームレスの団体に伝えたい」と受賞の喜びを話した。

2009/11/05 立正大学 次期学長に山崎和海氏

立正大学は、任期満了に伴う学長選挙で10月25日に選挙集会を開催し、経営学部教授の山崎和海氏を第31代学長に選任した。山崎新学長は平成22年4月から25年3月31日までの3年間の任期を務める。

同大学長選は山崎氏と仏教学部から北川前肇氏、三友健容氏の3人が立候補していたが、決戦投票の末、山崎氏が選任された。

山崎氏は1947年生まれ。東京出身。62歳。都立戸山高校卒。早稲田大学理工学部卒。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。1982年に立正大学経営学部専任講師へ。米国ヒューストン大学客員研究員を経て、1990年立正大学経営学部教授。2002年に立正大学経営学部長。現在は立正大学副学長・同大学園常任理事。専門領域は経営情報論、情報システム学など。著作には『情報化戦略とシステムパラダイム』(中央経済者)、『戦略経営への新たなる挑戦』(森山書店)などがある。

2009/11/05 清林寺さんがの会「講演の夕べ」 琵琶で仏心伝える

清林寺さんがの会(代表=難波光定住職・東京都文京区)主催第23回「講演の夕べ」が10月30日、東京・有楽町のよみうりホールで開催された。箱根・阿弥陀寺の水野賢世住職が情感をこめて琵琶を奏で、作家の立松和平氏が「私の会った仏さま」と題して講演した。

鋭く響く琵琶の音と練達の撥さばき。水野住職は『万葉集』『新古今和歌集』の名歌や「君が代」などを謡い上げると、「琵琶と言えば平家物語。平家物語と言えば祇園精舎」として、聴衆を源平合戦の世界にいざなった。歴戦の猛将・熊谷直実が、わずか16歳の公達・平敦盛を討ち取る愁嘆場を切々と語り終えると、その至芸に万雷の拍手がわき起こった。

一方、立松氏は、北海道・知床にある開拓村の話を紹介した。熊と共生する自然豊かな村に、立松氏は15年前、村人らと毘沙門堂を建立。さらに様々な縁が重なり、聖徳太子堂と観音堂が建てられ、今では初詣客まで来るようになった。毎夏の毘沙門祭は村を挙げての大祭となり、各地から著名人も多く訪れている。

こうした活況について立松氏は、「みんなを敬い自然を敬うという、柔らかなスローな宗教心が集まってできた」と説明、「集まってくる人たちも菩薩です」と話した。

2009/11/05 ダライ・ラマ法王来日講演 ”若い人に希望を植え付けよう”

14af291beec81a_L1.jpgチベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王14世が先月末に来日し、11月1日に東京・墨田区の両国国技館で「『地球の未来』への対話―仏教と科学の共鳴」と題し講演した。ダライ・ラマ法王日本代表事務所主催。会場には約2500人が来場。日本の科学者4人と「地球」「環境」「生命」「心」を切り口に、地球の未来に向けて課題や可能性を探った。

ダライ・ラマ法王は「十分に希望の兆候はある。教育を通して、若い人たちに希望を植え付けることが大切。自己中心的な考え方によって我々がどういう危険を招いてきたか。平和的な方向で対立を解決する道を見つけるため、新しい考え方、心の持ち方を教えていく必要があります」と説いた。

さらに「宗教は大事ですが、それを超えた人間の思いやりというものを促進していかなければなりません。全人類に共通する幸せな心の状態をどう持つことができるか。大きな努力が必要です」とより良い地球の未来への視点を提示した。

ダライ・ラマ法王の来日は今回で13回目。3日には招聘した四国仏教連合会主催による講演会が愛媛県武道館で開催された。5日には初めて沖縄を訪問。那覇市の県立武道館で講演した。7日に帰国する予定。

2009/11/12 仏教情報センター 高岩寺で街頭相談

14afbb6c28a8d5_L1.jpg仏教情報センター(安孫子虔悦理事長)は10日、〝おばあちゃんの原宿〟として親しまれる東京・巣鴨の曹洞宗高岩寺(とげぬき地蔵)境内で「仏教街頭相談」を行った。同センターは天台、真言宗古義系、同新義系、浄土、日蓮、曹洞、臨済、浄土真宗本願寺派、真宗大谷派の9宗派の僧侶有志が仏教テレフォン相談を行っている。

年に1、2度は屋外にて相談所を開設しているが、今回は菊祭りの時期に併せて、巣鴨に相談所を設置。僧侶約15人が道行くお年寄りの相談に耳を傾けた。

相談員の僧侶によれば、悩みの多くは「自分が死んだ後のこと」や「お墓の問題」。その内容も、「継承者がいない」「子どもに迷惑をかけたくない」「どこにお墓を作ればいいか分からない」「田舎にあるお墓をどうしたらいいか」と相談者の人生模様によって様々だ。

相談員のひとり、日蓮宗経王寺の互井観章住職は「菩提寺があるのにお墓の問題で悩む、住職に相談できないという状況がある。相談してくれれば解決方法があることも多いのですが」と話す。

普段は受話器を通しての相談のため、面と向かって話すのは貴重な機会。安孫子理事長は「無理に相談がなくてもいい。お坊さんとお話しをしてみませんか、普段思っていることを話して下さい、ということ。それだけも良い」と、積極的に呼びかけていた。

仏教テレフォン相談は月曜日から金曜日の午前10時から12時、午後1時から4時まで。連絡先は(☎03―3811―7470)。

2009/11/12 天台宗総長選 阿 純孝氏が無投票当選

任期満了に伴う天台宗宗務総長選挙は5日午後4時半に立候補及び推薦の届出が締め切られ、立候補したのは東京教区圓融寺住職の阿純孝(おか・じゅんこう)氏のみとなり、この時点で阿氏の無投票当選が事実上決まった。

宗務総長選挙は濱中光礼宗務総長が12月11日に任期満了を迎えるのに伴い実施。10月19日に告示され、今月1日から5日まで立候補及び届け出が行われた。

東西交替で宗務総長を出し合う慣例に従って、東の宗政会派・新成会(清水英雄会長)が阿氏を擁立。西の道興会(高木亮享会長)、また照隅会(林光俊会長)、全国宗務所長会(菅原光中会長)の推薦を受け、阿氏が立候補した。

4年前の前回選挙と同様、今回も出馬する意向を示していた前東海教区宗務所長の村上圓竜氏(同区延命寺住職)は最終的に出馬を見送り、立候補者は阿氏一人となった。

村上氏は「阿さんとは京都でも東京でも会っていろんな話をした。私の考えを真正面から受け止めてくれた。サポートする」と不出馬の理由を話した。

次期宗務総長となることが事実上決まった阿氏は「今の時代に天台の教えを伝えるには時代に応じた方策を考えねばなりません。しかし時代に飲み込まれてもいけない。時代に迎合することなく永遠なるものの力によって教化することが大切」と抱負を述べ、重点政策に「人材育成」「教えの普及」「寺院の存続」の3点を挙げた。

阿氏の当選は選挙期日の25日に選挙会が開かれ正式決定。任期初日となる12月12日に任命式が行われ、阿内局が発足する運びだ。

阿氏は昭和12年(1937)10月東京生まれ、72歳。早稲田大学文学部東洋哲学科卒、同大学院修士課程修了。東京都仏教連合会事務局長、天台宗東京教区宗務所長、同宗全国宗務所長会会長、同宗宗議会議員などを歴任した。著書に『般若心経に学ぶ人生』(共著)『仏教四大スター』などがある。

2009/11/12 全日仏 オバマ米大統領へメッセージ

米国のオバマ大統領が今月13日に来日するが、財全日本仏教会(全日仏、豊原大成理事長)は10日、大統領来日を歓迎すると共に核兵器のない世界の実現を志向していることを評価しつつ、被爆地である広島と長崎の訪問を促す理事長メッセージを発表した。

オバマ大統領は就任後から核廃絶を唱え、4月のプラハ演説や9月の国連総会でも訴えるなどして注目を浴びた。10月に発表されたノーベル平和賞受賞の最大理由もここにある。

全日仏は9・11同時多発テロやイラク戦争開戦直前、混乱したチベット情勢、北朝鮮のミサイル発射など社会的国際的な事件や問題が生じた際に事態を憂慮するとともに平和的な解決を求める声明やメッセージを発表してきた。今回のように歓迎や共感を示したメッセージは珍しい。

オバマ大統領は「核兵器を使用したことがある唯一の国として、米国には道義的責任ある」旨を発言しており、唯一の被爆国である日本の仏教界としても核なき世界を後押していく姿勢を明確にしたといえる。

【以下、発表された理事長メッセージ】

日本の伝統仏教界唯一の総連合体である、財団法人全日本仏教会、よびWFB(世界仏教徒連盟)日本センターを代表し、このたびバラク・オバマ、アメリカ合衆国第44代大統領が来日されることを歓迎致します。

大統領は就任以来、核兵器を使用したことがある唯一の国として自国の道義的な責任を明言され、核兵器のない世界の実現を志向しておられます。こうした大統領の姿勢に共感を覚えると共に、大統領におかりましては世界平和実現のために、今後より一層具体的な行動を以てお示しいただければ幸いです。

またこの度の来日に際し、広島・長崎をぜひ訪問いただき、唯一の被爆国として平和を真摯に希求する、我が国の現在の姿をご理解賜りたく存じます。

全日本仏教会は創立以来、仏陀の尊い教えの下に、仏教文化の宣揚と世界平和進展への寄与を目的として事業を展開して参りました。今後も全ての人々が怨讐を超えて、互いの信頼と尊敬の下に幸福を享受できる世界の実現に向けて努力して参ります。 合掌

2009(平成21)年11月10日
財団法人全日本仏教会 理事長 豊原 大成

2009/11/19 大阪府仏教徒大会 徹底討論「自公政権の落日」

14b04ee34e1a39_L1.jpg大阪府仏教会(増田貞圓会長)と大阪府仏教青年会(村山博雅会長)が主催する第44回大阪府仏教徒大会が12日午後、大阪市中央区のホテルで開かれ、今年も「宗教と政治」をテーマに「徹底討論」が行われた。今年は『黒い手帖』(講談社)を上梓して創価学会から受けた被害を公にした元公明党委員長の矢野絢也氏がパネリストとして登場し、教団を批判するものに徹底した攻撃を加える創価学会の体質を告発した。

2009/11/19 曹洞宗東海管区僧侶有志 駿河療養所で落語と三味線

14b04f121172b5_L1.jpg静岡県御殿場市神山に位置する国立駿河療養所にはハンセン病回復者100人余が暮らしている。約10年前、同所での人権学習をきっかけに曹洞宗東海管区の有志僧侶らが集って発足したのが東海管区駿河親睦会(青島孝宗代表・浜松市大昌寺住職)。

同会主催で16日午後、所内講堂で落語と津軽三味線の2公演が行われた。入所者や職員、付き添い看護師、管内僧侶ら約120人が参加した。

浜松市出身で落語家の瀧川鯉昇師匠は地元ネタを枕に、さらりと古典落語に入る奥深さをみせ、「家見舞い」「味噌蔵」を熱弁。一つひとつの仕種や言葉に笑いや拍手が相次いだ。その合間には富士市慶昌院住職で津軽三味線小山流名取の磯田浩一氏が登場。定番の津軽じょんから節を時代毎に異なる演奏を演じ分けたほか、各地の民謡も披露した。

終了後、入所者を代表して畑野兼雄さん(73)が「年中行事の一つとなり、この時期になると師匠の落語を聞かせていただき、大きな声で笑わせていただいた。今年も大いに楽しませていただいた。また懐かしい三味線の音で元気をいただいた」と感謝した。

青島代表は「20年ほど前を最後に落語会が開かれていないというのがわかり、企画し5回目となります。療養所の将来を考えた場合、一般市民の人にも落語会に来ていただいて入所者との交流と相互理解が深まればと思っています」と話した。

夕刻には、富士山を望む静かな納骨堂前と地蔵尊前で静岡第一宗務所の大嶽俊明所長を導師に物故者供養を執り行った。

2009/11/19 ネットでインド学仏教学論文が検索可能に

14b04f005e4780_L1.jpg大蔵経テキストデータベース(SAT・DB)の技術責任者である永崎研宣氏(人文情報学研究所所長)はこのほど、SAT・DBとインド学仏教学論文書誌データベース(INBUDS)から「論文PDFファイル」を検索するシステムを開発した。

国立情報学研究所が提供する学術論文データベース「CiNii(サイニィ)」を活用した新技術。ウェブサイトを通して、海外からも日本の研究論文が入手しやすくなった。

永崎氏は11日、パシフィコ横浜で開かれた「CiNiiウェブAPIコンテスト」優秀作品発表会(主催=国立情報学研究所)で同システムを紹介。主催者からもその実用性を絶賛されるなど、人文学分野における仏教学界・仏教界の先見的な取り組みとして高く評価された。

永崎氏は今回の受賞について、「インド学仏教学分野の長年の努力が、このような形で表彰され、大変ありがたいと思っています」と感想。他分野でも有効利用できるため、近日中に技術情報を公開する予定だ。

研究者に限らず仏教に興味を持つ人なら誰でも、学術論文にアクセスできるようにした同システム。難解な仏典を読み解くための無二のパートナーとなりそうだ。

2009/11/26 日蓮宗宗議選 同心24、明和21 来月17日に新内局発足

日蓮宗宗会議員選挙は、選挙戦となった6選挙区で19日から投票が実施され、最終日の21日午後に投票結果が判明した。同心会が22議席、明和会が21議席。宗憲による参与会推薦(同心会2議席)を含むと最終的に同心会24議席、明和会21議席となり、いわゆる政権交代という結果が出たことになる。

選挙前の議会勢力は23(明和会)対22(同心会)と拮抗しており、今選挙も予断を許さない状況だったが、6選挙区の内、同心会が4議席、明和会が2議席との結果に終わった。

今選挙では、対立候補がいない無投票選挙区では明和会19議席、同心会18議席で無投票区では明和会が一歩リードしていたが、選挙戦となった6選挙区で同心会が情勢をひっくり返した。

選挙の結果を得て、同心会の小林順光幹事長は「責任の重さに恐縮している。驕らず、逃げずに宗門のために宗会で大いに議論していきたい」と話している。

日蓮宗では宗門運動の第1期から第2期への区切りと同時に来期の宗門運動へ向け飛躍が求められる時期でもある。御降誕800年慶讃事業のための財源確保や先般臨時宗会で可決された「辻説法跡」の隣接地の活用など議題にはことかかない。新内局は、来月17・18日の特別・臨時宗会で陣容が発表される。

2009/11/26 高幡不動尊萬燈会 「四恩に感謝」参道にもみじ灯路

14b0f232ad1db1_L1.jpg東京・日野市の真言宗智山派別格本山高幡不動尊金剛寺(川澄祐勝貫主)で22・23日の両日に萬燈会が執り行われた。浮燈明、ローソク、行燈俳句などの灯りが境内を照らし出した。

両日の夕刻からは五重塔塔院で川澄貫主を導師に万燈会法要を厳修。浮灯明100個を参詣者が手渡しで送り、仏前を荘厳した。 読経のなか、焼香をあげ、両親先祖の恩、国家の恩、社会の恩、み仏の恩に感謝の誠を捧げた。その後、五重塔前に移動し、塔婆供養を営み、有縁無縁の諸精霊をご供養した。

参詣者は浮燈明やローソクに自身の願いや名前を記し献灯。五重塔を囲む池にも浮灯明が静かに流れ、参詣者の祈りを乗せた無数の灯りが晩秋の夜を包んだ。

萬燈会にあわせて、両日午後6時からは、高幡不動尊へ向かう参道や駅前に約2千個の灯籠が飾られた。「たかはたもみじ灯路」として昼間の参道とはうって変わった光景に、道往く人も「綺麗だねぇ」と感嘆の声を上げていた。

高幡不動では現在、もみじまつりも開催中。日中は真紅、薄紅、黄色のもみじが一山を彩り、参詣者を迎える。今月末までが見頃だ。

2009/11/26 松原泰道会長偲び、自坊で南無の集い「生涯現役、臨終定年の人生」

14b0f24844fb18_L1.jpg第33回南無の集い「松原泰道先生を偲んで」(主催=南無の会)が21日、故・松原泰道会長の自坊、東京・港区三田の龍源寺本堂で開催された。172人が参集し、今年7月、世寿102歳をもって遷化した松原師と同月に亡くなった妻・静子さんを追悼。子息の松原哲明氏(同会副総務)と無着成恭氏(南無道場首管)の法話を通して、亡き夫妻の遺徳を偲んだ。

松原泰道・静子御夫妻の遺影を前に、追悼法要を厳修。数分間の黙祷の後、「何ごとも丁寧にしよう 会ったときが別れのときでもあるから 出会いを大切にしよう」と全員で読誦。生涯現役を貫き、人々を善の道に導くことに尽力した師の高恩に感謝した。

「古来稀なる歳(70歳)になりました」と挨拶した松原哲明氏は、今年、大病を患ったことを告白。「もっと深刻な顔して聞いて!」などとユーモアを交えながら療養生活を振り返った。

自身が入退院する中で、7月7日、母・静子さんが逝去。「母に喜んでもらえること」が人生の支えだったと在りし日を追憶し、父・泰道師も「私がここまで来れたのは、妻・静子のおかげでございます」と語っていたことを紹介した。

そして同月29日、父・泰道師が遷化。その3日前まで近所で説法していたことを明かし、「生涯現役」「臨終定年」を成し遂げた生涯に思いを馳せた。

生前、「私の死んだその日は地獄での説法の初日です」と語っていた泰道師。無着成恭氏は、「『遷化』というのは、お説教する場所を変えるという意味です。松原先生はもっといい場所でお説教をなさっています」と朗らかに追想し、師から「『させていただく有難さ』を教えていただいた」と述べた。

さらに南無の会の活動で培ってきた境地を俳句で発表。「秋うらら今日よりも良い明日はない」と詠じ、「松原先生を亡くし、南無の会がどうなるのか心配でしたが、皆さんがこうして集まるのを見て勇気付けられております!」と力強く話した。

2009/12/03 鎮守の森を世界の森へ

14b185d75dae86_L1.jpg宗教・宗派を超えて世界平和の実現に取り組む世界連邦日本宗教委員会(田中恆清会長)。その第31回「世界連邦平和促進全国宗教者神奈川大会」が11月28日、川崎市の真言宗智山派大本山川崎大師平間寺(藤田隆乗貫首)で開催され、仏教・神道・教派神道・キリスト教・新宗教などから183人が集まった。同寺での開催は17年ぶり。

大会テーマ「信仰者の使命と役割―地球の未来を創造する道」の下、「信仰と自然環境」をテーマに地球環境問題に寄与する宗教の智慧について鼎談が行われた。

鼎談は田中会長(石清水八幡宮宮司)を司会に、国内外で森林再生に尽力している生物学者・宮脇昭氏(横浜国立大学名誉教授)と、「地球は一個の生命体」と訴えるドキュメンタリー映画「地球交響曲」の監督・龍村仁氏の間で進行。日本人の自然観と宗教心が集約された「鎮守の森を世界の森へ」(宮脇氏)とのメッセージが打ち出された。

鼎談終了後、大会宣言文が満場一致で採択された。核兵器廃絶と世界恒久平和実現を掲げ、米オバマ大統領が唱える「核兵器なき世界」を全面的に支持。「ここに集った私たち信仰者は、核兵器廃絶と豊かな地球環境の創生を最重要課題として、不退転の心で人々に呼びかけ、世界連邦の実現、すなわち真の世界平和に向かって熱い風を起こしていくことを誓います」と宣した。

午前中には大本堂で、藤田貫首導師による「世界平和の祈り」法要を厳修。開会式では、叡南覚範・世界連邦日本仏教徒協議会会長(天台宗毘沙門堂門跡門主)を導師に、「祈りの言葉」を唱え、黙祷を捧げた。

次回大会は来年、念法眞教(稲山霊芳燈主)の総本山金剛寺(大阪市鶴見区)で開催される。

2009/12/03 日中僧侶が囲碁交流

14b185ea8247c4_L1.jpg中国浙江省杭州市の禅寺、霊隠寺の僧侶が来日して日本の僧侶と対局する「日中仏教者囲碁交流会」が11月27日、京都府宇治市の黄檗宗大本山萬福寺で行われ、双方の僧侶28人が参加した。

中国では「琴棋書画」と言われ、囲碁を打つこと(棋)は書画と並んで僧侶のたしなみ。杭州霊隠寺には中国囲碁文化センターもある。

僧侶導師の囲碁交流は霊隠寺側が中国側と囲碁交流を進めている成田勝氏(富士通杯世界囲碁選手権創始人)に依頼。今年5月に霊隠寺とお茶会を催した縁もあって萬福寺が会場提供を引き受け実現した。成田氏によれば、日中僧侶の囲碁交流は史上初だという。

中国側は霊隠寺の釈光泉管長はじめ僧侶9人を含む14人が来日。中国では知らない人はいないという王汝南八段も来日した。日本側は成田氏が関西棋院などのツテを頼りに僧侶を集め腕に自信のある浄土宗や臨済宗など年配の僧侶19人が参加した他、関西棋院の宮本直毅九段も参加した。

対局は萬福寺黄龍閣別館1階ホールに碁盤を並べて行われ、各人3局ずつ日中僧侶が熱い戦いを繰り広げた。 萬福寺の住谷卯頂庶務部長は「非常に有意義なことで喜んで引き受けました。ですが、宗門に碁をたしなむ人がおらず捜すのに往生しました。日本の禅の場合、修行に明け暮れて心のゆとりがない。昔は俳句や歌を詠んだりもしたのでしょうが。その意味で仏教文化を考えていかねばと思いました」と話していた。

交流は万福寺の他、東京・新宿の常円寺、大阪の関西棋院でも行われ、それぞれ日本側は数人の僧侶が参加した。来年は中国でとの話も出ているという。

2009/12/03 葛飾ビラ配布事件 宗教活動に影響も

14b18602d6d520_L1.jpg日本共産党の政党ビラ配布のため東京都葛飾区のマンション共有部分に立ち入ったことが住居侵入罪に問われた真宗大谷派長永寺住職・荒川庸生被告(62)の上告審判決は11月30日、最高裁判所第2小法廷(今井功裁判長)で4人の裁判官の全員一致により上告棄却が言い渡された。一審の無罪判決を破棄し、罰金5万円の有罪とした2審の東京高裁の判決が確定した。

一審の東京地裁は、「マンション内に立ち入ってするビラ配布が当然刑罰をもって禁じられている行為であるとの社会通念が未だ確立されているとはいえない」として無罪判決を出していた。

しかし、二審の東京高裁は「たとえ思想を外部に発表するための手段であっても,その手段が他人の財産権,管理権等を不当に害することは許されない」と判断。逆転有罪判決を言い渡した。

弁護団は「表現の自由は憲法上、優越的に保障されるべき」とビラ配布には「正当な理由」があり、「表現の自由を保障する憲法に違反する」と主張してきた。

同小法廷は、掲示板等で管理組合名義のチラシの投函を禁ずる注意書きがあることなどを挙げ「管理会社の管理権を侵害している」とし、ビラ配布が「住民の私生活の平穏を侵害した」と二審判決を踏襲。「本件は表現そのものではなく、手段の憲法適合性を争うもの」と弁護団の主張を退けた。

閉廷後に衆議院第1議員会館で開かれた報告集会では弁護団が「上告で主張したピザ屋や不動産などの他のチラシについては無視された。なぜ荒川さんだけが逮捕されるのか」と判決を批判。

荒川住職は「全くお粗末な判決文。これで戦いを収束させるつもりはない」と述べ、現政権がマニフェストに掲げる国際人権規約の個人通報制度に触れて「もし批准されたならば、第1号として日本の裁判の不当性を国連の場に持ち込んで戦っていく所存です」と今後の展望を語った。

2009/12/10 華頂、4年制大学設置へ

浄土宗総本山知恩院を設立母体とする華頂短期大学(中野正明学長)が平成23年(2011)4月を目途に4年制大学「京都華頂大学」(仮称)を設立すると8日午後、発表した。4年制大学開設に伴い短大は規模を縮小するが、継続して運営していく方針であることも明らかにした。

新たに開設する4年制大学はこれまで同短大が担ってきた女子教育を踏襲し女子大とする方針。「現代家政学部」「現代家政学科」(仮称)の1学部1学科を開設し、そのもとに「ライフデザインコース」「児童学コース」「人間福祉学コース」の3コースを置く。入学定員は95人、3年次編入学定員10人、収容定員400人とする方針で、校舎は浄土宗宗務庁の隣に建設中の建物(3号館)とする予定だ。

同短大(京都市東山区)で記者発表した中野学長は4年制大学設置の理由について「今日の女子の4年制志向に応えるという思いがあった」と説明。4年制大学では「人間の人生設計の中で衣・食・住それぞれの問題を考える新しい家政学の構築を目指す」と意気込みを示した。

4年制大学設置に伴って短大を廃止するわけではなく、「縮小しても普遍的に短大教育を継承していく」と、短大存続を明言した。

同短大は現行の生活・幼児教育・社会福祉の3学科に加え、来年4月に歴史文化学科を開設。しかし入学定員は現行580人から500人、収容定員1000人に縮小する。4大設置後どう縮小するかは「検討中」(中野学長)だ。

2009/12/10 青年宗教者サミット 軍事費削減へ署名活動

14b209f232b889_L1.jpg「世界の軍事費の10%を使って、国連ミレニアム開発目標達成を!」と呼びかける「全世界共通署名キャンペーン」が3日、スタートした。これを受け(財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会青年部会は同日、「軍縮と開発のための青年宗教者サミット」を、有楽町の東京国際フォーラムで開催。42団体から122人が参加し、来年9月25日までに、世界の青年宗教者と協働して5千万人分の署名を集めることを誓った。合い言葉は「ARMS DOWN!」。

同キャンペーンの実施団体は、世界各国の青年宗教者でつくる「WCRPグローバル・ユースネットワーク」。世界の軍事費約140兆円の10%を削減し、その分を極度の貧困やHIV/エイズ対策などに充てるよう、世界各地で一斉に署名活動を行う。軍縮に向けての国際世論を喚起するのがねらいだ。集められた署名は、国連事務総長、国連安保理常任理事国、各国の国家元首・国会議員に提出される。

日本国内のキャンペーン目標について、石鎚山真言宗総本山極楽寺の村上泰教教学部長は、「日本は1千万人分の署名を集めると世界に約束している」と発表した。

2009/12/10 全日仏 次期会長に河野太通氏

全日本仏教会(全日仏、豊原大成理事長)は3日、都内のホテルで理事会・評議員会・参与会を開催。来年4月から始まる第29期会長に臨済宗妙心寺派の河野太通管長の推戴を承認した。また全日仏は新公益法人制度の導入で、公益財団法人への移行を表明していたが、来年度中にも認定申請を提出することが固まった。

主な議案は次期第29期会長・副会長の推戴や常務理事等の変更、財団創立50周年事業の終結、公益財団法人への移行など。来年度の事業計画と予算大綱などについても協議した。

次期会長・副会長については推戴委員会の小松浄慎委員長(日蓮宗宗務総長)が経緯と結果を発表。会長には河野氏、副会長には福家俊明・天台寺門宗管長、大矢實圓・真言律宗管長、菅原栄光・栃木県仏教会会長(天台宗)、疋田哲寿・鳥取県仏教連合会会長(曹洞宗)。妙心寺派からの管長就任は第19期(平成2~4年)の春見文勝氏以来となる。菅原氏の副会長就任は来年11月に開かれる第41回全日本仏教徒会議栃木大会にむけたもの。

平成20年12月施行に伴う公益法人制度改革により、全日仏は税制面で現行制度と同様の優遇措置が受けられる公益財団法人への移行を表明していた。来年度の事業計画大綱の中に「本会は公益財団法人の認定を受けるため、定款、財務諸表等を新制度に適応するよう整備し、認定の申請を提出する」と規定。来年秋頃にも公益法人の公益性を判断する公益認定等委員会に書類を提出する運びだ。

~松長会長、ダボス会議へ~
また来年1月26日から31日までスイスのダボス市で開かれる世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に松長有慶会長(高野山真言宗管長)の出席が報告された。「昨年より会長あてに招請状が寄せられていた。仏教の立場から発表する予定」(国際部)。