「築地本願寺から来た江田です。よろしくお願いします」「同じく吉井です」。まずは大きな声で自己紹介をしてから、2人は二手に分かれて老人たちと話し始めた。今年1月から毎月一回訪れるデイサービスの老人介護施設。ようやく顔を覚えてもらったとはいえ、最初のひと言は緊張が走る。これをうまく切り出すことができれば、すんなりと輪にはいることができる。傾聴ボランティアの開始だ。
僧侶による介護施設訪問は、「プロジェクトダーナ東京」と呼ばれ、東京・築地本願寺内にある一般社団法人仏教総合研究所の活動の一環である。
もともとプロジェクトダーナは、ハワイのモイリリ寺院の門徒の提唱から始まった。僧侶や門徒が地域の老人介護施設や独居老人宅を訪れ、話し相手や清掃などのボランティア活動である。それを首都圏で応用したのだ。基本活動は、「最低、月に1回、1時間、寺院の近隣の人々のために時間を提供して、お話を傾聴する」。同研究所スタッフでこの事業を担当する江田智昭氏(34)は、「誰もが気軽にできるボランティアなのですが、奥が深い」と話す。
プロジェクトダーナ東京の活動は現在、首都圏6箇所の施設で11人が参加。「誰もが気軽にできる活動」であり、さらにその輪を広げていく予定だ。最近、「不明」高齢者の存在が明らかになった。ほとんどの教団は青少年教化を謳っているが、団塊世代の高齢化が現実化してきた。高齢者を視野に入れたプロジェクトダーナ活動が注目される。
写真=傾聴の前に話題を投げかける江田氏。