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2004/01/01 大谷大学でアボリジニが最古の管楽器使い、踊り披露

大谷大学(小川一乗学長、京都市北区)は昨年12月12日夕、課外教育行事の一環として「アボリジニ・ソウル/5万年の伝統」と題し、日本初となるアボリジニ・ヨルング族のパフォーマンス公演を同大講堂で実施。来場した学生・市民ら500人がユーカリの木で出来た管楽器ディジュリドゥ(別名イダキ)の不思議な音色と動物の動きを模した独特の踊りを興味深く見守った。
来日したのはオーストラリア・ノーザンテリトリー・エルコ島在住のヨルング族の男性3人。3人は、褐色の肌に白い石灰の粉を塗り、赤いパンツ、鳥の羽で作った飾りを着けたいでたちで、世界最古の管楽器と言われアボリジニが1000年以上前から使用しているというディジュリドゥを奏で、トキやワニ、カンガルーなど動物の動きを真似た独特の踊りを踊って見せた。

2004/01/01 豊山派宗会特別会で正・副議長が決定

真言宗豊山派(大塚惠章宗務総長)は19日、東京・大塚の宗務所で、第108次宗会特別会を招集した。新選良30人の初顔合わせとなった今回の宗会特別会では主に議会構成が話し合われ、正、副議長が新たに選出された他、各種委員会の構成や議員の席次なども決定された。
改選後初の議会ということから宗会特別会では、まず議員全員による協議会が開催され、正副議長を選出。慣例として今回の議長は一新会の順番となることから木内一成氏(2期目、一新)が議長、榎本光司氏(3期目、興正)が副議長に就任した。

2004/01/01 庭野日鑛会長がスリランカを訪問

立正佼成会の庭野日鑛会長が先月10日から15日までスリランカを訪問し、スリランカ和平を力強く後押しした。一昨年6月、同国の4大仏教教団の法王および特使が来日した際に招請を受けていたことに応えたもので、場所を代えて約1年半ぶりの再会を果たした。短期間ながら庭野会長はそれぞれの教団や寺院まわり会見し、和平実現を期待。スリランカ側からは、支援要請が相次いだ。今回の訪問には松原通雄外務部長が同行した。

2004/01/08 曹洞宗次期管長に宮崎奕保氏が就任

曹洞宗(有田恵宗宗務総長)の管長職が今月22日、大道晃仙・大本山總持寺貫首から宮崎奕保・大本山永平寺貫首に交替する。宮崎貫首の管長就任は4年ぶり4度目。任期は同日から2年間。明治34年生まれの宮崎貫首は104歳(数え)で、前回の100歳管長を更新することになる。2月に行われる通常宗議会にあわせて管長就任式が挙行される。
曹洞宗の管長職は、高階瓏仙管長が昭和43年1月に逝去してから永平寺・總持寺の両大本山貫首が2年ごとに交替で就任。任期途中で欠けた場合には残任期間となる。宮崎貫首が22日に正式就任すれば4度目となるが、これは管長交替制が定着してからは故梅田信隆管長(總持寺)いらいとなる。
宮崎貫首は、永平寺監院を経て昭和60年(1985)2月に副貫首当選。丹羽廉芳貫首の逝去を受けて平成5年9月に第78世貫首に就任した。その後、道元禅師生誕800年記念事業をはじめ一昨年の道元禅師750回大遠忌に関する諸事業を円成に導いた。(8-15合併号)

2004/01/08 西ベンガル州政府が印日文化センターを建設

日印タゴール協会(事務局長=我妻和男・麗澤大学教授)の資金援助で、インド・西ベンガル州政府が、コルカタ(カルカッタ)市内に日印の文化交流を目的とした州立の「印日文化センター(コルカタ・ジャパンセンター)」の建設を計画している。州政府と民間の団体が共同でこのような事業を行った例は無く、現地ではセンター建設に向けて多くの注目が集まっている。センターは早ければ今年秋には完成の見込み。(8-15合併号)

2004/01/08 首相靖国参拝に抗議 本願寺派は新追悼施設に触れ

小泉首相が1日、突如靖国神社を参拝したことに対し、真宗系の教団・団体が相次いで抗議声明を出した。
真宗教団連合(理事長=不二川公勝・本願寺派総長)は同日、「『日本国憲法』の『戦争放棄・信教の自由・政教分離の原則』の精神から考えてみても一宗教法人に首相が参拝することは、先の大戦の数多くの犠牲を踏み躙る行為であり、断じて認めることはできません」とする抗議文を首相へ宛てて郵送。
本願寺派も同日、不二川総長名で抗議文を郵送。「首相の参拝は、明らかに信教の自由・政教分離の原則を謳った日本国憲法の精神に反するものであり、いかなる時期にいかなる理由であっても許されるものではありません」と述べ、「初詣」と称しての参拝を批判。その上で「恒久平和の願いが込められた憲法の精神を最も遵守すべき立場にある貴職の今回の靖国神社参拝に対して、私たちは強く抗議すると共に、今後は靖国神社参拝を中止されますよう強く要請いたします」と参拝の中止を求めた。
なお、同派は昨年の首相参拝時の抗議文で国立追悼施設建設をも要請していたが、今回はこの件には触れていない。
真宗僧侶・キリスト者有志でつくる「国立追悼施設に反対する宗教者ネットワーク」(山本浄邦事務局長)は同日、参拝の報を受けて「日本国の代表者である首相が戦死を『尊い犠牲』として賛美することは、国民に『後につづけ』というメッセージを与えることです」とした上で、「まもなく自衛隊が『新たな戦死者』をも生み出しかねない戦場イラクへと派兵されようとしている折の参拝は暴挙の中の暴挙であり、日本が今歩もうとしている〈武力による平和〉への道に深い憂慮の念をいだいております」とする抗議声明を発表した。(8-15合併号)

2004/01/22 仏教伝道文化賞を五木、嶋野の2氏が受賞

(財)仏教伝道協会(沼田智秀会長・信楽峻麿理事長)は21日、第38回仏教伝道文化として作家の五木寛之氏と、ニューヨークで禅の敷衍に努めている嶋野栄道氏(大菩薩禅堂金剛寺住職・師家)の2名が選定されたことを発表した。贈呈式は3月11日、東京・仏教伝道センタービルで行われる。
同賞は、仏教伝道文化に貢献のあった人物・団体を毎年2名(該当者がない場合は一名)を選定し顕彰するもので、A項(研究・論文・踏査など)、B項(文芸・美術・音楽など)、C項(伝道者・実践者など)の中から選定される。毎年2項が対象となるが今年はBC項だった。また仏教伝道に功績があった人物におくられる仏教功労賞は今回該当者なし。

2004/01/22 情報公開条例で鳥取県が宗教法人書類を開示

鳥取県が宗教法人から提出された書類を県の情報公開条例に基づいて昨年11月下旬、開示していたことが分かった。1995年の宗教法人法改正で、宗教法人の備付書類を所轄庁に提出することが義務化されたが、文化庁は原則非開示を通知していた。しかし鳥取県は独自の判断で行っており、他の都道府県に広がることも予想され、今後論議を呼びそうだ。

2004/01/22 本願寺派 100年ぶり御法楽献詠が復活

浄土真宗本願寺派の本山本願寺(京都市下京区)の御正忌報恩講で15日、明治以来途絶えていた「御法楽献詠」が約100年ぶりに執り行われ、和歌の宗家・冷泉家家中が応募作の中から選んだ歌10首を詠じ、祖前に献じた。
「御法楽献詠」とは聞法の喜びを和歌等に詠み祖前に献供すること。明治時代の第21代明如宗主の頃から御正忌報恩講で行われていたが、その後途絶え、近年は門徒等から応募した歌を御廟参時に献供するのみとなっていた。今回、古式の復興と参拝奨励のため復活させた。
献詠歌は、昨年が国際米(コメ)年だったことにちなみ「田畑」の兼題で募集され、集まった52首の中から広島県松岡清徹さんの歌《寺前の田に咲きそめしはすの花我すくわんと待ちに待ちます》をはじめ10首が選ばれ、献詠された。

2004/01/29 大谷大次期学長に木村宣彰氏

大谷大学(京都市北区)は1月22日、小川一乗学長の任期満了に伴い理事会(熊谷宗惠理事長)を開催、次期(第26代)学長に木村宣彰教授(60)を選任した。任期は4月1日から4年間。
同大は昨年12月学長候補者選挙を実施。選挙は木村、小川、友田孝興(元文学部長)の3氏で争われ、本命と見られていた小川学長が次に譲りたい意向を示し、木村氏が選出された。理事会がこれを承認した。
木村次期学長は1943年11月富山県生まれ。富山県城端町大谷派報土寺住職。大谷大卒、同大学院博士課程満期退学。助手、講師等を経て98年同大文学部教授に就任。同大図書館長、文学部長を歴任した。専門は仏教学・中国仏教思想史。

2004/01/29 高野山大学が通信制大学院を4月開設1科目でも履修可能な制度も

高野山大学(生井智昭学長、和歌山県高野町)は今年4月から新たに通信制大学院(文学研究科密教学専攻、定員20人)を開設。1科目でも履修できる制度(「科目等履修生制度」)も作り、大学の売り物である密教学を社会へ還元し、存在をアピールしていく考えだ。
すでに同大には密教学・仏教学を教授する大学院(修士・博士課程)があるが、通新制大学院は寺院や社会にあって職業に従事しつつも、再教育を希望する人へ学習の場を提供するのが狙い。
カリキュラムは「空海学」と「密教と文化」を柱に、実際に四国を歩く「遍路実習」や密教学の権威、同大名誉教授の松長有慶氏らが教授して弘法大師の著作を読む演習、高野町と連携し高野山の伝統を学問的に見直す「高野山学」等の科目を並べ、ニーズに応えている構え。
今回あわせて設置される「科目等履修生制度」は、それぞれの関心に合わせて1科目からでも履修できる制度。入学金はなく22歳以上なら書類審査で履修が可能となる。履修料は年間1単位当たり1万5千円(通常は1科目2単位で3万円。ただしスクーリング科目は1万円追加)と手頃。出願期間は2月23日~3月17日まで。
問い合わせは高野山大学(電話0736―56―5047)へ。

2004/01/29 全日仏新会長に藤井日光日蓮宗管長が就任

(財)全日本仏教会(全日仏、小林正道事務総長)は28日、京都市内のホテルで理事会・評議員会を開催。任期満了に伴う新役員人事(第26期)が承認された。新会長には日蓮宗の藤井日光管長(総本山身延山久遠寺法主)が就任。新理事長には浄土宗の里見達人氏(大正大学理事長)が就任し、宗教教育の推進に意欲を示した。任期は2年。また新たに長崎仏教連合会が加盟した。
主な新役員は以下の通り(敬称略)。
▽会長=藤井日光(日蓮宗管長)、副会長=安田暎胤(法相宗管長)五條順教(金峯山修験本宗管長)小松玄澄(長野県仏教会会長)山本孝圓(滋賀県仏教会会長)成田有恒(日本仏教保育協会名誉会長)▽常務理事=有田恵宗(曹洞宗)不二川公勝(本願寺派)安原晃(大谷派)小林正道(浄土宗)岩間湛正(日蓮宗)壽山良知(高野山真言宗)細川景一(妙心寺派)西郊良光(天台宗)小林照宥(智山派)大塚惠章(豊山派)大谷博通(東京都仏教連合会)森和久(学識経験者・曹洞宗)石上智康(学識経験者・本願寺)松濤弘道(学識経験者・浄土宗)

2004/02/05 立正佼成会 参院選比例区で2人推薦

立正佼成会(庭野日鑛会長)が今夏の参院選で民主党の比例区(非拘束名簿式)から2人を推薦することを決めた。
同会は昨年のある段階から、自民党や民主党はじめ各方面に相応しい推薦候補者がいないかを打診していたという。最終的に民主党は白真勲・朝鮮日報東京支社長と藤末健三・元東京大学助教授の両氏を佼成会側に紹介。これを受けて佼成会側は昨年12月、一般会員を含む教区代表者ら22人で構成する推薦委員会を開き、推薦することを固めた。
2月3日に開かれた民主党の常任幹事会で正式に比例区候補者として公認が決まった。
昨年11月の衆院総選挙に際して立正佼成会は、故庭野日敬開祖が生前、二大政党制を志向していたことを機関紙などで再提示。また自公路線を容認しない立場から、推薦候補者を選定し、自民党56人(44人当選)に対し民主党は86人(70人当選)だった。
立正佼成会のこうした判断に新日本宗教団体連合会(新宗連)を含め他教団・団体の動きが注目される。

2004/02/05 小島昭安氏自坊 永源寺が全焼

正力松太郎賞奨励賞、久留島武彦文化賞などを受賞し、青少年教育に多大な貢献を果たしてきた曹洞宗僧侶、小島昭安氏の自坊(静岡県・富士市、永源寺)が昨年12月17日未明に発生した火災により全焼。本堂、位牌道、書院、庫裏、客殿などを焼失する被害を被った。火事により小島氏がこれまでに書きためてきた口演童話の原稿や貴重な蔵書類も失われ、36年に渡り続けられてきた「子ども禅のつどい」もその存続が危ぶまれている。
永源寺側としては来年の彼岸前までに檀家総会を開催し、再建委員会の発足を含めた協議を行いたいとの方針を固めているが、「再建には早くとも3年はかかるのではないか」との見方もあり、その間の「子ども禅の集い」開催は実質的には困難な模様。再開に当たっては物心両面からの強い側面支援が求められている。

2004/02/05 WCRP世界大会 開催地発表無し

世界宗教者平和会議日本委員会(WCRP、白柳誠一理事長)は1月29日、東京・杉並区の立正佼成会法輪閣で第80回理事会・第78回評議員会を開催。平成16年度予算案や事業計画、協力事業が審議され全案が可決承認された。一方で焦点となっていた第8回世界大会に関しては今回も言及がなされず、具体案の提出にはまだ時間がかかる見通しだ。
なお、WCRP日本委員会の平成16年度予算は収支ともに1億8703万8千円。内訳は経常部が1億2304万8千円。平和開発基金予算が6399万円となっている。

2004/02/12 浄土宗 袋中上人来琉400年記念法要厳修

袋中上人が沖縄の開教を始めて400年になることを記念し、浄土宗(水谷幸正宗務総長)では地元沖縄県等との協力で袋中上人来琉400年記念イベントを企画、7日に慶讃法要と戦後60年を記念する戦没者追悼法要を那覇市の浄土宗袋中寺と松山公園で厳修した。
同法要には浄土宗の全国各教区から約3000人、地元から千数百人が参列。会場の松山公園広場は浄土宗の僧侶や檀信徒で一杯となった。
法要は阿川文正善導寺法主を導師、吉田孝導知恩院執事長、江口定信増上寺執事長、能登原賢史善導寺執事長、橋田邦俊九州教化センター長の4人を脇導師に執り行われた。導師表白では袋中上人の遺徳が称えられ、参列者全員による「袋中上人顕彰和讃」の清らかな合唱が那覇の空に響き渡った。沖縄県の各宗派寺院や浄土宗の地元三州教区沖縄組7カ寺の住職、上人ゆかりの本土寺院住職も参列。正面に袋中上人の尊像画が掲げられ、その前で法要は厳かに執り行われた。
法要後、阿川法主は挨拶で袋中上人の業績を紹介し“浄土宗海外開教の祖”としての上人の恩徳を称えた。そして上人の遺志を継承してますます念仏の輪を広げるべきことを言明、同時に沖縄戦没者を追悼した。
また袋中上人の肖像画を描いた浄土宗芸術家協会常任理事の永田英次氏に水谷総長から感謝状が贈呈された。

2004/02/12 ありがとう基金 国連登録NGOに認定

妙智會教団「ありがとう基金」(総裁=宮本丈靖会長)が、今月に開かれた国連総会で正式に国連NGOとして登録された。国連に登録されたNGOは経済社会理事会に所属しており、国連活動との関連における関心領域の広さ、専門分野での能力、知名度によって「総合協議資格」「特殊協議資格」「ロスター」の三段階に分類されている。「ありがとう基金」がNGO登録されたのは「特殊協議資格」で、国連主催の公式会議への出席や発言及び声明書提出の権利が与えられる。
「ありがとう基金」は開教40周年にあたる1990年に世界の子どもたちの命を守り、育て、健全な発達をはかるための活動を行う目的で設立。これまでに子どもたちの環境改善に向けた取り組みを展開してきた。2000年5月には、33カ国から約300名が出席して東京で「子どものための宗教者ネットワーク(GNRC)」第1回フォーラムを開催。以来、世界各地で子どものために活動する宗教者らのネットワークを作り、地域ごとに会議などを開いてきた。一昨年5月には宮本会長がGNRCを代表して国連子ども総会で演説。「倫理教育委員会」設置を提言し、教団をあげてこれを推進している。
今回の国連NGO登録によって、5月にジュネーブでに開かれるGNRC第2回フォーラムにおいては、国連との提携も一層深まりそうだ。
なお、国連経済社会理事会の国連登録NGOの「総合協議資格」には、世界自然保護基金(WWF)などと共に世界宗教者平和会議(WCRP)国際事務局が登録。妙智會(ありがとう基金)が登録された「特殊協議資格」にはアジア医師連絡協議会(AMDA)などがある。

2004/02/12 日蓮宗加行所が成満 遠寿院に退堂者1人

分裂開堂に揺れる日蓮宗加行所の成満会が、2月10日、千葉県・市川市の中山法華経寺(新井日湛貫首)と遠寿院(戸田善育住職)でそれぞれに開催された。昨年度に6人の退堂者を出し、その行方が懸念された加行所だが、今年度は中山法華経寺入行者136人全員が無事成満。単独開堂に踏み切った遠寿院も入行者6人に対し1人が退堂するに留まった。
今回成満したのは法華経寺行堂が136人(参籠8人、五行4人、四行7人、参行13人、再行31人、初行73人)。遠寿院行堂が5人(再行1人、初行4人)となっている。

2004/02/19 本願寺派定宗 男性でも坊守に、宗法を改正

浄土真宗本願寺派(不二川公勝総長)の第273回定期宗会(石上智康議長)が2月18日から26日までの9日間、京都市下京区の宗務所で開かれた。不二川内局は、住職・前住職の妻でなくとも寺族であれば坊守になれるよう改める坊守制度(宗法)改正案や北海道・東京・四州の3選挙区を分割し定数1を配分する宗会議員選挙規程改正案など議案69件を提出、議案は原案どおり可決された。新年度宗派予算総額は前年度比5・7%減の83億9千万円と決まった。
昨年11月に就任した不二川総長は初日本会議で「武野前内局の『拓く伝道』を継承発展させ『お念仏の和を拡げる』を明確に掲げて」「一人でも多くの方が真実信心に生き、お念仏を喜ぶ身となってくださるための諸方策を推進していく」と述べ、「お念仏の和を拡げる」を基本方針に掲げた。
また新年度の重要施策として▽総御堂に安置する宗祖御真影(木像)の修復(6月から2カ月間)、▽宗祖750回遠忌長期計画の集約(今秋)、▽「宗制」「宗法」「宗規」「本願寺寺法」の基本法規の調査研究と整備の推進、▽㈱サンクロレラから取得した建物を「本願寺第2庁舎」とし、新年度から勧学寮と監正局を入居させることなど宗務所施設を整備し機能を拡充させる―の4項目の実施を表明した。

2004/02/19 全青協新事務総長に斎藤昭俊氏が就任

(財)全国青少年教化協議会(全青協、有田惠宗理事長)は10日、都内で理事会を開催し、野生司祐宏氏(本願寺派)の辞職に伴い、新事務総長に大正大学名誉教授である斎藤昭俊氏(智山派)の就任を承認した。任期は野生司氏の残任期間である平成17年5月まで。
今回の人事は野生司氏が宗派人事により事務総長職を辞職したための措置。複数の候補者があった模様だが、最終的に宗教教育の専門家でもある斎藤氏に決まった。
歴代事務総長は主に真宗出向者で占められてきたが、それ以外では全青協の基礎を築いた故岩堀至道氏(新義真言宗)以来となる。
4月から始まる新年度事業としては、子どものための専用電話「チャイルドライン」を基盤にした「テルテルぼうず」(仮称)を全国的に普及させていく。同様に不登校児童やひきこもりの若者への対応なども行う。
また、読売グループとの関係性が変わる平成17年以降は、これまでの活動に加え、仏教教育および教化に関するシンクタンクとしての機能を担っていく予定で、全青協の新たな時代への幕開けとも言える。
【斎藤新事務総長略歴】
昭和5年(1930)生まれ。大正大学大学院修士課程(宗教学)修了後、インドのベナレス・ヒンドゥー大学院博士課程へ留学。専門はインド民俗宗教と宗教教育。日本仏教教育学会設立に尽力した。著書多数。自坊は栃木市の真言宗智山派寳蓮寺。

2004/02/19 世界救世教 平安郷研修センターが竣工

世界救世教の国内3聖地の1つ、平安郷(京都市右京区嵯峨広沢池)に一昨年10月以来建設が進められてきた「平安郷研修センター」が完成し2月15日、竣工式が執り行われた。同センターは、信徒の研修・宿泊施設として利用される。信徒奉仕の拠点が確立されたことで、目下着々と進んでいる平安郷の庭園建設にも大きな弾みがついた形だ。
同センターは地上2階地下1階建て。総床面積4600平方㍍で、参拝棟・研修棟・宿泊棟の3棟で構成。参拝棟は250人収容の御神前(参拝席)と拝殿、ロビー。研修棟は1階が事務室、会議室、食堂、厨房で、2階が大小の研修室に図書室。宿泊棟は1階が和室10室に茶室、浴室、2階に洋室12室などを備える。
竣工式には教主、三代教主が臨席した。渡邊哲男管長は「長年の願いの一端が叶いこれ以上の喜びはありません」「この研修センターの建設は平安郷建設の第一歩。庭園の方は第一期工事の真っ最中。皆様と共にこれからも明主様の理想実現に向かって力強く前進していきたい」と話した。

2004/02/26 アチョリ宗教者平和創設委員会が庭野平和賞受賞

庭野平和財団(庭野日鑛総裁)は、第21回の受賞者として東アフリカ・ウガンダの紛争解決に取り組む「アチョリ宗教者平和創設委員会(会長=ジョン・バプティスト・オダマ大司教)」に決定。25日、京都・東山区の立正佼成会京都普門館で行われた記者会見で正式に発表した。アフリカで活動する団体による受賞は同賞設立以来今回が初めてとなる。
今回受賞したアチョリ宗教者平和創設委員会はキリスト教、イスラム教の宗教者によって構成される諸宗教協働組織。ウガンダ北部のアチョリ地区における紛争解決や人権擁護、平和教育などの分野で活動を展開しており、国際社会に向け、正確性の高い現地報告書を作成するなど平和実現に向けての「国際世論の形成」にも成果をあげている。
なお、授賞式は5月11日に東京国際フォーラムで挙行。14日には京都でオダマ会長以下、受賞者を招いての記念シンポジウムが行われることになっている。

2004/02/26 浄土宗報恩明照会 新理事長に金田進徳氏

浄土宗報恩明照会は、白幡憲祐・前理事長の任期満了を受け、後任理事長を決定する理事会を1月13日、東京・港区の宗務庁で開催。審議の結果、元浄土宗宗議会議員の金田進徳氏が新理事長として決定した。任期は2月15日から2年となる。
報恩明照会は、教育教化事業や社会福祉事業を推進し、文化と福祉の向上を図ることを目的大正3年に設立された団体。2002年には「心といのちの相談所」と記載された表示板を門前に掲載することを呼びかけ注目を集めた。
新理事長に就任した金田氏は、報恩明照会の活動に対して「これからも広く展開していきたい」と表明。その上で「古い歴史を持つ報恩明照会の伝統を現代的に発展させ、浄土宗の発展に尽くしていきたい」と意欲を表明した。
金田氏は昭和9年生まれ、69歳。大正大学仏教学部を卒業後、全国浄土宗青年会理事長、浄土宗宗議会議員、大本山増上寺執事、同教務部長などを歴任。児童福祉の分野で厚生大臣表彰も受賞している。

2004/02/26 日本仏教鑽仰会 合祀墓「鑽仰廟」落成

(財)日本仏教鑚仰会(中山静麿理事長)が毎年夏に怨親平等の精神に基づいて開催してきた「東京お盆祭り」が平成14年に60回という節目を迎えたことから、その記念事業として埼玉県毛呂山町の第2むさしの霊園内ですすめてきた合祀墓「鑚仰廟」の落成式と祝賀会が20日、同地で営まれた。
落成法要に先立ち、理事の中山準氏(戸田葬祭場社長)が経緯を報告。鑚仰廟は引き取り手のないお骨も埋葬し供養しようというもので、さらに一般にも呼びかけていくとした。
続いて中山静麿理事長が挨拶し、初代理事長の中山理々、2代中山冨士両師の遺徳を讃えつつ、鑚仰廟が「自由な葬送」に対応したものだとした。さらに「遺族の方がお骨を持ってきて合葬して終わりというのでは意義がなくなる。遺族が毎年参拝できることなど運営を考えていきたい」と述べた。
このあと鑚仰会と縁の深い宗教法人釈迦牟尼会の西田篤玄代表(曹洞宗僧侶)を導師に法要が営まれた。都内では年間約70~80体の引き取り手のないお骨があるが、これらも納骨していく方針。

2004/03/04 智山派教区代表会閉幕 次期総長に島秀隆氏

真言宗智山派の第96次定期教区代表会が27日に閉幕した。今教代表会では平成16年度予算案や賦課金増額など24議案が上程。審議の結果、23議案が原案通り可決、1議案が一部修正後可決された。最終日には小林宗務総長の任期満了に伴う次期宗務総長選挙も行われ投票の結果、福島第一教区の島秀隆氏(廣徳院住職)が選出された。任期は今月28日から4年間となる。
なお、平成16年度歳入歳出予算は真言宗智山派が8億8千470万円(前年度比2%増)。総本山智積院は法灯料の減収が予想されることから4億4950万円(5%減)。別院真福寺も事業収入の減収から5億5860万円(約8%減)の緊縮財政となった。
島次期宗務総長は昭和29(1949)年生まれ。権中僧正。昭和46年に大正大学真言学科を卒業。その後福島第一教区双葉支所長、同教区副教区長、同和推進支部推進委員を歴任し、平成13年から福島第一教区長、平成14年から東北・北海道ブロック長をそれぞれ就めた。
就任を受け、島氏は「一票一票の重さを十二分に味わっている。それを無駄にしないように頑張っていきたい」とコメントを発表している。

2004/03/04 浄土宗 遠忌特別課金は等級割1箇7千円に

浄土宗第82次定期宗議会(稲岡康純議長)が3月2日から6日まで京都市東山区の宗務庁で開催され、宗祖法然上人800年大遠忌の特別課金を新年度から等級割1箇当たり7千円へ増額することや、水谷幸正宗務総長が昨年11月の再選で掲げた「僧侶養成」「構造改革」の施策実現のため、委員会を立ち上げる規程制定案が可決された。新年度一般会計経常部予算総額は、前年比3%増の約18億4400万円とした。800年遠忌の予算総額については水谷総長が「約31億円」と今議会で明示した。
■大遠忌事業予算
昨年12月の大遠忌中央委員会と今年1月の同小委員会で800年大遠忌の総事業計画が了承されたことを受けて水谷総長は、大遠忌予算総額を「約31億円」と執務方針で公表。15年度は等級割1箇2千円だった遠忌特別課金は5千円増額して「平成16年度以降ご正当の23年度まで7千円へと増額」する方針も示した。新年度の遠忌特別課金は等級割1箇7千円、大遠忌予算総額は5億5949万7千円と決まった。
■僧侶養成・構造改革
水谷総長は、再選に当って掲げた重要施策「僧侶養成(=教育・再研修)」と総大本山の在り方や教区編成、宗議会などに関する「構造改革」を実現するため、「教育・教化法制委員会」と「構造改革検討委員会」を立ち上げる規程制定案を提出。
委員は、前者が宗議会議員9人と総長が選任する若干人、後者は宗議会議員9人のみと両委員会とも宗議会議員を中心に構成。任期は議員在任中としていることから、現議員任期満了の平成19年秋までに報告・提言をまとめるとみられる。
両委員会の設置規程も可決された。
■予算関係
新年度一般会計経常部予算総額は18億4413万5千円。前年比約3%、額にして約5800万円の増。通常課金は均等割6千円、等級割1箇2万4400円と前年並み。宗門子弟養成資金特別課金も変更はない。
今回は15年度一般会計補正予算案も提出され、北米開教区が開教区内別院と争っている裁判の弁護士費用として支出するため、予備費から事務管理費へ1350万円を回金することも決まった。

2004/03/04 ビキニ水爆実験から50年 被爆者慰霊墓前祭

米国がビキニ環礁で行った水爆実験から50年を迎えた3月1日、被曝した「第五福竜丸」の無線長で「死の灰」を浴びて死去した久保山愛吉さん(当時40歳)の墓前祭が母港の静岡県焼津市にある曹洞宗弘徳院(松永芳信住職)で営まれた。主催は宗教者平和協議会(宗平協、鈴木徹衆理事長)。
午前9時45分の平和行進を前に焼津駅前には全国から集まった労働団体や平和団体、一般市民など2000人が参集。遺影を先頭にのぼりや横断幕、そして久保山さんが好んでいたバラの花を手にお墓のある弘徳院までの約2キロを核廃絶を訴えて行進した。仏教・キリスト教、天理教など宗平協有志も加わった。
松永住職は「昨日(2月29日)は日曜日ということもあり、例年以上のお参りがありました。関心があるようです」と被曝から50年を経て新たな広がりを見せていることを示唆した。

2004/03/11 超宗派の「平和討論」集会に100人が参加

「いま平和を求めて―いのちと宗教を問い直す」をテーマにしたシンポジウムが2日、都内で開かれた。主催したのは超宗派の宗教者有志や宗教学者からなる「討論集会『いま平和を求めて』実行委員会」(事務局・新宗連内)。基調講演なしのパネルディスカッションや小グループに分かれての討議、そして全体討議と進行。9・11以降の平和の問題が国際社会の関心事となっているが、一般論ではない、宗教者自らの宗教的背景と言語で議論された。
討論集会に参加したのは、教団の役職者から一般信徒、宗教NGOや市民団体関係者・研究機関の研究者、ジャーナリストなど多士済々。予定の80人を超える120人余が参加した。

2004/03/11 日蓮宗 第90定期宗会で修法規程改正

日蓮宗(岩間湛正宗務総長)の第90定期宗会が9日、東京・池上の宗務院に招集された。今次宗会では平成16年度予算案をはじめ、宗憲中改正案、規程中改定案など計8議案が上程された。
今回上程された議案の規程中改正案の中には、昨年来宗内で深刻化している遠寿院加行所に絡む「修法師規程中改正案」も含まれており、分裂開堂の事実関係などについても追求が行われた。今年度の日蓮宗の平成16年度経常部会計予算案は19億6739万円となっている。
なお、井村大祐・議長と鶴田龍聖・副議長が任期2年を迎えたことから、両者ともに今議会で辞表を提出。それを受けて新たに正・副議長の選挙が行われ、投票の結果、議長に明和会の上田尚正議員(京都府)、副議長に同心会の三田村宗鳳議員(大阪府)がそれぞれ就任した。

2004/03/11 大谷派 御影堂修復起工式営む

真宗大谷派(熊谷宗惠宗務総長)は3月4日午前、京都市下京区の本山・御影堂で御影堂修復工事と修復のため御影堂を覆う素屋根建設の起工式を大谷暢顕門首臨席のもと営み、今日まで御影堂を護持してきた先達に感謝の意を表した。
式には宗派役職者はじめ工事、行政、周辺住民代表者ら100人が参列。熊谷総長は、明治時代に両堂を再建した先達の苦労を語った上、「単なる営繕、単なる工事というより明治の方のご苦労を思う時、これは報恩謝徳の仏事ではないか。直接工事に携わる方々、及びそれを見守る方々、共に本日から大きな御仏事が始まったと受けとめていただきたい」と挨拶した。素屋根仮設工事は3月末から本格化し、12月に完成の予定。

2004/03/11 曹洞宗とSVAが「覚書き」調印

曹洞宗(有田恵宗宗務総長)とシャンティ国際ボランティア会(SVA、松永然道会長)は、相互が独立した団体であり、相互の領分に立ち入らないことことなどを骨格とした覚書きを8日、宗務庁内でかわした。宗門から有田総長お担当の宮川敬学教化部長などが出席し、SVAからは松永会長らが出席した。またこの席上で、イラン地震に対する活動支援金として曹洞宗からSVAに200万円が贈られた。
覚書きは8項目からなる。各項目は明らかにされていないが、骨格は「お互いそれぞれの活動に干渉をしないが、活動の内容を考慮して助成金をだすこともある」「覚書きでは、海外と国内とは分けてはいないが、海外に関してはSVA、国内は宗門のボランティア組織と、棲み分けしましょうということ」(教化部)。いわば「成熟した大人の関係」(SVA周辺)を構築しようというもの。
これまで名称等の問題から宗門とSVAの間で何度か緊張した状態があったが、この覚書きにより、それぞれの「主権」が改めて確立されることになりそうだ。

2004/03/18 大本、自民党案に反対表明 臓器移植法改正で

大本(島本邦彦本部長)は3月15日、自民党の「脳死・生命倫理及び臓器移植調査会」(宮崎秀樹会長)がまとめた本人の意思表示がなくても臓器提供を可能にする「臓器移植に関する法律」の改正案に反対する声明を発表した。
同調査会の改正案は、臓器摘出に関して「年齢を問わず本人の拒否の意思表示がなければ家族(遺族)の承諾のみで行い得る」とし、脳死判定に関しては「本人の書面による意思表示や家族の承諾を不要」と家族の承諾さえ不要とするもの。
これ対し、これまで一貫して脳死・臓器移植に反対してきた大本は「このように『脳死を一律に人の死とする』『本人の意思表示は不要』『15歳未満からの移植可能』と法律内容を抜本的に変更することは、脳死臨調答申を含めた同法成立までの論議を全く無視した暴挙であると言わざるを得ない」と抗議し、「脳死を一律に人の死としない」「本人の承諾なしに臓器摘出を行わない」「本人の承諾なしに脳死判定を行わない」の3点を要望した。

2004/03/18 WFB大会アメリカで開催へ

年内の開催が予定されていWFB(世界仏教徒連盟)大会がブータンからアメリカに開催地変更となった。先月開かれたWFB執行委員会で承認されたもので、開催も年内ではなく来年のずれ込む可能性が出てきた。
前回のマレーシア大会(2002年)で時期開催地としてブータンが内定していたが、受け入れ施設や交通の面などで開催が困難であると同国が判断して、辞退し執行委員会もこれを承認した。
代替地として台湾の仏光山(台湾)がアメリカの仏光山寺院で受け入れることを表明した。具体的な日程やテーマなどは5月か6月に開かれる執行委員会で決まる模様。青年組織である世界仏教青年連盟(WFBY)大会も同様となる。
ブータンでの開催は、なかなか訪問できるところではないため、毎回訪問団を組織し派遣してきた全日本仏教会(全日仏)からの期待が高かった。アメリカでの開催となると、1988年(第16回)のロサンゼルス以来となる。

2004/03/18 過去帳差別記載で曹洞宗が謝罪会見

長野県内の曹洞宗寺院住職が過去帳の戒名に「ビンボー」「超貧乏」と書き込みしていたことが一部報道で明らかになり、曹洞宗(有田恵宗宗務総長)は事実関係を確認し12日午後、長野市内のホテルで人権本部長である有田総長、市河雄峰次長(伝道部長)ら内局が記者会見し、「死者の宗教的人格権を著しく傷つける行為であることは明らか」(有田総長)と述べ、謝罪した。
過去帳に差別記載したのは佐久市にある龍雲寺の宮下孝海住職(56)。3月6日付け信濃毎日新聞で過去帳の写真入りで報じられた。宗門側は宮下住職を東京の宗務庁に召還し、書き込みについて質したところ、人権問題にかかわる事案であることを確認した。書き込みは1992年からこれまでに16例あり、「焼死」「生活保護」「事故」などやお布施の金額が記されていたケースもあった。
宗門としては差別戒名墓石・過去帳の改正運動をしてきたなかで、戒名や過去帳について問われてきたことから、「初心に返って過去帳や戒名のあり方の総点検の運動を開始することを約束する」(有田総長)と表明し、宗門の課題と位置づけた。

2004/03/25 豊山派布教師会がアナウンサー招き研修

真言宗豊山派東京都布教師会は9日、東京・大塚の大本山護国寺(岡本永司貫首)で恒例となっている「公開布教研修会」を開催した。研修会には、僧侶や寺族など約40人が参加。元ニッポン放送アナウンサーの村上正行氏を講師に招き「心に響く話し方」について示唆に富んだ講演が行われた。
村上氏はニッポン放送の開局と同時にNHKから移籍し定年まで勤めた経歴を持つベテラン・アナウンサー。長年の経験をもとに「人の心をつかむ話し方」の具体的なノウハウを伝授した。
村上氏は「布教の前線に立っている人たちの前では恐縮」としながらも、経験に裏付けられた独自の理論を展開。「聞く人はその人の話を聞こうとしているのだから、大勢の前でも1対1でも話し方は変わらないはず。ただ距離に応じた音量で、自然に話そうとすればよい」と語り、「そこに『偉ぶり』が出ると受け売りや難しい言葉が出てつまらなくなる」と主張。虚栄心で言葉を飾るのではなく、「自身の目線で語る」ことが重要と説いた。
また人の心に届かせるには「話す人の新鮮な気持ちが大切」とし「慣れ」が持つ悪影響を指摘。「大事なのは何を話すべきかではなく、何に触れてはいけないかを考える思いやり」だとし、相手の立場に配慮した布教姿勢を強調した。
なお、後半には薩摩琵琶奏者の田中錦煌氏が琵琶の演奏を披露。講演と合わせてこちらも好評を博していた。

2004/03/25 宗教法人情報開示問題で鳥取県が回答書提出

鳥取県が宗教法人情報を開示していたことに対し財日本宗教連盟(日宗連)が2月12日付けで再質問書を提出していたが、15日付けで回答が寄せられた。鳥取県側は、信教の自由に配慮しつつも、檀信徒数や宝物等以外の情報は開示しても問題はないとの見解を示した。日宗連は近く3度目の質問書を提出する予定。
今月上旬の鳥取県議会で片山善博知事はこの件に関して、問題があれば議論し条例改正もあり得ることを答弁したが、非開示とする姿勢は見せていない。今回の回答も知事答弁を踏襲したもので信教の自由を意識しているが、非開示方向にはない。日宗連は近く3度目の質問書を提出する運びである。

2004/03/25 写真家の関谷巌氏が光明寺で写真展

お彼岸で参拝者で賑わう横浜・久保山。その一角にある浄土宗光明寺(白幡憲佑住職)の和香会館2階で「遊行」をテーマにした「ミャンマー写真展」が17日から23日まで展観された。檀信徒やお墓参りの人などが詰めかけ、日本とは違う別世界に見入った。
写真展は、写真家の関谷巖氏が2000年10月から5回にわたるミャンマー訪問で撮りためてきた中から選りすぐった約30点を展示。ミャンマーの自然風景から仏像、庶民の生活、比丘の様子などが鮮やかに映し出されている。
関谷氏のミャンマー写真は写真集『遊行』として昨年6月刊行。展示されたミャンマーの様子と共に、奈良・東大寺の行事や霊場など日本風景がミックスされているのが特色。1冊3500円(税別)。問い合わせは、雲艸堂(℡03―3818―3811)へ。

2004/04/01 智山派 島内局が正式に発足

真言宗智山派第96次定期教区代表会で選出された島秀隆宗務総長は、5人の内局各部長と4人の責任役員をそれぞれ任命。28日、新内局役員の事例親授式が京都・東山区の総本山智積院で行われた。新内局は佐藤玲秀総務部長はじめ5部長全てが新任。また財務部長の司東和光氏については出張所長も兼務となる。
新内局の詳細は以下の通り。
▽総務部長=佐藤玲秀氏。昭和19年3月生まれ、60歳。中僧正。大正大学仏教学部卒。埼玉県狭山市大字鵜ノ木、長榮寺住職。
▽教学部長=里見秀明氏。昭和14年6月生まれ。65歳。権中僧正。大正大学仏教学部卒。長崎県佐世保市上柚木町、西光寺住職。
▽教化部長=久志卓世氏。昭和21年10月生まれ。58歳。中僧正。大正大学仏教学部卒。北海道旭川市五条通り、眞久寺住職。
▽法務部長=倉松隆観氏。昭和13年3月生まれ。66歳。権大僧正。大正大学史学科卒。栃木県安蘇郡葛生町、観照院住職。
▽財務部長兼出張所長=司東和光氏。昭和23年9月生まれ。56歳。少僧正。東北大学文学部卒。岩手県江刺市男石、興性寺住職。
▽責任役員=川澄祐勝氏(東京都日野市、金剛寺住職)、山崎武彦氏(埼玉県春日部市、光明寺住職)、益田全英氏(高知県宿毛市、延光寺住職)、板橋賢英氏(東京都江東区、持寶院住職)。

2004/04/01 全日仏 国政選挙の対応に新基準の提案

(財)全日本仏教会(里見達人理事長)は30日、東京グランドホテル(曹洞宗檀信徒会館)で理事会を開き、国政選挙における推薦基準に公明党推薦候補者には推薦状を発行しないようにする提案があり、検討することになった。早ければ今夏の参院選から適用される。また新事務総長に斎藤明聖氏(大谷派)が4月1日から就任し第26期事務総局がスタートした。

2004/04/01WCRP次回大会は06年6月に京都で

第8回WCRP(世界宗教者平和会議)大会が2年後の2006年6月、京都で開催されることが3月27日、都内で開かれた世界宗教者平和会議日本委員会(白柳誠一理事長)の理事会・評議員会で承認された。1970年、京都で第1回大会開催以後、南米をのぞく主要大陸で行われてきたが、一巡した恰好になる。具体的な日程やテーマは今後検討されていくことになる。
従来、世界大会はほぼ5年ごとに開催されてきた。本来、今年がその年だが、開催地が決まらず、1月の理事会・評議員会でも発表されなかった。水面下では、ニューヨークや韓国ソウルが候補地として挙げられていた。最有力候補とされたニューヨークが9・11以降、米国政府がイスラーム教徒の入国に慎重であることや治安面などから最終的に断念せざるを得なかったようだ。そこでWCRP発祥の地であり原点である京都への要請となった。

2004/04/08 第28回正力松太郎賞が2個人1団体に決定

(財)全国青少年教化協議会(全青協、斎藤昭俊事務総長)は第28回正力松太郎賞受賞者を3月30日に決定。4月2日に埼玉県の高野山真言宗長勝寺・岩上寛了住職、天台宗インド禅定林・サンガラトナ・法天・マナケ住職、京都のフィールドソサイエティ・森の子クラブ(久山喜久雄代表)の2個人1団体に贈ることを発表した。
授賞式は5月12日、東京都文京区の東京ドームホテルで行なわれる予定。

2004/04/08 横浜市仏教連合会が「市仏ネット」発足

横浜市仏教会「正しい仏教葬儀」普及ネットワーク(市仏ネット、会長=都築哲信・横浜市仏教会会長)は2日、神奈川県・横浜市のホテルで、市仏ネットの発会式を挙行した。市仏ネットに所属する僧侶や、葬祭業界の関係者など約50人が参加した式典では、都築会長や、横浜市仏教連合会の佐藤功岳・時局対策委員長らがそれぞれ挨拶。市仏ネットの今後の活動に向けて積極的な協力を呼びかけた。
市仏ネットは「正しい仏教葬儀」の普及を目指し、横浜市内在住の仏教徒に「的確な情報」を発信することを目的として結成された超宗派の団体。
寺院を持たない人や、菩提寺が遠隔地にある人への寺院紹介を行っている他、葬儀に際してのお布施の上限を30万円以下に設定するなど、葬祭分野での革新的な取り組みが注目を集めている。
市仏ネットの設立以前は横浜市仏教連合会の時局対策委員会が問題の対応に当たっていたが、同委員会の活動も7年を向かえ、運営体制も整ったことから正式に「市仏ネット」として発足することになった。

2004/04/08 銀座の一等地に花御堂を安置

東京・銀座の中心地、四丁目交差点のすぐそばに店を構える鳩居堂は、毎年4月2日から8日までの1週間、入り口の前に花御堂を安置している。現在は千代紙や和ものの文具なども取り扱っているが、もともとお香の専門店。仏教とは切っても切り離せない縁がある。
現社屋ができた23年前から始まった。この一週間は御堂を飾る生花やたらいの甘茶も社員が世話をする。これまで誕生仏を祀っていることに苦情が出たことはなく、むしろ喜ばれているという。通行人の5人に一人くらいが甘茶をかけて手を合わせていた。バブル期では1週間で4~5万のお賽銭が集まった。現在でも2~3万円ほどになり、その浄財は新聞社を通して寄付をしている。
このあたりは1㎡当たり約1千万円の一等地。高さ20センチほどの誕生仏は世界で最も高価な地で、花に囲まれて無言の教えを説いている。

2004/04/15 「首相の靖国参拝は違憲」福岡地裁が判決

平成13年8月13日、小泉純一郎首相が靖国神社を参拝したことは憲法の政教分離規定に違反し精神的苦痛を受けたとして真宗者や戦没者遺族が慰謝料を求めた訴訟の判決が7日、福岡地裁(亀川清長裁判長)であった。同地裁は「首相参拝は、憲法20条で禁じた宗教活動にあたる」として違憲の判断を示した。慰謝料については棄却した。
判決では、小泉首相の参拝に公用車を用い、秘書官を随行させ「内閣総理大臣」と記帳していることなどから公的参拝と見なしている。政教分離の基準となる「目的効果論」を援用、「参拝によって靖国神社を援助、助長、促進するような効果をもたらした」などとして「憲法20条第3項によって禁止されている宗教的活動に当たる」と述べている。
同地裁はまた、「裁判所が判断を回避すれば、今後も同様の行為が繰り返される可能性が高い」とし「違憲性を判断することを自らの責務」と考えて判示した、と裁判所の使命にも言及している。

2004/04/15 日蓮宗 第2次岩間内局が発足

日蓮宗(岩間湛正・宗務総長)は13日、東京・池上の宗務院で、宗務役員退任・就任認証式を行った。約1年2ヶ月という短期間となった前内局からは藤崎一明・伝道局長、三坂恵人・教務部長、小倉光雄・総務部長、久住謙是・現代宗教研究所所長の4人が退任。第2次岩間内局には新任の渡辺照敏氏をはじめ計3人が新たに入局した。新内局の任期は岩間総長の残任期間となる。
岩間総長は辞令交付後の挨拶の中で、「立教開宗750年慶讃事業」、「お題目総求通運動」などが完了し、「宗門の流れから見ると一つの区切りにきた」と発言。その上で「今年度から新しい宗門運動を策定する必要があることから体制を一新した」と再編の意図を説明し、新内局には「連絡を密にして新しい宗門作りのための全力を尽くしたい」と協力を呼びかけた。
第二次岩間内局の陣容は以下の通り(敬称略)。
▽伝道局長=栗原正震、▽総務局長=中條令紹、▽伝道部長=田端義宏、▽教務部長=中里観正、▽総務部長=垣本孝精、▽財務部長=渡辺照敏、▽宗務総長室長=遠藤文祥、▽現代宗教研究所所長=田澤元泰。

2004/04/15 不忍池弁天堂で鳥供養を厳修

東京・上野の不忍池にある天台宗寛永寺弁天堂(加藤孝忍輪番)は、敷地内の「鳥塚」前で鳥供養祭を行なった。今年は鳥インフルエンザの流行のため処分された鳥たちの冥福、大打撃を受けた業界の再生と職の安全を祈念する特別法要となり、東京食鳥組合関係者約250人が参列した。
弁天堂には「めがね之碑」「ふぐ供養碑」などさまざまな塚や碑があるが、鳥塚は昭和37年に鶏卵や鶏肉を扱う商業組合員有志によって、寛永寺の協力を得て建立された。鳥供養祭は今年で41回目。筑土秀玄・前弁天堂輪番を大導師に営まれた法要では参列者が焼香した後、食鳥組合日本橋支部の大橋順造氏が「水、空気、食物の、人間と同じ要素を必要とする同じいのち年間6億羽によって、国民に良質のたんぱく質を供給し、われわれの日常の糧としています。そのことに感謝し、慰霊碑をつくって慰霊しております。御身らの御霊よ、安らかにこの大地に眠ってください」と祭文を読み上げた。
続いて東京食鳥組合理事長の磯田孝義氏が挨拶。風評被害を減らすための活動報告をし、厳しい現状に直面している関係者を激励した。
また13日には有楽町駅前で安全をアピールするためから揚げ粉2000個を有楽町駅前で配ることが報告され、この日は200個が参詣者に配布された。

2004/04/22 中国僧招き八王子で花祭り開催

八王子市仏教協会と八王子花まつり奉賛会の共催で8日、東京・八王子のエルシィ八王子で「花まつりのつどい」が開催。今回の花祭りでは真言宗別格本山金剛院(山田一眞院主)で行われていた日中仏教文化交流会の為に来日していた、中国・蘇州市の霊岩山寺や蘇州市仏教協会の関係者らも参加し、日本側僧侶と共に法要を厳修。日中両国合同で特色ある花祭りが行われた。
今年度は小川幸造・東京芸術大学教授の監修によって新たに制作された「白象像」も公開。愛らしい白象が子ども達を中心に人気を集めていた。
また午後からは金剛院が主催し「花まつり子どものつどい」が催され、約70人の児童が参加。童心座による人形劇と併せ、如定・中国仏学院蘇州霊岩山分院教務長が法話を実施。法要と併せ、こちらも好評を博していた。(22-29合併号)

2004/04/22 全日仏 推薦候補から誓約書取得の方向へ

(財)全日本仏教会(全日仏、里見達人理事長)は16日、都内で常務理事会を開き、今夏の参院選や宗教教育、宗教法人を含む公益法人制度の見直し論など直面する課題について協議した。
3月に行われた理事会で煮詰められなかったことから今回の開催になった。とりわけ目前に迫った参院選にたいしては、昨秋の総選挙で、「比例区は公明党に」と叫ぶ候補者を全日仏が推薦するのはいかがなものか、というクレームがついた。この件に関しては、推薦を受ける候補者から誓約書をとる方向で固まった。
誓約書は全日仏の活動や趣旨を理解しているかをはかるのみで、推薦を申請する加盟団体がその責務を担うことになりそう。ただこの場合でも候補者が公明党から推薦を受けているかどうかという「政治的ことには立ち入らない」(出席者の一人)ことになりそうだ。そのため申請する加盟団体の判断が問われることになりそうだ。
教育基本法改正論議に伴う宗教教育については、里見理事長が推進することをこれまでの理事会で明言してきた。これまでは改正論が先行されてきた経緯から対処療法的に委員会を設置し、宗教教育を規定した同法第9条にしぼって議論してきた。さらに今後は憲法との関わりなど「幅広い視野で議論していく」(同)ことになった。
公益法人改革は、まずは研究会を発足させ、情報収集と勉強を積み重ねていくとした。また鳥取件の宗教法人情報開示問題については、日本宗教連盟が3月31日付けで質問書を提出したことなどが報告された。(22-29合併号)

2004/04/22 身延山久遠寺が五重塔再建に向け奉賛会設立

日蓮宗総本山の身延山久遠寺(藤井日光法主)は19日、東京・品川のホテルで身延山五重塔建立奉賛会(奉賛会)の設立総会と発願式を開催した。五重塔再建に賛同する檀信徒や僧侶ら約250人が参加した設立総会では、奉賛会の規約や人事案、勧募の方法などが検討され再建に向け具体的な方針が策定された。また、奉賛会総裁には藤井管長、会長には堀内光雄・身延山信徒総代・同参与がそれぞれ就任した。
なお五重塔再建は規模や地所、設計業者の選定を含んだ「設計準備期間(平成16年4月~平成17年3月)」、着工準備を行う「施工準備期間(平成17年4月~平成18年3月)」、実際の工事を行う「工事期間(平成18年4月~平成20年4月)」の三段階に分け、5カ年計画で実施する予定。
事業の資金計画は概算で五重塔建設が約15億円、内陣荘厳、付帯工事で約3億5千万円、奉賛会運営費用などで約1億5千万円となっており、事業総額は計20億円にのぼるものと推定される。
また、五重塔はかつて奥の院手前に立てられていたが、「本来なら本尊の前に建立される」との学術的見地も参考にし、本堂前の土地に建立されることが有力視されている。(22-29合併号)

2004/05/06 大峰山女人禁制で「開放求める会」が署名提出

修験道の聖地、大峰山山上ヶ岳(奈良県天川村)を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が6月に世界遺産に登録されるのを前に、女性問題に取り組む奈良県の市民グループなどでつくる「『大峰山女人禁制』の開放を求める会」(共同代表=大林美亀氏ら4人)が4月24日午前、修験3本山の一つ、本山修験宗総本山聖護院へ要望書と1万2千人分を超える署名を手渡し、開放を求めた。
この日は「開放を求める会」の共同代表、源淳子氏(関西大学人権問題研究室研究員)と木津謙氏(女人禁制研究者)らメンバー4人が京都市左京区の聖護院を訪れ、宮城泰年執事長(同宗宗務総長)、雲尾保喜・同宗財務部長と面会。
源氏が《(大峰山の)女性排除の歴史は、女性が入山できない事実だけの問題ではなく、そこにはすべての人々を迎え入れ、すべての人々の平安と平和の世界を希求する宗教のあり方にも背を向けていると指摘できるでしょう。『女人禁制』を維持することが女性の人権を著しく傷つけています》などと書いた開放を求める要望書を読み上げ、その要望書とこれまでに集めた1万2314人分の署名を宮城執事長へ手渡した。

2004/05/06 浄土宗総合研究所が「伝統聲明」を公演

浄土宗総合研究所(石上善應所長)は16日、東京・港区の増上寺景光殿で公開講座「伝統聲明を聞く」を開催した。祖山流、縁山流の二つの声明を聞き比べられるようなかたちで開かれたもので、会場に入りきれないほど集まった参加者は熱心に聞き入っていた。
今回は三種の曲目を祖山流、縁山流各3人づつが歌い、計36曲を録音した。譜面化に当たっては間や揺りなど歌い手の個性の出るところはなるべく平均を採り、強弱記号など表現に関する記載は一切せず簡略化、普遍化を心がけたと報告。「声明に携わっている人から見れば正確さに欠けると感じるかも知れないが、これから声明を歌ってみようとか、五線譜を見たことがないという人にもわかりやすいのではないか」と、その趣旨に理解を求めた。
会場でもできたばかりのCDセットが販売され、参加者のほとんどが購入。祖山流、縁山流各3人の声明師による演奏を、楽譜にメモを採りながら熱心に聴く姿が見られた。
なお、CDセットの詳細については浄土宗宗報5月号に発表される予定。

2004/05/06 BNNが「ジュマネット」の報告会開催

仏教NGOネットワーク(松永然道代表)は、バングラデシュのチッタゴン丘陵地帯で、土地をめぐって先住民族であるジュマの人々と政府や入植者との間で起きている紛争についての第3回研修セミナー「ジュマ・ネット報告会」を14日、都内で開催した。講師は、NGO「ジュマ・ネット」の下澤嶽氏。
対立の構図は、先住民族で仏教徒のジュマの人々と同国の多数派であるベンガル人という関係。もともと先住民族の土地にベンガル人が政府の指導のもとに移住してきたため、とりわけ80年代以降、数十人から数百人に達する虐殺が12回に及んだ。
97年12月、ジュマ側と政府の間で和平協定が調印。「拘束力がけっして強いとは言えないが、完全実施されたならばかなりの成果」という内容だが、ジュマ内にはこれに批判的な政治勢力もあり、新たな内紛を引き起こすことにもなった。これにより軍介入の口実となり、ベンガル人との対立も再燃。昨年8月にはジュマの村々が襲撃され、約400家屋が焼かれる事件が発生。老人や子どもが犠牲になり、女性10名が集団レイプにあったりした。4つの仏教寺院も放火されたり、攻撃の対象となり、仏像が破壊され、僧侶も暴力をふるわれた。
現地には、仏教僧スマナランカ師が組織するNGO「丘陵ブッダ伝道」(PBM)があり、ここが被災者の支援を行っている。下澤氏は被災者の精神的ダメージが強いことから、心のケアの必要性を指摘しながら、「仏教徒のために何か日本の仏教徒ができないか」と投げかけた。
かつては国際社会の関心が高くバングラデシュ政府に圧力を行使していたが、ジュマ内部の対立でトーンダウン。具体的な解決策としてベンガル人入植者の撤退もあるが、「ジュマの人々は誰からも見守られていないと思っている。彼らを励ますこと。同じ仏教国から訪問することで、励ましになるはず」と下澤氏は促した。
なお、BNNは昨年12月「ジュマ・ネット」を通じて農業復興支援金として150万円を寄託した。

2004/05/13 立正佼成会 開祖生誕百年に向け概要を発表

2年後の平成18年(2006)に庭野日敬開祖の生誕100年を迎える立正佼成会(庭野日鑛会長)はこのほど、その企画概要を発表。基本方針やテーマを〈一人ひとりの「一乗 おおらかに、夢 堂々。」〉とし、そのロゴマークも公表された。
基本方針は、「開祖生誕100年に当たる2006年(平成18年)を中心に、『開祖さまの顕彰』と『信仰生活』を眼目に掲げ、私たちのめざすべき本来的な信仰を再認識し、永劫に開祖さまのお徳を讃え、み教えを伝える喜びと感謝を表してまいりたいと思います」。
ここで謳われている「開祖さまの顕彰」に関する事業は、▽『開祖さまの教典』の編纂▽大聖堂改修▽記念式典▽記念参拝▽開祖記念館の設立▽ご生家復元と生誕地での人づくりプログラムの開始▽青梅地域を活用した人づくり構想の発表▽教会主体の記念事業▽その他。
他方、「信仰生活」では、▽会長先生全国布教▽布教環境の整備▽会員一人ひとりの信仰生活を促す教会づくり▽個人参画型事業▽その他。両者とも広報展開に力を入れることも盛り込まれている。

2004/05/13 東大寺第218世別当に森本公誠氏

華厳宗大本山東大寺(奈良市)では、橋本聖圓氏の華厳宗管長・東大寺別当(住職)の任期が4月末日で満了したことから、5月1日付で東大寺上院院主の森本公誠氏が就任した。任期は3年。併せて宗務所(寺務所)役員も一新された。
第218世別当となる森本氏は昭和9年生まれ。京都大学大学院博士課程修了後、エジプトのカイロ大学に留学した経験を持つ。イスラームの専門家でもある。東大寺図書館長、財務執事、執事長などを歴任した。著書に『初期イスラム時代―エジプト税制史の研究』『善財童子求道の旅』など。訳書にイブン ハルドゥーン 著『歴史序説』がある。
晋山式は今月31日(月)午前11時から大仏殿で傳燈奉告法要、正午から大仏殿裏庭で晋山披露が催される。
5月1日からの華厳宗宗務所・東大寺寺務所の新役員は次の通り(敬称略)。
▽宗務長・執事長=北河原公敬、▽庶務部長・庶務執事=筒井寛昭、▽教学部長・教学執事=狭川普文、▽財務部長・財務執事=清水公庸。

2004/05/13 平和大塔建立20年を記念し世界平和を祈願

千葉・成田市の真言宗智山派大本山成田山新勝寺(橋本照稔貫首)は5日、同寺平和大塔前で、成田山平和大塔建立20周年記念大祭「世界平和祈願大法会」を厳修した。悪天候にも関わらず、法要には約380人が参加。法要と合わせ、ビレンナンダ・駐日インド公使や成田市長ら関係者が平和の鐘を打鐘し、世界平和への思いを新たにした。
なお、平和大塔建立20周年を記念し、平和大塔霊光殿では1日から30日までの期間、「平和への祈り写真」展を開催し好評を博している他、22日には比較思想学会成田山臨時大会、6月5日には「不動明王結縁潅頂」がそれぞれ記念行事として計画されている。

2004/05/20 霊友会裁判 最高裁で大形会長側の勝訴確定

平成8年(1996)6月の久保継成氏の会長復帰宣言から端を発し、久保氏が会長職の地位確認などを求めた裁判で最高裁判所第三小法廷(濱田邦夫裁判長)は4月27日、久保氏側の上告を棄却した。これにより2年前の東京高裁判決が確定し、大形市太郎会長側が勝訴。久保氏は「霊友会会長」を名乗れないだけではなく、久保氏自身が「霊友会」という名称を使用することもできなくなった。
教団の集団合議制への移行段階だった平成8年、役職から離れていた久保継成氏が会長復帰宣言。翌平成9年、この会長職の地位確認等を求めて久保氏側が東京地裁に提訴。これに対して増永雄俊理事長(当時)側が反訴した。第一審判決(平成12年5月)では、増永氏側が訴えていた会費納入に関する損害賠償は認めなかったものの、地位確認や名称使用等で増永氏側の主張を認め久保氏側が敗訴した。続く第二審の高裁判決(平成14年五月)も第一審判決を踏襲し、久保氏側の訴えは棄却された。
今回、最高裁が上告を棄却したことで高裁判決が確定した。「霊友会の会長でないと判断された以上、『霊友会の会長』を名乗って活動することは許されないのは当然」と認定されており、久保氏は「霊友会会長」を名乗ることはできない。会名についても「全く区別し得ない名称を使用することは許されない」と名称使用を禁じている。
この間、久保氏側は宗教法人格はないものの宗教団体「霊友会」として活動してきた。そのため、久保氏側は名称について早急に対応が迫られることになる。

2004/05/20 日光山輪王寺 4百年の封印破り秘仏初開帳

栃木・日光市の天台宗日光山輪王寺(鈴木常俊門主)は4月29日~11月29日までの日程で、天海大僧正の護持仏として知られる秘仏「鎮将夜叉」の初開帳を開催。4月28日にはその開始を告げる開闢法要が、同寺護法天堂にて厳修した。法要には徳川宗家第18代当主の徳川恒孝氏(徳川記念財団理事長)をはじめ眞杉瑞夫・日光市長、大類隆男・日光観光協会長ら関係者約80人が参列。鈴木門主に代わり菅原栄光・醫王院住職(日光山輪王寺長老)が導師を務めて開闢法要を厳修し、「鎮将夜叉」が納められた三重厨子の扉が400年(推定396年)ぶりに開扉された。

2004/05/20 WCRP婦人部会がアフガン支援でバザー

(財)世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会の婦人部会(泉田佳子会長)は16日、東京カテドラル(文京区関口)で開催された第14回インターナショナルデーのチャリティーバザーに出店した。
チャリティバザーは、アフガニスタンの教育事業を支援するために計画されたもの。WCRP加盟団体や賛助会員が呼びかけに応じて日用雑貨品をはじめ衣類、食品などを提供した。東京カテドラル構内にある会館内に婦人部会のコーナーが設けられた。
会場には他のNGOも出店。そのなかを縫うように国際色豊かに民族衣装をまとった人々が次から次へと人が出入りした。婦人部会のコーナーでは、泉田会長や婦人部会のメンバー約15人がエプロン姿で入れ替わりながら接客。時おり、WCRP関係者が買い物(激励)に訪れていた。
この日のバザーの収益は約30万円。アフガンで活動するSVA(シャンティ国際ボランティア会)を通じて絵本出版事業にあてられる。

2004/05/27 本願寺派 戦争協力「消息」を失効に

浄土真宗本願寺派(不二川公勝総長)は24日、戦時中に戦争遂行・協力のため門主名で発布した「消息」などを今後用いないことや、親鸞聖人の主著である『教行信証』の一部削除の通達などを失効させた。不二川総長らが会見で明らかにし、末寺にも通知した。併せて総局見解を発表し、宗門の「戦後問題」に一定の前進を見せた。
同日付け「宗令」によると、1931(昭和6)年から終戦の1945(昭和20)年に到るまでの「先の戦争に関して発布した、消息・直諭・親示・教示・教諭・垂示などは、今後これを依用しない」というもの。大谷光真門主はじめ、総長・総務が署名している。教義弘通のために発せられる「消息」は聖教に準じ、失効するのは極めて異例。
消息と共に「『聖徳太子奉安様式』を定めた達示」「『聖教の拝読並びに引用の心得』に関する通達」も提示された。こちらは教団法制的には戦後まもなく失効したが、再確認の意味から盛り込まれた模様だ。

2004/05/27 曹洞宗 自殺テーマに浅野泰巌氏が講演

曹洞宗千葉県宗務所(篠原鋭一所長)は24日、千葉市の宗胤寺会館で講演会を開いた。テーマは「自殺について考える」。講師は自殺問題への取り組みで有名な臨済宗妙心寺派安国寺住職(愛媛)の浅野泰巌氏を招いて行われ、会場には僧侶や檀信徒ら約100人が集まった。
その中で浅野氏は、自分が自殺経験者であることを告白。それらの経験から「自殺の名において寺は変わらなければならない。仏教が生老病死の苦の解脱を説く教えなら、この苦を乗り越えなれないときにはどうなるのか」と問いかけた。日本では現在、毎年3万人以上の人たちが自殺している。1人ひとりの死の理由、死の形は違う。「あなたの死によって悲しむ人がいるということを伝えなければならない」と力説した。
また、講演に先立って篠原所長が、年間自殺者が3万人を超えていることから、「かつてのベトナム戦争で米国側は5万8千人が死亡したと言われている。今の豊かな社会といわれる中で2年間に6万人以上が自殺している」と憂いた。さらに昨年4月、千葉県内で見知らぬもの同士がネットで出会って自殺した事件にも強い危機感を表明した。

2004/05/27 日本近代仏教史研 新会長に圭室氏が就任

日本近代仏教史研究会は22日、東京・板橋の淑徳短期大学ホールで第12回大会を開催した。会員約40人が出席した全員総会では、今年2月に逝去した池田英俊会長(北海学園大学教授)に黙祷を捧げた。新会長には圭室文雄・明治大学教授を全会一致で新会長に決定した。
新会長の就任挨拶で圭室氏は「思いがけず会長になるということに面食らっている。池田先生が11年前にこの会を始められ、一生懸命されたおかげでここまでこれた。私はそこまではできないが、意志を受け継いで、少しでも発展させていきたい」と抱負を語った。
総会に先立って開かれた同大会では4人が登壇。藤森雄介氏(淑徳大学)が「大正~昭和初期における椎尾弁匡と『共生会』の動向について」、古賀克彦氏(国府台女子学院)が「宮崎圓遵の仏教史研究―没後20年を迎えて」、ミシェル・モール氏(立命館大学)が「平塚らいてうが見た近代の宗教とその価値」、西山茂氏(東洋大学)が「東北地方における創価学会系寺院の成立と展開」をテーマに、それぞれ約20分間発表した。
特別講演は圭室教授が、「明治初期の寺院明細帳にみる諸宗派の分布と実態」をテーマに行い、江戸期の寺請制度と絡めながら展開した。
なお、総会では新会長選出のほか2003年度事業報告、2004年度事業計画が承認された。第11回夏季セミナーは9月17日から3日間、高野山で行われることが確認された。
新会長の圭室氏は昭和10年生まれ。近世宗教史を専攻し、著書に『江戸幕府の宗教統制』『神仏分離』『葬式と檀家』などがある。

2004/05/27GNRC第2回フォーラムがジュネーブで開催

「ありがとう基金」(総裁=宮本丈靖・妙智會教団会長、代表=宮本けいし・同教団理事長)が主催する「子どものための宗教者ネットワーク」(GNRC)第2回フォーラムが5月17日から19日までスイス・ジュネーブのホテルを会場にして開かれた。今回は「子どもとの約束」をテーマに、これまでの歩みを踏まえ、それぞれの国や地域での行動計画などについて意見交換。2年前の国連子ども特別総会で宮本総裁が提唱した「倫理教育委員会」の設立も発表され、GNRCはまた新たな一歩を踏み出した。

2004/06/03 成寺所蔵の「日蓮曼荼羅」が真跡と判明

新潟・三条市の法華宗陣門流総本山本成寺(鈴木日艸管長)が所有する日蓮曼荼羅の一つが鑑定の結果、日蓮聖人の真跡と判明。5月28日、同寺大本堂で、その開眼法要が営まれた。開眼法要には宗内外の関係者や檀信徒ら約100人が参列し、約25年ぶりとなる真跡の発見に関係者らは喜びを露わにしていた。
真跡と判定された曼荼羅は同寺に二幅納められている内の一つ。縦112・5㌢、幅44・8㌢の掛け軸状の曼荼羅。縦29・5㌢、幅44・8㌢の楮紙を3枚継いだ縦長の紙に揮毫されたもので、日蓮聖人が佐渡に配流された文永十(1273)年の秋頃に製作されたものではないかと考えられている。

2004/06/03 「僧侶という職業」テーマに青松寺で討論会

ボーズ・ビー・アンビシャス2nd!!が29日、東京・愛宕の曹洞宗青松寺(喜美候部宗一住職)で開かれた。宗派を超えた若手僧侶などが集まる会で、今回のテーマは、「お坊さんの可能性について」。参加したのは35歳以下の僧侶または僧侶を志ざしている人、同寺で開かれている仏教ルネッサンス塾(上田紀行塾長)に参加している一般の若者。台湾からの参加者もあり、約40人が「僧侶という職業」についての悩みや疑問などを、主にワークショップ形式で話し合った。

2004/06/03 東西本願寺議員有志が教育基本法問題で集会

東西本願寺の宗会議員有志が呼び掛けて「教育基本法改悪反対宗教者集会」を5月28日、京都市中京区の京都府立総合福祉会館で開き、法改正は「国家主義形成へ道を開くもの」と反対をアピールした。
集会は、岡田満氏ら本願寺派宗会議員5人と釈氏政昭氏ら大谷派宗議会議員11人で結成した「教育基本法改悪に反対する東西本願寺宗会議員有志の会」が主催。当日は東西本願寺の僧侶らを中心とする仏教者の他、京都市内の学校教師も参加、主催者側の予想を上回る110人が集まった。
「有志の会」に参加した東西本願寺の宗会議員は次の各氏(敬称略)。
▼本願寺派=岡田満、田中郁朗、仲尾孝誠、西脇修、藤岡崇信
▼大谷派=釈氏政昭、篠田穣、森羅興正、高橋悉、寺永哲、長野淳雄、藤内和光、藤島恵、藤森教念、三浦長、森島憲秀。
なお、大谷派からは与党興法議員団の宗議会議員も多数参加していた。

2004/06/10 曹洞宗梅花流全国大会に1万4千人が参加

曹洞宗(有田恵宗宗務総長)は5月26、27日の2日間、今年度の梅花流全国奉詠大会を三重県伊勢市の「サンアリーナ」を会場に開催。全国各地から1万4千人の梅花講員が参集して登壇奉詠すると共に交流を深めた。
大会には、104歳になる曹洞宗管長・大本山永平寺の宮崎奕保禅師が元気な姿で講員に垂示を述べ、今日の梅花流の発展を歓迎した。大会長である有田総長も梅花流を通じて信仰を深まることを期待した。
晴れの登壇奉詠は2日間で゜29組。特に今年は高野山真言宗の金剛流三重地方本部より70名が最後に登壇し、金剛流の「札打和讃」を奉詠した。会場の梅花講員たちは、他流のお唱えを食い入るように見ると同時に終わると大きな拍手をおくった。これは、高祖道元禅師750回大遠忌にちなむ行事の一環として、大本山永平寺と高野山との間で、相互訪問というご縁によるもの。
今年のアトラクションは、地元三重県四日市市出身の津軽三味線の兄弟ユニット・クニケンと地元の伊勢音頭が披露された。
来年の全国大会は山口県で開催の予定。

2004/06/10 真宗大谷派 宗議会で教育基本法改正反対を決議

大谷派宗議会(藤田智賢議長)は5月31日、3会派の代表質問が行われ、興法議員団(与党)とグループ恒沙(野党)が教育基本法改正問題について質問。熊谷宗務総長は、状況次第では全日仏と違う見解をとる考えを表明した。
興法議員団の吉田法純議員はこの問題を「今後の日本の国家を方向つける大変な課題」とし、「近年の国家の歩みは国益を強調するあまり戦争のできる国へ変貌させる動き」と危機感を表明。その上で、同派宗会が非戦決議したことなどの取り組みと「全日仏の取り組みには明らかに多大の距離がある」と述べ、「宗派として全日仏にどのように対応するのか」と当局の見解を質した。
熊谷総長は「宗門内での学びと研究、議論を深め、全日本仏教会へも十分な研究、議論を引き続き要請し、その牽引役の一端を担ってまいりたい」と答弁。さらに「必要に応じて宗派独自の見解を示すことも検討する」とし、全日仏とは違う見解をとることもありうることを表明した。
また、全日仏常務理事でもある安原晃参務が全日仏への働きかけについて「4月16日の常務理事会で、改めて教育基本法改正について協議検討し、全日仏としての基本的考えを時間をかけてまとめるべきと強力に要請した。その結果常務理事会でその方向で取り組むことが確認された」と報告した。
「全日仏に加盟する宗派は改正推進派と見られている」と発言したグループ恒沙の藤島惠議員の質問に対して、安原参務は、全日仏が改正を推進する立場に立ったことに対し「私どもの教団が入った中で決められた経緯がある。単にケシカランという訳にはいかない」としながらも、「全日仏が目を覚ましこの問題に取り組んでもらいたいという願いをもってこの問題を私どもが発信していく」と、改正反対の立場で全日仏に働きかけていく考えを示した。
また、この問題では8日、宗議会に与野党の議員が共同で「教育基本法『改正』に反対する決議案」を提案。《平和憲法「改正」の道を開き、国際紛争を解決する手段として戦争をも辞さない国を支える人づくりを目指すとともに、強者の論理に立つ能力主義で人間を分断ふることを推し進めようとする教育基本法「改正」に、私たちは真宗仏教者として断固反対する》とする決議を興法議員団とグループ恒沙の賛成で可決した。
熊谷総長と参務5人は、全日仏に再検討を要請した宗派当局者としての立場を慮ってか、議場を退席し、決議には加わらなかった。

2004/06/10 日韓仏教文化交流大会が鎌倉光明寺で開催

日韓両国仏教徒の交流親善を目的に日韓・韓日仏教交流大会が9日、神奈川・鎌倉の浄土宗大本山光明寺で開催された。25回目を迎える今大会では日韓仏教交流協議会(会長=宮林昭彦・光明寺法主)、韓日仏教文化交流協議会(会長=金法長・曹渓宗総務院長)から関係者約230人が参加。平和祈念法要や基調講演など通じて文化交流を行った。
大会ではまず宮林会長と金会長がそれぞれ表百文を奏上。その後、金会長の発生による般若心経の一斉奉読と、宮林会長導師による「世界平和」祈願法要が行われた。
午後からの講演では鷲見定信・大正大学助教授と、韓晋光・東国大学仏教大学院院長がそれぞれ「祈りと救い」をテーマに講演。続いて両国協議会の事務総長が大会宣言を採択し日韓両国の連帯と友好関係が改めて確認された。
なお。前日には神奈川・磯子の横浜プリンスホテルで歓迎のレセプションも挙行。両国の代表が挨拶し親交が深められた。

2004/06/17 日蓮宗 横田夫妻招き北朝鮮問題の学習会

日蓮宗人権擁護委員会(植坂行雄委員長)は7日、東京・池上の日蓮宗宗務院で人権研修会を開催した。研修会には僧侶や檀信徒ら約200人が参加。北朝鮮拉致被害者の家族会会長を務める横田滋さんと妻の早紀江さんが講師をつとめ、未だ報道されていない拉致問題の真実について語った。
研修会ではまず、横田滋さんが講演。娘のめぐみさん(当時中学1年生)失踪にいたる経緯とその後の政府の対応などについて詳細な報告を行った。

2004/06/17 東京都仏教連合会 成道会は12月10日に

東京都仏教連合会(岡本永司会長、大谷博通理事長)は10日、東京・築地本願寺で今年度の総会を開き、数年来力を注いでいる12月の成道会の集いをさらに啓発していくことを承認した。
今年の成道会は12月10日(金)。各地区仏教会代表出仕による法要の後の講演会講師は、芥川賞作家の玄侑宗久氏(福島・臨済宗妙心寺派福聚寺副住職)。清興はタレントの伊那かっぺいさん。近く講演テーマが決まる。この成道会を啓発するための予算増も承認された。

2004/06/17 日韓仏教者が浄土宗祐天寺で合同慰霊法要

韓国・朝鮮人の戦争犠牲者の遺骨を安置している東京・目黒区の祐天寺(巌谷勝正住職)で10日、日韓両国の仏教徒による第二次大戦戦没者慰霊法要が厳修された。法要には第25回日韓・韓日仏教文化交流大会に参加していた韓日仏教文化交流協議会(会長=金法長・曹渓宗総務院長)と日韓仏教文化交流協議会(会長=宮林昭彦・大本山光明寺法主)の関係者ら約130人が参列。同寺に安置されている韓国・朝鮮籍の軍人軍属の遺骨に対し哀悼の誠を捧げた。
祐天寺には旧陸海軍関係者から厚生省(現厚生労働省)を経て2326柱の遺骨が預託。その後1969年の第3回日韓定期閣僚会議を経て、1971年から98年にかけ、「身元確認が可能な遺骨」及び「引き取り手となる縁故者のいる遺骨」合計1190柱が韓国に返還され、現在は1136柱が安置されている。

2004/06/24 報恩明照会がミャンマーに学校を建設

今年設立90年を迎える浄土宗の外郭団体浄土宗報恩明照会(金田進徳理事長)は18日、東京・芝公園の明照会館で理事会を開き、ミャンマーで初等教育を担っている寺子屋への支援を決定。同国中央部マンダレー市内の貧困地域であるマハアウンミェー地域に、小学校の建設と教材提供のため200万円を拠出することを決めた。
今回の事業は、同会の白幡憲佑前理事長とミャンマーとの相互理解の推進を目的に活動している。NPO法人ミャンマー総合研究所(高原友生理事長)の間に交流があったことに端を発する。浄土宗のミャンマー支援として、水谷幸正宗務総長の賛同を得て非公式に話が進められていたが、計画が具体化する前に白幡理事長が退任することになった。そのため今年2月に金田新理事長を迎えた同会が、規模を縮小して事業を引き継ぐ形となった。
校舎はレンガ造り平屋建てで、総面積114・45平方㍍。18・5平方㍍の教室4つを含む。経済的理由から初等教育を受けられない6歳以上の子ども100人前後を受け入れる計画で、今年9月に着工し、来年2月の完成を予定している。
同会は通常会計とは別に支援基金を設立、すでに集まっている500万円から、直接支援として160万円、各種手続き等を委託したミャンマー総合研究所に、維持管理費として40万円を拠出する。ミャンマー側からは他の支援団体のような大規模な支援を希望されたが同会の財源と継続的な支援ができることを考え、まずは「小さな学校」の提供で理解を得たようだ。
この事業にはアジアでも仏教のさかんな国の一つであり、親日的なミャンマーと浄土宗とのパイプづくりの役割を期待されている。自坊(捕り手市・弘教寺)でも幼稚園と保育園を経営し、ミャンマーにも数回訪れたことがあるという金田理事長は「この事業は何となく自分との関係を感じる。諸先輩方のご指導を得ながら、子ども達の教育に寄与していきたい」と抱負を語った。

2004/06/24 新宗連理事長に庭野日鑛氏が就任

(財)新日本宗教団体連合会(新宗連)は17日、大阪のPL教団で理事会・評議員会を開き、深田充啓氏(円応教教主)の理事長任期満了に伴い、新理事長に立正佼成会の庭野日鑛会長を全会一致で承認し、庭野会長が第5代理事長に就任した。任期は2年。深田氏は副理事長に就いた。
対外的な役職にほとんど就くことがなかった庭野会長が、師父である故庭野日敬開祖が27年にわたって務めた新宗連理事長に就任したことで、親子2代にわたって宗教協力の中核を担う。2年後には第8回WCRP(世界宗教者平和会議)京都大会が予定されており、新理事長としても手腕の発揮どころとなる。
一方で、今度の参院選など国政選挙への対応も迫られそうだ。かつて新宗連は参院選全国区(比例区)で統一候補を擁した時代もあったが、ここ10数年はない。またイラク戦争をはじめとする平和の問題、靖国神社および新追悼施設構想、教育基本法の見直し、さらには憲法改正なども直面する課題となりそうだ。 庭野理事長は昭和13年3月生まれ。立正大学大学院修士課程修了。平成3年(1991)11月、庭野日敬開祖から法燈継承し立正佼成会2代会長に就任。世界宗教者平和会議国際委員会会長などの要職にある。新宗連では副理事長などを務めた。

2004/06/24 曹洞宗 宗務庁第2分館隣接地を購入

曹洞宗(有田惠宗宗務総長)は22日、4日間の会期で第93回通常宗議会(加藤俊雄議長)を東京・芝の宗務庁に招集。来年3月までに移転しなければならない総合研究センターだが、有田総長は演説の中で移転先として宗務庁第2分館に隣接する土地建物を取得したことを報告した。地上4階地下1階建てで、「総合研究センター及びその他宗門の施設としての利用を見込んだもの」と語った。土地は約550平方メートル(約166坪)。土地4億5千万円、建物2億1千万円の総額6億6千万円で購入した。

2004/07/01 「法要出座4割無し」日蓮宗女性教師調査で

日蓮宗現代宗教研究所(田澤元泰所長)の女性教師プロジェクトチーム(伊藤美砂代表)が中心となり、日蓮宗に所属する全女性教師を対象にしたアンケート調査を実施。その調査結果をまとめた『日蓮宗女性教師アンケート報告書』が発表された。
報告書によると、女性教師の出家年齢は40~59歳代と比較的高く、結婚や子育てを経て発心にいたる事例が多い。その動機に関しても「夫(僧侶)の手助けをしたい」などが多く、教師でありながら「寺族的側面」が大きいことも判明した。
また、「宗門における活動状況」の項目では、教区の活動に「参加していない」との回答が約25%、法要出座の有無に関しても約40%が「ない」と回答するなど、「意欲があっても機会が無い」という現状も浮き彫りに。
注目される「女性教師の格差の現状」では、「不平等がある」とする回答が71人(18%)に上り、「寺院社会で低く扱われる」との現実が改めて伺えた。
特に報告書では「女性に住職はさせられない」「葬儀の導師をさせない」「法要に女性が入ると格が下がる」などの女性蔑視があったことも報告。今後の課題として男女平等参画社会に対する認識の普及が示されている。
なお、報告書では、「荒行入行」や「社会・福祉活動」など、修行や活動に向けた意欲も情報として提示し、宗門内の研修カリキュラムの策定に絡む見解を提出。さらに調査結果をもと「21世紀に向けての女性教師像」という展望も寄せており、宗門側が今回の報告書を受け、女性教師問題に対してどのように対応していくのか注目が集まっている。
調査は現代宗教研究所が中心となり、平成14年10月に日蓮宗に所属する1015人の女性教師全員を対象に実施。無記名アンケート方式で出家動機、役割、現在の活動などに関する総合的な調査を行っており、回答率は37・9%(385人)となっている。

2004/07/01 高野山大学 37年ぶりに『大日経』を講伝

高野山大学(生井智紹学長)は6月24日と25日の2日間に亘って、「伝統教学復興プロジェクト『大日経』講伝」を和歌山県高野町の同大学本館201号教室で開いた。大阿闍梨を高野山真言宗常光院住職の山崎泰廣大僧正が務め、予定を大幅に上回る約250人が参加した。参加者は、37年ぶりに開かれた同講伝を自分のものにすべく、必死でペンを走らせる姿が目に付いた。
同プロジェクトは、2006年に来る創立120周年記念行事の一環として立ち上げられ、今年6月から3年間の予定で講義が行われる。真言宗徒として本来必須であるべき教相の講義や講伝、事相伝授等の機会が減少している現状から、広く宗内に開放して伝統教学の復興と将来への継承を図ることを目指している。
講義は24日が午後1時から5時、25日が午前9時から午後3時まで行われている。次回は10月18日~19日に開催される。

2004/07/01 大本・人類愛善会 モンゴル訪問団が帰国

出口王仁三郎聖師入蒙80周年を記念して6月19日からモンゴルを訪問していた大本の外郭団体・人類愛善会(総裁=出口紅教主、会長=島本邦彦本部長)の訪問団170余人は所期の目的を達成して同月26日午後、帰国した。
訪問団には教主、広瀬静水総長、島本本部長はじめとする教団幹部や全国の信徒、また上田正昭京都大学名誉教授、山田三郎会長ら亀岡市民でつくる「出口王仁三郎翁顕彰会」のメンバーも参加。
現地ウランバートルでは、「日本とモンゴルの民際交流」と題し両国の民間レベルでの交流の重要性を説く上田名誉教授による文化講演会や、人類愛善会コーラス隊やモンゴルの人気歌手出演のもと現地の貧しい人々を支援するためのチャリティーコンサートを開催(20日)。モンゴル仏教総本山ガンダン寺ではハンバ・ラマ・チョモジャイツ管長をはじめ現地僧侶と初の「世界平和祈願・万国万霊合同慰霊祭」を執行、また大本側が八雲琴、仕舞、モンゴル側が馬頭琴やホーミーなど両国の伝統文化を披露する文化交流も実施した(21日)。
今回の訪問を機に、大本が本部を置く亀岡市とウランバートル市の友好都市提携の話も出て今後その行方が注目される。一方、大本では今度はチョモジャイ管長を11月にも本部へ招くことにしており、聖師が「万教同根」の思想のもと、宗教の連帯によってアジアの平和構築を目指したように、今後一層モンゴル仏教との交流を深めることにしている。

2004/07/08 真言宗豊山派 浅井内局を正式発足

第110次宗会臨時会で真言宗豊山派の新総長に選出された浅井侃雄氏が5日、新内局を正式に発足。4年に渡る浅井施政の幕を開けた。新内局では総務部長として教化部長(鳥居内局)、有限会社豊山派代表取締役などを歴任した中川祐聖氏を新たに起用した。その他の陣容は、鴇晃秀氏(前総務部長)、横山裕教氏(前財務部長)の2氏を除き、部署間の移動はあるものの、前内局のメンバーが引き継ぐ形となっている。
従来に比し、再任が目立つ内局構成となったが、浅井内局には「総本山研修施設の建設」や「布教師制度の改革」、「宗務支所の統廃合」、「各種規程の見直し」など、前内局から持ち越される重要案件も多く、「政策の継続」が要望されていたことから、人員の刷新よりも、実務を重視した配置となったようだ。
浅井内局の陣容は以下の通り。
▽総務部長=中川祐聖氏(万蔵院住職)、▽教化部長=根岸栄宏氏(養福寺住職)、▽財務部長=鈴木道雄氏(西光院住職)、▽教務部長=菅野秀浩氏(西福寺住職)、▽教化センター長=田代弘興氏(光明院住職)、▽総合研究院院長=加藤精一氏(南蔵院住職)

2004/07/08 曹洞宗 南米諸国出身物故者の慰霊法要を営む

日本で死去した南アメリカ諸国物故者を慰霊するため曹洞宗(有田惠宗宗務総長)は6日午前、東京・芝の宗務庁研修道場で、ブラジルやペルーの大使館・領事館の関係者や日本在住の南米各国の人々、NPO代表、全日本仏教会、日蓮宗など宗外からの参列者のもと慰霊法要を執行。宗門として初の試みだが、有田総長は「本日の法要をスタートとして、各地の宗門寺院において同様の法要が営まれることを期待している」と表明した。

2004/07/08 浄土宗 中村門主の白寿祝い記念式典挙行

中村康隆・浄土門主(総本山知恩院門跡)が今年白寿(数え99歳)を迎えたことを祝う「白寿記念式典」(法要・祝賀会)が6月30日午後、京都市で宗内僧侶・檀信徒、全日本仏教会や市内各宗本山関係者、また遠く韓国からも有縁の僧侶が参列し、盛大に催された。中村門主は車椅子での移動という身ながらも発言は明瞭で「1日でも長生きできるよう一生懸命励みたい」と元気な姿を見せていた。式典は浄土宗(水谷幸正宗務総長)と知恩院(吉田孝導執事長)が合同で催した。
知恩院門跡で白寿の法要を営むのは山下現有第79世が昭和5年に行って以来74年ぶり。

2004/07/15 坂東本『教行信証』の修復が完了

真宗大谷派(熊谷宗惠宗務総長)は12日午後、京都市下京区の本山で親鸞聖人750回遠忌の記念事業の一つとして昨年7月から実施していた国宝『教行信証(坂東本)』修復完了を受けて奉告法要と引渡式を執行。修復業者の㈱岡墨光堂(京都市中京区)から修復が終わった「坂東本」の引渡しを受けた。
「坂東本」は、親鸞聖人60歳前後の筆と考えられている教行信証の中では唯一の真筆本。六帖(冊)からなり、聖人滅後関東の門弟によって保管され、後に同派の坂東報恩寺(東京都台東区)に伝えられたことから「坂東本」と呼ばれる。昭和27年に国宝に指定され、同29年に一度修復が行われている。
ところが綴目付近に折れや小さな裂け目などの破損が見られ、後世への相続のためにと遠忌記念事業の一つとして修復が決められた。修復は3月末に完了。保存性向上のため収納する桐の箱も今回作られた。修復費用は800万円。内400万円の国庫補助を受けた。桐箱の「顕浄土眞實教行證文類」等の文字は大谷暢顕門首が揮毫した。
奉告法要は阿弥陀堂で行われた。修復を担当した㈱岡墨光堂の君嶋隆幸氏と森香代子さんが盆に載せた「坂東本」を熊谷総長と安原参務へ手渡し、それを大谷演慧鍵役が受け取って御真影の前に安置し、法要を勤修。導師は門首が勤めた。
その後宮御殿で執り行われた引渡式では、門首、鍵役、熊谷総長、参務、広瀬杲会長はじめ宗宝宗史蹟保存会委員、また岡墨光堂関係者、京都府文化財保護課職員らが参列し、修理状況が説明された他、熊谷総長が岡墨光堂の岡泰央専務へ感謝状を贈った。
同保存会の調査委員として修復を監修した三木彰円・大谷大学専任講師は「今回の修復で本紙の天地に罫線の存在が確認された。朱書きと墨書きの後先も実際の黙視で確認でき、草稿本でない清書本ということも考えられるようになった」と、新たな発見があったことを話していた。
なお「坂東本」の復刻本刊行も遠忌記念事業の一環として実施されることになっている。

2004/07/15 参議院選挙で全日仏候補18人が当選

第20回参院選は11日、投票され開票の結果、自民党が49議席にとどまり、民主党が50議席と躍進した。小泉首相は続投を表明している。また公明党は組織力をみせつけ比例区で862万票を獲得し、改めて「集票マシーン」ぶり示した。
全日本仏教会(里見達人理事長)は今度の選挙でから会の趣旨を理解したことを表す誓約書の提出を義務づけた。最終的に選挙区・比例区をあわせて自民党17人、民主党10人の27人を推薦。自民・民主とも各9人の18人が当選した。
曹洞宗(有田惠宗宗務総長)は民主党比例区の松岡とおる氏(部落解放同盟書記長)を推薦。約11万4千票を得て、民主党の17番目で当選した。
立正佼成会(庭野日鑛会長)は選挙区では民主党22人、自民党5人、無所属2人の29人を推薦。そのうち民主党20人、自民党4人、無所属2人が当選した。また比例区では、民主党の白真勲氏(元朝鮮日報日本支社長)と藤末健三氏(元東大助教授)を推薦し、中位で当選した。
そのほか新日本宗教団体連合会(新宗連)加盟団体が推薦した自民党の秋元司氏(元議員秘書)や山谷えり子氏(元衆院議員)らも当選を果たした。
一方、比例区では、民主党が2113万票、自民党が1679万票、公明党は862万票を獲得。公明党は目標としていた1千万票には届かなかったが、選挙区では42人の自民党候補者を支援し、28人が当選した。専門筋は「比例区での見返りがあったはず」と見ており、自民支持者の票も公明党の比例区に流れた模様だ。
また公明党は比例区862万票のうち、個人票が613万票に対し政党票が249万票と、他の政党に比して個人票が圧倒的に高い。しかも上位6人までが70万票を超え、次の当選者は3万票台と20分の1以下に落ちており、上位6人を意識した選挙対策だったことを窺わせる結果となった。

2004/07/15 各山会 代表総務に島秀隆氏が就任

真言宗各派総大本山会(各山会)は7日午後、京都・東山の智積院で常任委員会を開き、任期(2年)満了に伴う役員の改選を行い、新総務7人・監事2人を決めた。代表総務には3月に就任したばかりの島秀隆智積院寺務長(智山派宗務総長)を選出した。任期はそれぞれ平成18年6月30日まで。
役員改選は、小林照宥前代表総務が智積院寺務長交替で退任したのを受け6月7日に後任代表総務に就任した仲田順和醍醐寺執行長が議長を務めて進行。総務・監事の選出は規約上、常任委員19人の互選によるが、慣例から土生川正道金剛峯寺執行長を委員長とする推薦委員5人を選出し、その委員が総務・監事を推薦した上で再度常任委員会に諮るという方法で行われた。
総務に推薦されたのは中井龍照(仁和寺)、島(智積院)、坂口博之(大覚寺)、仲田(醍醐寺)、土生川(金剛峯寺)、佐伯龍幸(西大寺)、湯浅高明(泉涌寺)の7氏、監事は鈴木貴晶(朝護孫子寺)、砂原秀遍(東寺)の2氏。推薦は常任委員会でも異議なく承認され、決定。この後、新総務で総務会が開かれ、島寺務長を代表総務に選出した。
島新代表総務は「私はベテランの醍醐寺執行長をと言ったのですが、お前がやれということで、詳しいことは仲田執行長の話を伺いながら進めてまいりたい。規約に書いてある通り、親睦を図る、これを第一の目的に考えてまいりたい」と就任の挨拶を述べた。
この他、今年度の密教学芸・教化賞は8月10日までに各山から推薦を受け、次回9月10日の常任委員会で審議することにした。

2004/07/22 大谷派 内事建物等明渡し訴訟で光道氏と和解

真宗大谷派(熊谷宗惠宗務総長)が大谷光暢前門首四男、光道氏を相手取り、内事建物(京都市下京区)と聖護院別邸(同市左京区)の明渡しを求めていた訴訟の控訴審は12日、双方が大阪高裁で和解した。光道氏が内事建物を来年3月末まで、聖護院別邸を来年5月末までに明渡し、宗派が光道氏に対し解決金2000万円を支払うという和解内容で合意した(訴訟費用は双方が負担)。
宗派が提訴したのは4年前の00年11月。本山境内にある内事建物は門首公邸で、前門首在任中は光道氏に使用を認めてきたが、93年5月の前門首遷化後も同氏が事務所や物置として使用。連枝役宅の聖護院別邸も82年5月に光道氏が連枝身分を解かれ、98年10月に僧籍を削除されても使用を継続してきた。宗派側は同氏へ明渡しを要求してきたが応じないため「宗門の本来化へ向け」(木越総長=当時)提訴に踏み切った。
一審で所有権を主張する宗派に対し光道氏は、「改築費用を大谷家が負担した」などとして大谷家が所有権を有すると反論。しかし、京都地裁は昨年3月27日、宗派の主張を全面的に認める判決を言い渡した。これを不服として光道氏が控訴していた。
宗派にとって2000万円を支払う今回の和解は一審判決より後退したとも言える。この点、大谷派は「判決を求めれば、当然上告審までいくだろう。その裁判経費、また上告審で勝訴してもおそらく強制執行することになり、その際の経費を含め総合的に勘案した。御遠忌に全力を挙げて取り組んでいきたいし、一刻も早い立ち退きを求めたいという考えもあった。我々としても控訴審の審理が終わり判決かと思っていたが、裁判所から強い要請があって協議し、裁判を長引かせることは得策でないと判断した」と話している。
これで光道氏との訴訟は、目下最高裁で係争中の「大谷祖廟門扉開錠等請求事件」の1件となった。(22-29合併号)

2004/07/22 WCRP イラクの宗教指導者招きシンポジウム

イラクの宗教指導者を招いてのシンポジウム「イラクにおける平和構築―諸宗教協力に課せられた役割」が22日、京都市内のホテルで開催された。邦人人質事件で会報に尽力したクベイシ師らイスラム教シーア派、スンニ派、キリスト教の8人が来日し6人がシンポに臨み、共同声明が発表され、イラク再建に宗教間対話と協力が不可欠という姿勢を示した。主催はWCRP(世界宗教者平和会議)日本委員会(白柳成一理事長)。
シンポには、日本委員会役員や関西を中心とした宗教者ら180人が出席。最初に白柳理事長が歓迎の挨拶を述べ、「この時間においても貴国では同胞が苦しんでいる。その国を後にして日本に来られるというのは辛いことだろうと思う」と思いやりの言葉を贈った。
WCRP国際事務局のウィリアム・ベンドレイ事務総長を進行役にシンポを開始。ベンドレイ氏はイラク戦争勃発直前に首都バグダットを訪れたことを報告しつつ、「混乱の中にもオアシスがあった。それはモスクであり、教会といった宗教コミュニティだった」と宗教者が危機に立ち向かっていたことを話した。
そしてまず6人のパネリストを代表してカトリックのカッサブ大司教が共同声明を発表。7項目にわたる合意点があり、その中では、「何にもまして諸宗教間の協力こそがイラク国民が直面している社会の再建と心身の癒しに他のものをもってしては替えがたい役割を果たすことが可能である」という一節が盛り込まれている。
こうした共通認識のもと6人のパネリストはイラク再建や子どもたちの支援のための提案や現状などを報告。「学校はイデオロギーを教えるだけでなく思想の自由を教えることが重要だ」(クベイシ師)「大変な深い傷を負い、苦しんでいる人がいる。日本やWCRPが傷を和らげるために支援を」(エリービ師)「先日ヒロシマを訪問した。そこで大きな悲しみを感じた。神に、どうぞ私たちをお助け下さいと祈った」(カッサブ大司教)。
また仏教の関連で「日本に来る前に、こんなことを言われた。仏教徒は石を拝んでいると。しかし日本の寺院を訪問すると、仏さまを礼拝の対象とされていた。僧侶や色々な方と話しをしていて自分たちと本質的な違いがないのではないか」(ムハマンド師)といった感想も。(22-29合併号)

2004/07/22 新潟・福井の集中豪雨で深刻な寺院被害

7月13日から19日にわたり、新潟県・福井県で局地的に発生した集中豪雨(新潟・福島豪雨及び福井豪雨)の影響により、新潟県内の刈谷田川や五十嵐川、福井県の足羽川などが氾濫。周辺流域で家屋の倒壊や浸水などの被害が発生した。新潟県では20日現在までに15人の死亡が判明し、家屋についても22軒が全壊(半壊144軒)。福井県でも3人が死亡し、鯖江市、美山町などの地域を中心に45軒の家屋が全壊(半壊127軒)する被害を被った。被災地周辺の寺院被害も多く、新潟・中之島町では日蓮宗妙栄寺が刈谷田川の決壊に襲われて全壊。三条市でも法華宗陣門流総本山本成寺が床上浸水に見舞われた。被害を受けて現地の真宗大谷派、曹洞宗などの青年僧侶らは早速復旧作業に着手。さらに曹洞宗では乙川暎元人事部長が新潟県庁、佐藤良彦総務部長が福井県庁を訪問し、県知事に対しそれぞれ300万円の義援金を手渡した。(22-29合併号)

2004/08/05 浄土宗 北米開教区問題を宗議会議員に説明

浄土宗(水谷幸正宗務総長)は7月26日午後、京都市東山区の宗務庁で宗議会議員を対象に、北米開教区(麻谷正彦総監、事務所=米国ロサンゼルス)と現地信徒組織「浄土宗別院」(以下、別院)の対立について説明会を開いた。両者の対立は、別院が開教区を訴えて法廷闘争に発展しているが、それでも議員の間からは「両方がうまくいく方法はないのか」などと、円満解決を求める声が相次いだ。
所管の松本眞岳・社会国際局長は、別院が4年前開教使を「解雇」してから、北米開教区と麻谷総監を相手取って起こした訴訟の今日に至るまでの経過を簡単に説明、その後、議員との間で質疑応答が交わされた。
松本局長は「私どもは和解に努めてきたがそうはいかなかった」「裁判は向こうから仕掛けてきたわけです。浄土宗が一信徒組織の代表者に裁判に掛けられて引くわけにはいかない。若干お金は掛かりますが、今、浄土宗の危機だと私は思う」と述べ、裁判で争っていく考えを示した。
しかし、議員からは「裁判で仕掛けられ受けてたつ、これは当然のように聞こえるが、それでは戦いの構図になっていく。世界に念仏を広めていく、そういう宗団ですから、裁判は裁判として両方がうまくいく方法はないのか。簡単に切ってしまっていいのか」と、あくまで両者の和解を求める声が出た。
質疑ではこの後も「和解の方が浄土宗らしい」「できることなら話し合いがいい」と円満解決を望む声が相次いだ。

■北米開教区問題
浄土宗別院が平成12年5月、開教使を「解雇」したことに端を発する。別院は15年4月にも別の開教使を「解雇」。その後、北米開教区へ両者の配置転換を要求するが、開教区はこれを拒否。別院は麻谷総監へ「不当干渉」と抗議するが、開教区は9月要求を却下、併せて寺院建物の使用不許可と関係改善を通告した。10月別院が開教区と麻谷総監を相手取り提訴し、同月末開教区と別院が関係断絶。平成16年2月、開教区は寺院名を「浄土宗北米開教本院」と改称。裁判所が6月別院の提訴について本尊、三尊仏などを返還しないことの損害賠償請求を認め、開教区は7月控訴裁判所に特別申立てをし、現在に至っている。

2004/08/05 日本印度学仏教学会で大谷光淳新門が発表

日本印度学仏教学会(木村清孝理事長)は24・25日の両日、東京・世田谷の駒澤大学で第55回学術大会を開催した。今大会では特別部会を含む9部会で全国の研究者ら250人が発表。特に「瞑想―その受容と展開」をテーマに行われた特別部会では密教や中国仏教、禅など広範囲からのアプローチが見られた。
大会で注目をあつめたのは初日に行われた第7部会。特に午前には、浄土真宗本願寺派新門の大谷光淳氏(龍谷大学大学院)が「親鸞聖人における『いのり』の概念―その使用例の考察」と題して発表し、注目された。
大谷氏はその中で、「いのり」の語が用いられている親鸞聖人の著作に言及。『高僧和讃』では「祈り」が「雑修」として否定されているのに対し、『御消息集』略本(第2通、第8通)では「世界の安穏」を祈願する肯定的な意味合いでに使用されていることを明かし、親鸞聖人の「祈り」の解釈が2種にわたることを解説した。
また『御消息集』に関しては原文から再検討し、同消息の「祈り」が「祈願請求」を目的としたものではなく、「報恩の思いから自然発生的に生じる思いを表す」とし、「獲信者の個人的な思いではなく、阿弥陀仏の働きによる普遍的価値に基づくもの」との見解を示した。
なお大会初日の総会では、島薗進・東京大学教授(日本宗教学会会長)が登壇し、来年3月、東京で開かれる国際宗教学宗教史会議第19回世界大会(IAHR)に関して参加を要請。「日本の宗教から大きなメッセージを発して行きたい」との意気込みを語った。

2004/08/05 WCRPⅧに向け大会準備委員会を設置

2年後に京都で開かれる世界宗教者平和会議・第8回大会(WCRPⅧ)にむけた国際執行委員会が7月20・21日、京都で開かれ、日程や大会準備委員会の委員などが決まった。
34年前に第1回大会の地である京都での開催は宗教協力の原点を見つめ直す意味合いをもつ。そのWCRPⅧの開催時期は、2006年8月26日から29日までの4日間。当初は6月に設定されていたものの、会場の都合や有力参加者の日程などを考慮した結果、この時期となった。
大会準備委員会は国際執行委員会から6名、日本委員会から6名の12名で構成。日本委員会からは理事長や常務理事などが入った。次回の準備委委員会は今年12月に開かれる予定。また大会テーマは来年2月をめどに設定される見込み。
この大会準備委員会とは別に日本側として受け入れ委員会を設置する方向だが、委員など具体案はまだ決まっていない。早ければ9月の理事会・評議員会で発表されると見られる。
【大会準備委員会のメンバー】 国際執行委員会=ビヌ・アラム女史(インド・シャンティアシュラム代表)レオニド・キシコフスキー(米国ギリシャ正教会主教)ジョン・オナイケン(ナイジェリア・カトリック大司教)ビートリッツ・シュルテス女史(コスタリカ民族宗教代表)グナール・スタルセット(ノルウェー教会オスロ主教)チョン・オク・リー(韓国円仏教国連代表)
日本委員会=白柳誠一(理事長・カトリック枢機卿)杉谷義純(事務総長・天台宗円珠院住職)庭野日鑛(常務理事・立正佼成会会長)宮本丈靖(同・妙智會教団会長)三宅龍雄(同・金光教泉尾教会長)西田多戈止(同・一燈園当番)

2004/08/12仏教界の要請で広島平和宣言の文言を変更

原爆投下から59年を迎えた8月6日の広島平和祈念式典で、秋葉忠利市長が読み上げた平和宣言に当初「唯我独尊主義」と盛り込まれていた言葉が「自己中心主義」に改められた。浄土真宗本願寺派安芸教区(池谷亮真教務所長)が「誤用」だと指摘し、変更を求めていたことに対処したものだ。
広島市側は安芸教区の申し入れに当初は変更しない意向を示していた。しかし、当日の宣言文では「唯我独尊主義」を避けて「米国の自己中心主義」と発表された。
今回の言葉の変更に全日仏では、「安芸教区の力、安芸門徒の力でしょう。それから広島市長の柔軟性に敬意を表したい」と歓迎した。

2004/08/12 大谷派 与党・興法議員団が大揺れ

真宗大谷派宗議会の与党、真宗興法議員団(代表=熊谷宗惠宗務総長)の総会が8月4日、京都市下京区の宗務所で開かれ、先の宗議会で党議拘束に従わなかった大城雅史議員の除名処分が承認された。総会前には、同議員団の重鎮、元総長の能邨英士議員が退団するなど、同議員団は大揺れだ。
興法議員団幹事会(菊地顕正幹事長)は、先の宗議会に与党案として提出した「宗議会議員選挙条例改正案」への対応を問題にした。
所属議員の内、岡川秀映議員、三浦崇議員、能邨議員、大城議員、木全和博議員の5人が野党案に反対せず退席。大澤秀麿議員は賛成した。その直後の与党案採決では三浦議員、能邨議員、木全議員、大澤議員は賛成したが、岡川議員と大城議員は退席したまま与党案に賛成しなかった。
幹事会は宗会後、6人に理由を求め書面の提出を要求。岡川議員と大城議員が提出せず、その後岡川議員が「色々な思いがあるので」として6月23日に退団を伝えたため、幹事会は同月下旬、規約に従って与党案に賛成せず党議拘束に反した大城議員の除名処分を決め、8月4日の総会に諮った。
除名処分について幹事会は「重要かつ緊急な課題に賛意を示さなかった」と理由を説明するが、一部議員からは「理由の提出がなかっただけで除名するのはどうか。直接会って事情を聞くなり、手続きを踏んだのか」と反対意見も出たという。
総会に先立っては元総長の能邨議員も、条件を付けて被選挙権を拡大した与党案(同条例)への反対を理由に退団した。

2004/08/12 知恩院・増上寺でフェスタ・デ・テンプル開催

浄土宗(水谷幸正宗務総長)は1日、東京・芝の大本山増上寺で、「フェスタ・デ・テンプル―佐渡裕とお寺で音楽!2004」が行われ、約1000人が来場、境内のあらゆるところで行われた音楽とのコラボレーションを楽しんだ。京都・総本山知恩院でも30日行われ、好評を博した。
今回のイベントは、指揮者・佐渡氏の「子どもたちに音楽とすてきな出会いをして欲しい」、浄土宗の「日本の伝統文化を子どもたちに受け継いで欲しい」との思いから実現したもの。コンサートのほか、ジャズライブ、木魚・鉦などを含む楽器の体験コーナー、マップを片手に境内探索なども行われた。

2004/08/19 妙観講が名誉毀損で創価学会を提訴

創価学会による悪質なビラで名誉を毀損されたとして日蓮正宗の信徒団体「妙観講」と大草一男講頭は11日、創価学会とビラをまいた5人を相手取り、総額6千万円の賠償を求める民事訴訟を東京地裁に起こした。
ビラがまかれたのは今年2月11日深夜で、「淫祠邪教」「カルト教団」「オウムやパナウエーブに続く危険な団体」といった見出しが並ぶ中傷ビラを杉並区の妙観講本部周辺を中心に全国的にまいたというもの。 ビラには日蓮正宗の阿部日顕法主の写真などが使用されている。
妙観講側の調査で、配布には創価学会の青年部幹部らが関与していることが明らかになった。また7月上旬の深夜にも中傷ビラが杉並区で大量配布された。
妙観講側は「妙観講および当講講頭は、一連の悪質な違法ビラ配布が創価学会による組織的犯行であったことが明らかになったものとして、このたびの提訴に及んだ」としている。
この事件に関しては、警視庁荻窪警察署と静岡県警富士宮署に刑事告訴している。

2004/08/19 全生庵で圓朝まつり開催

東京・谷中の臨済宗国泰寺派全生庵(平井正修住職)は、江戸落語中興の祖である三遊亭圓朝(1839~1900)に命日に当たる8日、圓朝忌の法要を厳修。それにあわせ、(社)落語協会が同寺を会場に「圓朝まつり」を開催した。 落語会のチケットは予約段階で完売。酷暑にもかかわらず、来場者は絶え間なく続いた。訪れた人は「寄席文字の店」や「お囃子茶屋」など、芸人さんたちの一風変わった屋台や、本堂脇で公開されていた珍しい幽霊画を楽しんでいた。

2004/08/19 終戦から59年 千鳥ヶ淵墓苑で平和の祈り

終戦から59年にあたる8月15日、各地で追悼行事が営まれた。日蓮宗は国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑で開設以来の法要を営み、前日の14日夕には新宗連(新日本宗教団体連合会)が同じ場所で平和の祈りを捧げた。今年は昨年同様、テロやイラク戦争に言及しつつ、宗教者として平和を祈念する挨拶が相次いだ。また政府式典には日宗連(日本宗教連盟)を代表して庭野日鑛理事長が献花した。

2004/08/26 武蔵野女子学院が格付け「A」にランクイン

格付け投資情報センター(R&I社)は7月1日、武蔵野女子学院(田中教照学院長)に対する長期優先債務格付け「A」を発表した。学校法人による格付け取得としては、2003年7月の早稲田大学(AA+)以来13校目、宗門校としては初めてとなる。
R&I社の格付けは事業体の財務の健全性を示す指標であり、企業が資金を調達する際の第三者評価として用いられている。格付けランクは「トリプルA」から「C」までの21ランクであり、武蔵野女子学院の「A」は上位から6番目。企業としては東芝、NEC、テレビ朝日と同格であり、大学としては東京経済大学と同格となっている。

2004/08/26 山田能裕氏が戸津説法 初日は380人が聴聞

伝教大師に始まる天台宗の伝統行事「戸津説法」が21日から25日まで滋賀県大津市の同宗東南寺で執り行われ、今年は山田能裕・比叡山延暦寺長臈(73)が信徒らに法華経を説いた。
戸津説法は、伝教大師が父母への孝養にと、戸津の浜と呼ばれた東南寺で法華経を説いたのが始まり。説法を勤めた僧の中から将来の天台座主が選ばれるため、天台座主への登竜門とされる。
山田長臈は、6月4日比叡山内の浄土院での長講会で渡辺恵進座主から説法師の指名を受けた。
初日21日は、渡辺座主、西郊良光宗務総長をはじめ宗内僧侶、信徒、有縁の者ら380人が説法を聞きに訪れた。
山田長臈は、法華経の構成と共に、鳩摩羅什・天台大師・伝教大師ら法華経弘通に功績のあった人物、開経にあたる無量義経を簡潔に説明。
法華経の中国語訳に関する部分では「どの本見てもどの経から訳したか書いていない。そうなると中国語訳を日本語にそのまま翻訳すると本筋から外れる危険性がある。そこでそのまま中国語を読んできた」と伝統的に漢文経典を使ってきたいわれ等を説いた。
唐招提寺を開創した鑑真にも触れ、「単に戒律を伝えただけでなかった。天台大師の教えを伝える、法華経をいかに伝えるかというのが一番の目的だった」とも話すなど、余談を交え、約1時間説法した。

2004/08/26 米国・曹洞宗の僧侶が地蔵27万体で平和祈願

米国オレゴン州の小児科医で、現地の禅道場「地蔵山大願寺(Great Vow Zen Monastery)」の夫と共に共同住職を務めるジャン澄禅ベイズさん(曹洞宗女性僧侶)が行っている平和運動「平和地蔵プロジェクト」が注目をあつめている。同プロジェクトは米国の子どもや服役囚などに呼びかけ、原爆投下60年を迎える2005年8月年までに、原爆犠牲者と同じ27万体の地蔵を集め被爆地などで展示するというユニークな試み。現在は各方面への協力が呼びかけ、曹洞宗も協力していく方針。
完成した地蔵は来年の原爆忌をはさんだ1カ月の間、広島、長崎の両市の数カ所の施設で展示予定。その後被爆者団体などに寄贈されることになっている。ホームページ(http://www.jizosforpeace.org)に日本語版あり。

2004/09/02 浄土宗保育協会が創立40周年記念式典を挙行

昭和39年に設立された浄土宗保育協会(花田郁実理事長、加盟425園)は8月27日、三重県長島町のホテルで創立40周年の記念式典を執り行うと共に、第30回全国研修会を開催。東海地方の6教区を中心に全国の加盟幼稚園・保育園を経営する寺院住職や若い保育士ら230人以上が参加、仏教精神に基づいた子育てを語る仏教思想家ひろさちや氏や仏教大学附属幼稚園長・福原隆善氏(同大教授)の講演に耳を傾けた。
全国研修会は全国8つの地区教化センターが持ち回りで実行委員会を組織し、毎年場所を替えて開催。今年は東海地方教化センター(立松辨我委員長)が担当し《手をつなごう仏の子を守るために/輪を作ろう仏の子が育つために》を大会テーマに、長島温泉のホテル花水木コンベンションホールで開いた。

2004/09/02 東方研究会 「宗教の寛容性」テーマに夏期講座

東方学院(前田専學学院長)は26日、神奈川県・鎌倉市の鶴岡八幡宮で、第14回鎌倉夏季宗教講座を開催した。同講座は昭和63年以降、毎年行われている恒例の行事。今年の講座には約100人が参加し、イスラム教、仏教の専門家2氏が講義を行った。
講座では、まず保坂俊司麗澤大学教授が「イスラム教の寛容と仏教の寛容」と題して講演。主にインド・イスラムの視点から諸宗教融和の可能性を探った。
続く宮元啓一國學院大学教授は「インド哲学と非人情」をテーマに展開。現象学や六派哲学などの観点から、原始仏教の目指した「悟り」の本質に迫った。
講義の前には前田学院長も挨拶。ジャパノロジストとして知られる小泉八雲やバジル・ホール・チェンバレンの著作に触れ、両氏が神道、仏教に深い関心をもっていたことなどを紹介した。 東方学院(前田専學学院長)は26日、神奈川県・鎌倉市の鶴岡八幡宮で、第14回鎌倉夏季宗教講座を開催した。同講座は昭和63年以降、毎年行われている恒例の行事。今年の講座には約100人が参加し、イスラム教、仏教の専門家2氏が講義を行った。
講座では、まず保坂俊司麗澤大学教授が「イスラム教の寛容と仏教の寛容」と題して講演。主にインド・イスラムの視点から諸宗教融和の可能性を探った。
続く宮元啓一國學院大学教授は「インド哲学と非人情」をテーマに展開。現象学や六派哲学などの観点から、原始仏教の目指した「悟り」の本質に迫った。
講義の前には前田学院長も挨拶。ジャパノロジストとして知られる小泉八雲やバジル・ホール・チェンバレンの著作に触れ、両氏が神道、仏教に深い関心をもっていたことなどを紹介した。

2004/09/02 日蓮宗加行所に195人、遠寿院に17人が登録

寒百日の修行で知られる日蓮宗加行所の入行者締め切りが7月31日に締め切られ、平成16年度の入行志願者数が明らかになった。今年度の日蓮宗加行所の入行志願者は計195人。昨年度に比べ59人という大幅な増加となった。また単独開堂を宣言した遠寿院荒行堂(戸田日晨住職)に関しても8月31日に応募が締め切られ、こちらには17人の志願者が登録を行った。

2004/09/09 豊山派 鳥居愼譽新管長の管長就任式を挙行

真言宗豊山派(浅井侃雄宗務総長)は9日、東京・大塚の宗務所で、鳥居愼誉・真言宗豊山派第30世管長の管長就任式を挙行した。就任式には歴代管長をはじめ、宗内の要職者、鳥居管長の自坊・眞性寺の法類など約60人が列席。新管長の就任に心からの祝福を贈った。
就任式の終了後には、宗務所3階に会場を移して祝宴も行われ、川田前管長や木内一成宗会議長などが祝辞を述べた。また中川祐俊前管長が乾杯、吉田俊誉前管長が万歳三唱の発声を行い、鳥居管長の就任を祝した。
なお、鳥居管長の晋山式は11月9日に挙行されることになっている。(9-16合併号)

2004/09/09 曹洞宗 ペルーで南米開教100年行事を開催

曹洞宗(有田惠宗宗務総長)では8月下旬、南米ペルーにおいて同宗の「南アメリカ開教百周年行事」を開催した。曹洞宗の南米における布教活動は1903年に宗命でペルーへ渡航した上野泰庵師が嚆矢。
メインとなった式典は同28日(土)の日秘文化会館(リマ市)における物故者慰霊法要(導師:有田総長)だ。このほか、さまざまな記念行事が展開された。
法要に先立ち、、有田総長はじめ渡邊孝彦議員、宗務庁関係スタッフ、個人参加の僧侶らによって、ペルー北部に散在する各日本人墓地や日本人慰霊塔への巡回法要がおこなわれた(24日から27日まで)。
訪問地は、日本人墓地が3か所、日本人慰霊塔(碑)が4か所。日本からの僧侶による追善法要は数十年ぶりという場所が多く、各地の日系人らが大歓迎。各地の日系社会は過疎に悩むものの、法要では日系人ら多数が参列した。ただし、日系人が住んでいないところでは参列者は皆無。朽ち果てる慰霊塔が、参加者の涙を誘った。(9-16合併号)

2004/09/09 SVA絵本コンクール 大賞は沖縄の城間さんに

SVA(シャンティ国際ボランティア会)は今年から開始した絵本コンクールの表彰式を2日、東京グランドホテルで挙行。大賞には沖縄の会社員、城間清酉さんの「王さま王さま王さまのお城」が選ばれ、2作品が入選した。またSVAの活動地であるタイ・ラオス・カンボジア・ミャンマー難民キャンプからそれぞれ1作品が海外奨励賞を受賞した。
コンクールには268作品が寄せられた。翻訳家の上田真而子氏、絵本作家のやべみつのり氏、詩人のアーサー・ビナード氏といった専門家をはじめ協賛企業の代表が推薦委員として審査。さらにSVAが展開している「絵本を届ける運動」に参加した小中高校10校のこどもたちの投票も加味された。(9-16合併号)

2004/09/23 大本、大谷派が死刑執行に抗議

14日、大阪拘置所と福岡拘置所でそれぞれ死刑囚1人の死刑が執行されたことに対し、かねてから死刑廃止を主張している大本(島本邦彦本部長)と真宗大谷派(熊谷宗惠宗務総長)は死刑執行に抗議し、死刑廃止を求める声明を16日までに出した。
大本は島本本部長名の声明を野沢太三法相へ宛てて15日に郵送。声明は、《死刑を廃止することは至極結構なことである。(略)人を殺したから殺してしまうというのは、復讐的で愛善の精神に背反するもので、実によろしくない》との教祖・出口王仁三郎聖師の教えに基づいて死刑の停止・廃止を要望。教団の外郭団体・人類愛善会も松田一事務局長名で同様の声明を14日発表し、法相へ提出した。
大谷派は熊谷宗務総長名で16日発表。「私たちは、たとえどのような罪を犯した人間、また未だ反省や悔悟の気持ちを表現することにいたらない人間であっても、それを排除することなく、かけがえのないいのちとして尊重することを通して共に生き合える世界を阿弥陀如来の本願として教えられています。私たちはその根源の願いに立って一人ひとりの人間が、いのちの尊厳において見出される社会の実現を願うものであります」として死刑執行に「遺憾の意」を表明、また死刑廃止への取り組みを求めた。声明は同日、小泉首相と野沢法相へ送った。
大阪拘置所では児童8人を殺害した宅間守死刑囚、福岡拘置所では配下の暴力団組員3人を殺し強盗事件等も起した嶋崎末男死刑囚の死刑が執行された。

2004/09/23 米同時テロから3年 諸宗教者が平和の祈り

仏教、キリスト教、イスラームなどの宗教者有志がよびかけ11日、群馬・宮城村の真言宗豊山派金剛寺(志田洋遠住職)で第7回「諸宗教者による平和を祈る集い」が開催された。米同時多発テロから3年目を迎える今集会には宗教者など約120人が参加。諸宗教者による祈りと併せ、「人間の楯」の活動で知られる高藪繁子さんが講演した。

2004/09/23 カンボジアに仏教聖典贈呈団を派遣

(財)仏教伝道協会(沼田智英会長)は7日から13日まで、「カンボジア語『仏教聖典』贈呈団」第21次国際文化交流ツアーを行った。参加した34人は、リ・ライスレン副首相をはじめとする政府要人や、ニャク・マニン王女など王室関係者からも熱烈な歓迎を受けた。

2004/09/30 霊感商法対策弁連が全国集会で訴訟状況を報告

霊感商法被害救済弁護士連絡会は17日、東京・千代田区の主婦会館で第40回全国集会を開催した。大会にはカルト教団の被害者や弁護士、宗教家など約160人が参加。全国で展開されている裁判報告や元信者の体験談などを通じ、カルト問題への理解を深めた。
大会ではまず、新潟、横浜、札幌の弁護士が各地で行われた統一協会関連訴訟の報告を実施した。
特に基調報告を行った渡辺博弁護士は、「全国の裁判でほぼ勝訴が確定する状況になった」と各地の裁判を総括。しかし一方で霊感商法を巡る被害が減らない現状を憂慮し、「判決を重ねるだけでは(被害を)止められない」との危機感を表明した。
また、横浜の平沼敬一弁護士も、「脱会を促す両親を信者が訴えた」事例に言及し、「勝訴はしたが、親子の関係を取り戻す戦いが待っている。これからも辛い状況は続く」と主張。裁判終了後も続くカルト問題の悲劇性を改めて強調した。

2004/09/30 1団体2個人に第2回禅文化賞を贈呈

(財)禅文化研究所(理事長兼所長=細川景一臨済宗妙心寺派宗務総長)が主催する第2回禅文化賞の授賞式が9月25日午後、京都市下京区の京都東急ホテルで開かれ、受賞した「アジアの友を支援する『RACK』」(河野太通会長)、高橋通方(卓志)氏(妙心寺派神宮寺住職)、劉建氏(大谷大学非常勤講師)へ賞状と副賞の30万円が贈られた。
同賞は、同研究所の創立35周年を記念して平成11年に設立され、禅を基本とし宗門向上に功績のあった個人・団体に5年ごとに贈るもの。賞には80歳以上の個人や活動歴30年以上の団体に贈る「功労賞」と次代を担う個人・団体に贈る「奨励賞」があり、今回は1団体2個人とも奨励賞を受賞した。

2004/09/30 護国寺 桂昌院三百回忌で寛永寺と増上寺参拝

真言宗豊山派大本山護国寺(岡本永司貫首)は14日、東京・上野の天台宗寛永寺と、東京・芝の浄土宗大本山増上寺の2ヶ寺で、桂昌院300回忌に併せた団参を行った。団参は5代将軍徳川綱吉公の生母であり、護国寺建立を発願した桂昌院(1627~1705)への追善供養を目的に計画されたもの。参拝には檀信徒ら約100人が参加し、綱吉公と桂昌院の霊廟の前で面影を偲んだ。
徳川関係者の追善供養を目的に他宗派の本山を檀信徒が巡るのは珍しく、百名規模の団参を行うのは異例。護国寺では6月14日にも岡本貫首をはじめ護国寺関係者ら約40人が両寺を訪問しており、参拝としては今年2回目となる。

2004/09/30 駒大苫小牧 曹洞宗へ優勝の凱旋報告

夏の甲子園で東北・北海道勢としては初の優勝を果たした北海道の駒大苫小牧高校。その野球部一行が27日、東京・芝の曹洞宗宗務庁を訪れ、有田恵宗宗務総長はじめ内局に優勝を報告した。
宗務庁職員による拍手で迎えられた部員らは深紅の優勝旗と盾、そして優勝メダルをさげて管長室に入った。香田誉士文監督が佐々木孝介主将はじめ選手1人ひとりを紹介。選手は緊張した面持ちで一礼した。
佐々木主将から優勝旗を手渡された北海道出身の有田総長は「ずしりとします。重いものですね」と優勝の重みを実感。内局からも「よくやった」とねぎらいの言葉がおくられると共に、地元苫小牧に自坊がある元同校野球部監督の荒沢義範出版部長は「予選で優勝し、次は全道大会。4試合勝てば決まる」と早くも来春の選抜大会を視野に入れていた。部員らはこのあと内局や職員と共に祝賀会に出席した。

2004/10/07 曹洞宗 有田改造内局スタートへ

曹洞宗(有田恵宗宗務総長)は5、6の両日、東京・芝の宗務庁に第94回臨時宗議会を招集。今年度の予算の補正が主議案だが、最大の眼目は2年交替の内局人事。總和会3部長、有道会4部長の構成は変わらず、人事部長の乙川暎元氏(總和会)が総務部長に横滑りしたほかは一新。とくに財政部長には当選一回の宮崎英輝氏が就任するサプライズ人事となった。また正副議長の辞職に伴う選挙が行われ、新議長に佐藤良彦議員(總和会)、副議長に黒柳祖道議員(有道会)が選出された。有田改造内局は10月21日から正式スタートする。
▽人事部長・荒井源空昭和11年7月生まれ。總和会。3期目。元出版部長。自坊は石川市の鶴林寺。
▽総務部長・乙川暎元昭和23年11月生まれ。總和会。3期目。人事部長・財政部長を歴任。自坊は新潟市の宗現寺。
▽伝道部長・西村喜候昭和 年 月生まれ。總和会。2期目。初入局。自坊は長崎県平戸市の瑞雲寺。
▽教学部長・葦原正憲
昭和15年10月生まれ。有道会。4期目。元出版部長。自坊は山形市の長源寺。
▽教化部長・清成昭典昭和3年6月生まれ。有道会。4期目。初入局。自坊は山口県下関市の海晏寺。
▽出版部長・志保見道元 昭和18年2月生まれ。有道会。3期目。初入局。自坊は兵庫県神戸市の八王寺。
▽財政部長・宮崎英輝昭和41年2月生まれ。有道会。1期目。初入局。自坊は愛媛県玉川町の宝林寺。

2004/10/07 原子力行政考える宗教者が脱原発の全国集会

原子力行政を問い直す宗教者の会(共同代表=阿蘇敏文日本基督教団〈NCC〉牧師、東海林勤同牧師)は4日と5日の2日間にわたって、東京・猿楽町の在日本韓国YMCAで全国集会を開き、約40人が参加した。テーマは「今こそ、原子力政策を問い直す 新長計=国策と私たち」。メーンのパネルディスカッションには仏教界からも多くの参加者が訪れ、活発な議論が展開された。

2004/10/07 インド人天台僧マケナ氏に支援の呼びかけ

天台宗海外寺院、インド禅定林の住職に6月に就任したサンガラトナ法天マケナ氏が現況報告と支援者へ感謝の意を伝えるため、「インド禅定林感謝の集い」が5日午後、京都市山科区のホテルで開かれた。サンガ氏は集いに駆けつけた支援者約200人に謝辞を述べ、仏道と教育・福祉支援等の活動になお一層精進することを誓った。

2004/10/14 仏教伝道協会40周年で「講演と音楽の夕べ」

(財)仏教伝道協会(沼田智秀会長)は7日、東京・五反田のゆうぽうとで「第12回釈尊を讃えて―設立40周年記念・第38回文化賞受賞記念講演と音楽の夕べ」を開き、約1500人が参集した。講演は今年同賞を受賞した作家の五木寛之氏と国際的な禅者である嶋野榮道氏がそれぞれ行った。

2004/10/14 第14回中村元賞 奥田・松本両氏が受賞

(財)東方研究会(中村洛子理事長)とインド大使館の共同主催による第14回「中村元東方学術賞」の授賞式が11日、東京・九段下のインド大使館で挙行され、奥田清明四天王寺国際仏教大学学長、松本照敬大東文化大学教授の両名に賞状と副賞が手渡された。
謝辞の中で奥田氏は「喜びの余りスーツを新調した」と笑顔で挨拶。その上で東大時代に奥田氏をジャイナ教研究に導いた高崎直道鶴見大学学長と、中村博士の思い出に触れ「その光明がなければ受賞はなかった」と謝意を示した。
松本氏は、瓜生津隆真京都女子大学名誉教授(第4回受賞)の代理として受賞した経験から「(受賞者と勘違いされて)賞は貰えない」と友人に言われたことを紹介。「貰えないはずの賞を貰えるのは人智を超えたこと」と語り、「この賞は仏陀となった中村先生の神力によって頂いた」と感激を語った。

2004/10/14 日朝間の“壁”の解消めざし共生アジアシンポ

平和を学び考え願う青年仏教者の集い(平仏集)とKOREAこどもキャンペーンは2日、東京・築地本願寺で、「共生アジアシンポジウム」を開催した。当日はNGO関係者や僧侶など約140人が参加。平和や差別を考えるパネルディスカッションと併せ、法輪・浄土会指導法師(韓国JTS理事長)が講演を行った。
法輪氏は「実践仏教」の信念のもと、インドの不可触民問題や朝鮮族の人権保護運動などに従事。1996年からは北朝鮮の難民救済事業を開始し、現在は中国国境付近で栄養食供給事業などを展開している。シンポでは、まず法輪氏が「韓国僧侶の共生ダマシイ」をテーマに講演。仏教的視点から平和に至る道を説いた。

2004/10/21 本願寺派 「寺族」「坊守」を具体的に規程

浄土真宗本願寺派(不二川公勝総長)の第274回定期宗会(石上智康議長)が19日、京都市下京区の宗務所で幕を開けた。不二川総局は、平成15年度本山・宗派会計決算案をはじめとする財務関係議案33件、寺族・坊守の定義・条件を定めた寺族規程制定案など法規議案12件の計45議案を提出、今宗会にも提出かと見られた僧侶宗会議員の定数削減案は見送られた。
提出議案のうち主なものは次の通り。
前年度宗派会計決算案は経常部歳入総額が75億485万円で、予算を1億445万円(1・4%)下回る結果となった。本山歳入、冥加金が大きく減少した。
法規議案の一つは寺族規程制定案。2月の宗法改正で「寺族」の具体的な定義や「坊守」を住職の妻としていた規定を削除したことで、今回その定義や役割等を定めた。あわせて坊守に義務付けられる坊守式の規程案も提出された。
総局部門宗務組織規程から独立させた教学伝道研究センター規程案も提出された。内部に「教学伝道研究所」「仏教音楽・儀礼研究所」「史料研究所」の3研究所を設置。また「首都圏における社会問題、時事問題などについて、速やかに教学上の対応を行うため」として「東京支所」も置くこととした。
宗会議員選挙規程も一部改正。第93条の不正利益の授受を規制した条文を「選挙に関して…選挙人に金品贈与、…供応接待…をしたものは、重戒処分に付する」と具体的な条文に改めた。
この他「首都圏宗務総合センター」は「本願寺宗務首都圏センター」と名称変更。宗務員規程も改正される。

2004/10/21 長谷寺本堂に国宝指定の答申

文部科学大臣の諮問機関である文化審議会(高階秀爾会長)は15日、奈良・桜井市の真言宗豊山派総本山長谷寺(鳥居愼譽管長)の本堂(重要文化財)を国宝に指定するよう求める答申を中山成彬文部科学相に提出した。建造物の国宝指定は2002年の知恩院三門以来2年ぶり。中山文科相は答申を受け、12月にも正式な指定を行う見込みだ。
なお、答申では本堂と合わせ、墨書の棟札、平瓦、平面図、工事明細書など寺の建築関係資料も、重要文化財に追加指定されることも決まった。

2004/10/21 引きこもりに対応する「てらねっとEN」設立

社会問題化している不登校やひきこもりに対して取り組んでいる寺院・団体をつなぐ「てらネットEN」(全国不登校・ひきこもり対応寺院ネットワーク)の設立シンポジウムが18日、東京・築地本願寺で開催された。17寺院・団体が参加と協力を表明し、情報交換をはかりながら活動を展開していく。シンポには会場いっぱいの250人が参加し、この問題に対する深刻さと関心の高さが示された。また社会資本や公益法人の面からも寺院の新たな可能性に期待が高まっている。
同ネットは翌19日に正式発足。当事者やその親たちのために相談窓口を開設し、こうした問題に対応している寺院の紹介や各種の情報を提供する。問い合わせは事務局(℡03―3541―6725 全青協内)まで。

2004/10/28 豊山派 「危機管理態勢の充実」を強調

真言宗豊山派(浅井侃雄宗務総長)は21・22日の両日、東京・大塚の宗務所に第111次宗会通常会(木内一成議長)を招集した。浅井総長就任後初の議会となる今宗会では平成15年度収入支出決算、平成16年度収入支出補正予算案など計8議案が上程。審議の結果、全案が原案通り可決・承認された。
浅井総長は冒頭で、今年4月に成満した頼瑜・専誉両僧正の遠忌事業について語り、「当初の目的を全て完遂できた」と発表。6月30日には委員会・事務局共に解散したことを明かし、「今後はこの盛り上がった宗勢を継続発展させる方策が課題になる」と議員に向けて呼びかけた。
また昨年3月に発生した長谷寺本堂の倒木被害や異常気象による災害にも言及し、「宗派運営上の危機管理の態勢は必要不可欠」と強調。「宗務所の部課長を中心に具体的な危機管理の対応策を進めたい」とし、災害に対応した態勢つくりを訴えた。
代表質問の終了後は総務、教務の両常任委員会と、全議員による特別委員会に議案を付託。審議の結果「全案を原案可決するべき」との委員長報告が提出され、採決の上で全議案が可決・承認を行った。
なお真言宗豊山派の平成15年度決算は収入が当初予算額8億8383万円に対し、決算額が8億9442万5605円(約1%増)、支出が当初予算額9億7328万に対し決算額9億780万4046円(約7%減)となっている。

2004/10/28 天台宗 新潟県中越地震で対策本部立ち上げ

天台宗(西郊良光宗務総長)の第106回宗議会(奥村慶淳議長)が25日、大津市の宗務庁で始まった。西郊総長は、議会直前の23日発生した新潟県中越地震による被災寺院・檀信徒救援のため対策本部を立ち上げたことを報告。また新潟・福井集中豪雨、相次いだ台風による被災へは臨時予算案を編成し、対応にあたることにした。今回提案されると見られていた海外寺院への支援金拠出を審議する特別委員会規程は結局提案されず、宗議会に委員会を設置することになるもよう。

2004/10/28 新潟県中越地震で寺院の本堂・墓地に大打撃

10月23日夕、震度7から6強の地震が続いた新潟中越地震により10月27日までに31人が死亡し、10万人以上が避難生活をおくっている。被災地が複数の自治体に及んでいるだけでなく、山間部とあって交通手段が限られているため支援の手が行き届いていない集落も多い。また震度6強を観測した震源地に近い小千谷市内には40数カ寺あるが、ほとんがが被災した模様だ。隣接する長岡市や十日町市などの寺院も本堂内部を中心に被害がみられた。
3度にわたる大地震は、想像以上の衝撃をもたらした。夕方のため、すでに真っ暗となり、停電した地区の寺院が被害を確認できたのは翌朝だった。
小千谷市内では建物は残ったものの、本堂はもちろん、位牌堂や墓地などは壊滅的な打撃を受けた。27日現在では、庫裏も同様だが、近隣住民の避難場所となっている寺院もある。
長岡市内も大なり小なりの被害があり、震源地付近の広範囲に及んでいそうだ。

2004/11/04 浅草寺ボーイスカウトが被災者救済の募金

ボーイスカウト台東7団(浅草寺ボーイスカウト・大森和潮団員長)は10月31日、浅草寺境内で新潟県中越地震義援金募金活動を実施。カブスカウト隊よばれる小学2~4年生と、ボーイスカウト隊の小学5~中学3年生まで69人が募金活動にあたった。
浅草寺では現在菊祭りが開催中で、好天に恵まれた日曜日とあって、なかなかの人出。着物姿で七五三の御参りに訪れている家族連れの姿も見られた。
この日集められた45万2097円は東京新聞社社会事業団を通じて新潟に届けられる。なお浅草寺ボーイスカウト団からは、2人の大学生年代の隊員(ローバースカウト)がボランティアとして現地入りするため調整中という。

2004/11/04 北京で日中韓仏教友好交流会議を開催

東アジアの仏教徒を結ぶ「黄金の絆」を深める第7回日中韓仏教友好交流会議が10月23日、中国・北京で開催された。北京郊外の霊光寺で世界平和祈願法要が、北京市内の九華山ホテルで会議が行われ、日本からはおよそ50人が参加した。
観光客も多い霊光寺での合同法要に続き、会議では各国の代表者が研究報告や講演を行った。日本からは浄土宗・中村康隆門主のメッセージ(代読)が紹介され、宗教の世紀と呼ばれる21世紀は仏教の「和合共生」の思想をアピールできることを述べた。また仏教成立とともに生まれた左卍字や三度の灌頂洒水などが、キリスト教や仏教、洋の東西を問わず、聖なるものを表す共通の記号や儀式として生きていることに触れ、共通の根をもつ文化同士の相互理解へ希望を示した。

2004/11/04 日蓮宗 寒百日の荒行が始まる

日蓮宗加行所(村山智城伝師)と遠寿院荒行堂(戸田日晨伝師)の入行会が1日、千葉・市川市の中山法華経寺と遠寿院でそれぞれ厳修された。相次いだ台風被害や新潟県中越地震の影響により、入行僧の減少も懸念されたが、日蓮宗加行所は195人(参籠6人、5行7人、四行9人、参行20人、再行35人、初行100人)が入行。今回から正式に単独開堂となる遠寿院荒行堂も16人(再行5)人、初行11人)全員が入行した。

2004/11/11 全日仏が少年問題で教化セミナー

(財)全日本仏教会(里見達人理事長)は29日、東京・品川のホテルパシフィック東京で教化セミナー「いま、子どもたちがあぶない―急増する幼児・少年事件を通して心のあり方を見つめる」を開催。日頃から若者や子どもに接している4人のパネリストが現況を報告。そして「関わり合い」をもてる場の提供とともに「子どもの問題は親の問題」とほぼ共通した意見がだされた。
セミナーには全日仏加盟の都道府県仏教会の代表や一般など150人が参加し、議論を見守った。

2004/11/11真言宗豊山派 鳥居管長の晋山式を挙行

真言宗豊山派(浅井侃雄宗務総長)は9日、奈良・桜井市の総本山長谷寺で、第30世真言宗豊山派管長、第84世総本山長谷寺化主に就任した鳥居愼譽管長の晋山式を挙行した。晋山式には浅井総長ら内局役員をはじめ、法類、壇信徒など約300人が列席。鳥居管長の晋山を心から祝った。
晋山式では、まず鳥居管長と職衆が入堂。次いで鳥居管長が導師を務め法楽を厳修した。
鳥居管長は表白の中で長谷寺の由来に触れ、伝統を受け継ぎ宗門を発展させる決意を表明。続く垂示でも「推された上は専心一宗の付託に答えるべく努力を誓う」と語り、その強い覚悟を披瀝した。

2004/11/11 国柱会が創業120年の記念大会

田中智学によって創設された国柱会(田中暉丘賽主)は3日、東京・江東区の国柱会本部で創業120年記念大会を営んだ。大会には渡辺俊岳法華宗本門流宗務総長、斎藤隆彦法華宗真門流宗務総長、野坂法行池上本門寺執事などの日蓮門下関係者をはじめ、会員ら約300人が参席。慶讃法要や記念式典を通じ、明治17年設立の立正安国会を前身とする国柱会120年の歴史に思いを馳せた。

2004/11/11 モンゴル仏教関係者が大本などと親善交流

大本(島本邦彦本部長)と人類愛善会(会長=島本本部長)などが出口王仁三郎聖師入蒙80周年を記念して6月にモンゴルを訪問したことから交流が始まったモンゴル仏教総本山ガンダン寺の一行が京都府亀岡市を訪れ5日午後、「日本・モンゴル国際親善交流の集い」が同市の亀岡会館で開かれた。集いでは、同行したモンゴル国大統領主席補佐官で大統領府宗教政策委員会委員長のサムダン・ツェデンダンバ氏と京都大学名誉教授の上田正昭氏が講演。日蒙の民族音楽も披露され、両者が友好の絆を強めた。
集いは、大本・人類愛善会に加え、出口王仁三郎翁顕彰会(山田三郎会長)とかめおか宗教懇話会(宝積玄承会長)が「日本・モンゴル国際親善交流実行委員会」(委員長=山田会長)を組織。同委員会が主催した。
同市を訪れた一行はガンダン寺のデムベル・チォイジャムツ管長、ツェデンダンバ氏、ハラホリン市(カラコルム)の歴史的な寺院エルデニ・ズーのカンドスレン・バーサンスレン管長ら7人。大本と人類愛善会などが6月19日から26日まで同国を訪問したのをきっかけに、ガンダン寺側へ来日を要請し、このほど訪問が実現した。

2004/11/18 武蔵野女子学院 創立80周年式典を挙行

西東京市の武蔵野女子学院(本多隆朗理事長、田中教照学院長)は13日、西本願寺・大谷範子裏方臨席のもと同窓会・学生など大学関係者を含め約600人が出席して学院創立80周年記念式典を開催した。
今回の式典は、今年4月から開設された武蔵野大学薬学部と、それに伴う男女共学化、大学8号館の落成もあわせて祝われた。出席者がパーリ語の三帰衣文を唱えた後、本多理事長が式辞。学院の歴史と通信教育課程の開設等最近の変革等を紹介しつつ、協力者への感謝を述べた。
武蔵野女子学院は、仏教学者の高楠順次郎(1866―1945)が関東大震災翌年の大正13年に築地本願寺境内に創設したのが始まり。昭和4年西本願寺大谷家の協力で現在の地に移転し、戦後中学、高校、短期大学、4年制女子大学を順次設置。昭和42年の付属幼稚園設置でおおむね高楠の目指した初等・幼児教育から大学までの女子教育機関が完成した。昨年4月には男女共学を視野に入れて武蔵野大学へと改名、薬学部を設置を準備。今年4月からスタートした。

2004/11/18 政治・宗教を徹底討論 第39回大阪府仏教徒大会で

大阪府仏教会(増田貞圓会長)と大阪府仏教青年会(佐藤潤宏会長)が主催する第39回「大阪府仏教徒大会」が10日午後、大阪市中央区のホテルで開かれ、宗教と政治の問題を論じる「徹底討論」が今年も開かれた。討論では、紛争解決に資するため仏教的な慈悲の教えを世界へ広めることや、公明党・創価学会が支えて小泉政権が自衛隊をイラクへ派遣している事態に、伝統教団の奮起を求める意見が出る一方で、宗教教育をしたくても公立学校や地域で法的な制限もありしづらい状況になっているとして逆に政治家の奮起を求める反論も出るなど、活発な議論が展開された。
徹底討論の今年のテーマは「また、日は昇るのか―政治・宗教・教育戦後60年を論断する」。増田会長を司会に、民主党参議員議員の前田武志氏、元NHK記者で椙山女学園大学教授の川崎泰資氏、大阪市仏教会会長の麻生弘道氏(高野山真言宗太融寺住職)の3人がパネリストとなって意見を交わした。

2004/11/18 日泰寺建立100年を祝い記念法要を厳修

タイ国から贈られた真正仏舎利を奉安する名古屋市の覚王山日泰寺は15日、明治37年(1904)のこの日に開山した日泰寺建立100周年記念法要をスウィット・シマサクン駐日タイ大使をはじめ政財界の代表ら150人余が参列してた。超宗派寺院に相応しく、仏教界からも幅広く出席し、日タイの親交を深めた。また一般市民も参拝に訪れ、焼香に併せて合掌して見守った。

2004/11/25 日蓮宗妙本寺所有の日蓮曼荼羅が真蹟と判明

神奈川・鎌倉市の日蓮宗本山妙本寺(加藤日暉貫首)が所蔵する日蓮曼荼羅が鑑定の結果、日蓮聖人の真蹟と判明。19日、同寺で報道関係者に公開された。会見には加藤貫首を初め、鑑定した中尾堯立正大学名誉教授、寺尾英智身延山大学助教授らが出席し経緯を語った。真蹟発見は今年に入って2件目。今回の発見により、正式な日蓮曼荼羅の総数は129幅となる。
真蹟と認定されたのは妙本寺宝蔵に7幅納められている内の一つで、縦49・1㌢、横31・1㌢の楮紙に描かれた掛け軸状の日蓮曼荼羅。弘安2年12月に日行という僧侶のために揮毫され、その後、鎌倉市内の大巧寺を経て、妙本寺に伝来したことが判明している。
なお、妙本寺では同曼荼羅を日蓮宗宗宝として申請する方針。早ければ年内にも正式に認定される見込みだ。

2004/11/25 全日仏 来年11月に滋賀で仏教徒会議

(財)全日本仏教会(全日仏、里見達人理事長)は17日、京都市内で常務理事会を開き、来年1月に開かれる理事会・評議員会に提出される議案内容を審議。また来年11月に第39回仏教徒会議が滋賀県大津市で開かれることが報告された。
全日仏と滋賀県仏教会(会長=山本孝圓・天台眞盛宗管長)が主催する仏教徒会議は11月16・17日、琵琶湖を望む大津市の「県立芸術劇場 びわ湖ホール」で開催。具体的なテーマや講師などは今後詰めていく予定だが、琵琶湖にちなんで環境問題を内容に含めていく方針。仏教徒会議は前回の新潟大会(2001)以来4年ぶりとなる。

2004/11/25 死刑廃止議連総会で広瀬大本総長が意見発表

17日、東京・永田町の参議院議員会館で開かれた「死刑廃止を推進する議員連盟」(亀井静香会長)の総会に、大本の広瀬静水総長が招かれ、死刑廃止を求める大本の考えを発表した。
広瀬総長は、イタリアの聖エジディオ共同体が実施する死刑執行停止を求める運動を紹介するとともに、《刑法の目的は遷善悔悟にあるので、復讐的であってはならない。殺してしまっては改善の余地がなくなるではないか》との出口王仁三郎聖師の教えを基にした教団の人類愛善の思想、また大本事件を例に冤罪の悲劇を強調して「死刑制度を廃止することは、あらゆる生命が尊ばれる理想社会へ向う一里塚でありましょう」と訴えた。
この日の総会では、死刑存廃に関する臨時調査会の設置・死刑執行の停止・終身刑の創設を骨子とした法案を来年の通常国会に提出する予定であることを山花郁夫・同連盟事務局長(民主党衆議院議員)が発表した。超党派の国会議員101人で組織する同連盟は昨年6月に法案を作成しているが、内容を一部改め、各党の審査を経て、法案成立の見通しが立った上で提出する考えだ。

2004/12/02 總和会全国大会で「寺族問題」を学習

曹洞宗總和会(会長=有田恵宗宗務総長)は24日、東京グランドホテル(曹洞宗檀信徒会館)で第13回全国大会を開いた。各地区の代表ら約150人が参集し、会議とと記念講演を通じて寺族問題を学んだ。
記念講演は「現代の仏教教団と女性―曹洞宗の寺族問題を中心に」と題して、名古屋工業大学大学院助教授の川橋範子氏(曹洞宗霊岩寺寺族)が行った。
宗教研究者と寺族という二重の視点から川橋氏は、「曹洞宗に限らず、浄土宗や東西本願寺、他の教団などこの10年で寺族をめぐりめざましい変化が起きている。今回こうして招かれたのもその一つ」と切り込んだ。また寺族問題に限らず、仏教学者らによる「仏教と女性」に関する書籍の刊行が相次いでいることも紹介し、関心が高まっていることを改めて指摘した。
講演は曹洞宗の取り組みを中心に展開。「地方に行くとやる気のある寺族が非常に多い。檀家からの悩み相談にのったりしている。宗門がカウンセリング研修会等を設ければ寺族はもっと自信を持って対応できる」と述べ、そのために「女性室」を設置することと寺族研修会の充実を要望した。
川橋氏は寺族問題を孤立した問題として捉えず、後継者育成や女性僧侶(尼僧)と関連づけても話した。後継者育成に関しては、寺族の置かれている立場が弱く、宗門的な位置づけも不確かなことをあげ、「悩みを持ち、生きがいを持てない寺族に育てられる徒弟はまっすぐに育つのか」と疑問を投げかけた。

2004/12/02 公益法人制度改革 将来的に宗教法人も対象か

行革担当大臣の諮問機関「公益法人制度改革に関する有識者会議」は19日、現行の公益法人制度に代わる新たな非営利法人制度に関する報告書を発表。幅広い活動を促進させるため、現行の許可制を廃止し、準則主義(登記)だけで設立が可能になる。税制面は原則課税だが、新たに創設される機関が判断する。今回の改革論議には宗教法人やNPO(特定非営利法人)は含まれていないが、将来的には新制度に準じて原則課税とされる可能性もある。

2004/12/02 新札効果?「一葉忌」に2000人が参列

明治時代、女流作家として活躍が期待されながら24歳の若さでこの世を去った樋口一葉を偲ぶ「一葉忌」が23日、東京・本郷の浄土宗法真寺(伊川浩史住職)で営まれた。没後108年、新5千円札に一葉の肖像が採用されたこともあってか、今年は例年の倍以上の人出2000人が寺を訪れた。

2004/12/09 全日仏が宗教教育で改正試案を作成

教育基本法改正に関連して適切な宗教教育の実現を主張している(財)全日本仏教会(里見達人理事長)では、当初要請していた内容の一部を見直した改正試案を作成し、先月開かれた常務理事会で承認されていたことが明らかになった。
昨年2月に中央教育審議会(中教審)に提出していた要請書では、「日本の伝統文化の形成に寄与してきた宗教」や「宗教的情操」などが記されていた。この点に関して改正試案では「宗教的な伝統や文化」とし、「日本」を外した。「宗教的情操」も「宗教的感性」と改めている。
関係者によると、当初の案は、時間的な制約がある中で作成されたものであり、必ずしも充分とは言えないという。その後、宗教教育推進特別委員会(適切なる宗教教育実現のための教育基本法第9条改正推進特別委員会)が全日仏内に設置され、議論を重ねてきた。改正試案は同委員会で議論されてきたものだ。
一部からは国際化時代に「日本」だけとすることに批判もあった。「情操」についても反対があったようで、新鮮さをだすために「感性」とした模様だ。同時にこれらの表現を和らげることで、より幅広い支持を得ようとする狙いがあると見られる。
公立学校の宗教教育については、「特定の宗教のための宗派教育」を「特定の宗教教義に基づく宗教教育」と内容を明確にしている。

【改正試案】
第1項 宗教的な伝統や文化に関する基本的知識及び意義は、教育上これを重視しなければならない。
第2項 宗教的感性の涵養及び宗教に関する寛容の態度の育成は、これを尊重する。
第3項 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教教義に基づく宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。
【従来の主張】
①日本の伝統文化の形成に寄与してきた宗教に関する基本的知識及び理解は、教育上これを重視しなければならない。
②宗教に関する寛容の態度及び宗教的情操の涵養は、これを尊重する。
③国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗派教育その他宗教活動をしてはならない。
【教育基本法第9条(宗教教育)】
第1項 宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。
第2項 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。 (9-16合併号)

2004/12/09 浄土宗保護司会が街頭で劈頭宣言をアピール

浄土宗保護司会(伊藤喬淳理事長)の僧侶が1日、京都市の繁華街に繰り出し、携帯用カイロを付けたチラシを配布して2001年1月に同宗が発表した「浄土宗21世紀劈頭宣言」を道行く人にアピールした。
同宣言は、21世紀の初頭にあたって核兵器開発や環境破壊などがあった20世紀を反省し、新世紀に宗祖法然上人が説いた「共生」の教えを世界へ広めるべく、「愚者の自覚を/家庭にみ仏の光を/社会に慈しみを/世界に共生を」と浄土宗が社会へ向けて発表したもの。
同宗社会国際局(松本眞岳局長)は宣言を広めてもらうよう外郭団体に呼び掛け、これを受けて同会が実施した。
当日は宗務庁での中央研修会を終えた伊藤理事長はじめ僧侶45人が参加。一行は午前11時半、京都市東山区の宗務庁を出発、東大路通、四条通を経て四条河原町の交差点へ念仏行脚し、その後12時から午後1時前まで、交差点の4つの角でカイロと劈頭宣言のチラシが入ったビニール袋を配った。(9-16合併号)

2004/12/09 大正大学が成道会に柴燈護摩を厳修

東京・西巣鴨の大正大学(星野英紀学長)は1日、社会教研究会の学生が中心となって成道会を開催。豊山派学生僧侶による法要、智山派学生僧侶による柴燈護摩供法要、乳粥の接待などが行われた。
大正大学の成道会は毎年実施されているが、4~5年前から学生が主体となって企画・運営している。今年は新潟中越地震の被災者追悼供養と被災地復興祈願の意味も込められた。巣鴨の真言宗豊山派眞性寺からお練り行列、その後大正大学礼拝堂で星野学長を導師に法要を営み、来場者全員で般若心経を唱えた。バリエーションに富んだ声明と太鼓、鈴、鉦など「音」の演出に工夫が凝らされ、般若心経の意味を説明するなど、一般の人にも親しみ易い配慮がみられた。
礼拝堂前の広場で営まれた柴燈護摩でも、山伏のいでたちをした学生の所作を解説しながら進められ、集まった人々は興味深げに見つめていた。檀に火を入れてからも、なかなか熟達した行者のようにはいかず、少々苦戦。しかし火の勢いが増して願い事のかかれた護摩木がくべられるようになると、行者姿の学生に手荷物を渡して火にかざしてもらう来場者が次々とあらわれた。学生も火の側で汗だくになって印を切りながら対応していた。(9-16合併号)