原発事故から被曝労働まで 人間の絆分断に警鐘鳴らす

超宗派の有志が参画する「原子力行政を問い直す宗教者の会」は17日、東京・文京シビックセンターで公開学習会「宗教者として取り組む原子力問題」を開催した。メイン講師の長田浩昭共同代表(兵庫県篠山市・真宗大谷派法伝寺住職)がお通夜のため急きょ不参加となったが、それでも会場は満席の60人を超え、作家や哲学者、ジャーナリストも聴講に訪れるなど関心の高さをみせた。

大河内秀人共同代表(東京都文京区・浄土宗見樹院住職)が挨拶。「福島の人が完全に地元を離れることは難しい」という現実に鑑み、昨夏、北海道に子どもたちを一時疎開させて汚染を軽減させた試みを報告した。

続いて長田氏のビデオレターが放映された。「原発は人と人との絆を切り刻んでいく」とし、約45万人(累積)の被曝労働者も宗教者として救わねばならないと説いた。

また、石川県珠洲市での原発反対運動の際に、電力会社が「原発内の作業は珠洲市民以外の人にやらせます」と言ったことに「お前らそれでも人間か!」と衝撃を受けたという。「自分たちは原発の被害者だと考えていたが(被曝労働者を生み出す)加害者でもあった」と語った。

内藤新吾共同代表(千葉県松戸市・日本福音ルーテル稔台教会牧師)は静岡・浜岡原発の危険告発に長年取り組んできた活動を報告。原発交付金の中毒性や、被曝労働者の記録そのものが抹消される危うさなどを次々に批判。さらに「もんじゅ(高速増殖炉)は異常の極み。なぜ、やめるという決断ができなかったか。そこには核兵器製造のためにプルトニウムを欲しがる英米との軍事同盟の関係があったからではないか」と指弾した。

一方、福島県南相馬市にある曹洞宗同慶寺の田中徳雲住職は、被災地の立場から発表。原発事故直後の電源喪失を耳にして即座に家族全員で福井まで避難したという。しかし、放射能の危険性を理解しつつも、檀家の求めに応じて帰坊を繰り返さなければならないことによる心の葛藤を率直に告白。「檀家さんは、『和尚さん、よく戻って来てくれたねえ』と迎えてお茶を出してくれる。そのお茶も汚染された水で淹れられているはず。でも、そこで飲まなかったら住職じゃないですよ」と吐露した。

福井県敦賀市の岡山巧共同代表(真宗大谷派西誓寺住職)も被曝労働や人との絆が分断されることを危惧。「人間はどんどん進歩していくという誤解がある。『私』がいかに真実でなかったかを気付かせるのが仏教ではないか」と述べた。

質疑応答の際には、会場にいたNPO法人TEAM二本松の畠山浄氏(石川県七尾真宗大谷派常福寺副住職市)が発言し、粉ミルクからセシウムを検出した取り組みなどを説明。「私たち一人一人が少しでも除染をしていく、出来ることをやっていくことが大切です」と訴えた。

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